その日は突然やってきた ②
「ただいま〜」
「あ、柚斗さんおかえりなさい!!」
学校が終わり、家に帰ると莉亜さんがいる。
この状況にも少しずつ慣れてきた。やっぱり俺は適応力のあるほうだと思う。
「お風呂沸かしておいたので、好きな時に入って大丈夫ですよ!」
「ホント毎日ありがたいっす。 じゃあ先に使わせてもらいます」
「はい! 私はご飯の準備とかしてますので!」
「あれ?今日も作ってくれるんすか?」
昨日食べたトンカツもまた凄まじく旨かったが、まさか二日連続とは。
「ええ。 最近は柚斗さんがいない間に、レシピとかいろいろ見てるんですよ? 自分で食べるのも楽しみですし!」
最近の俺は本当に恵まれていると思う。
学校が終わり家に帰ると、風呂の準備を済ませてくれているし、最近は莉亜さんが料理を作ってくれる日が増えて、コンビニに頼ることも少しずつ少なくなっている。
しかもめちゃめちゃ旨い。 毎度のことながら初めて作ったとは思えない出来のものを食べさせてくれる。
今日の夕飯のメニューを楽しみにしつつ風呂へ向かった。
◇
「これで湯船があればなあ......」
学校帰りの風呂は本当に癒される。
これで足を伸ばせるくらい余裕のある湯船があれば言うことなしだったが、そこはボロアパートの宿命、そんなものは用意されていなかった••••••
ただまあそれでも疲れはとれる。 贅沢は言いっこなしだな。
そんなふうに考えシャワーを浴びていると、唐突にインターホンが鳴った。
(マジか••••••)
基本的に荷物の受け取りや来客は全て俺が対応している。
莉亜さんが出ても不自然ってことはないだろうが、とにかく莉亜さんのことがバレるのが怖いからだ。
だが今のこの状況、流石に風呂の中ではどうしようもないよな.....
二度目のインターホンが鳴る。
「柚斗さん!どうしますかー?」
莉亜さんにも応対のルールは伝えてある。けどまあ、仕方ないか。
「すみません莉亜さん。今回だけ出てもらっていいですか? すぐ風呂上がりますんで」
「分かりました〜 ....... え??」
ん? 今 「え??」って聞こえなかった?
直後 、「バタン!!」と派手に扉を閉める音が聞こえ、
「柚斗さんごめんなさい..... ちょっと大変なことになったかもです...」
と、心底申し訳なさそうに言う莉亜さんの声がした。
「? とりあえず俺が対応しときます」
着替えを終え、まだ少し濡れた髪もそのままに風呂場を出て玄関へ。
少し警戒しつつドアを開けると
「え?」
「え?」
「......は?」
ぽかんと口を開けて俺を見る、マッキーと雅がそこにいた••••••••••••
ここまで読んでくださった貴方に最大の感謝を。
本当は今回で一区切りとしたかったんですが、1話の長さがいつもよりだいぶ長くなりそうだったので断念。
次回で「その日は突然やってきた」は終了予定です。
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