初めてのお出かけ③ 〜 オシャレって素晴らしい〜
「お待たせしました!!」
「ここで『いやいや全然待ってないよ』みたいなセリフ言ったほうがいいのは分かるんすけど、さすがに3時間は予想外でした」
映画一本観れるくらいの時間である。 だがまあここで買えるものと、莉亜さんがもともと使っていた寝具とでは質に差がありすぎるのだろう。 使えそうなものが見つかっただけ良かったのかもしれない。
「あ...いやあの、すみませんでした..つい....」
途端にしおらしくなる莉亜さん。
「ああいや、別に責めてるわけじゃないっすよ。それより買ったものは?」
「えっと、このお店もさっきの電器屋さんと同じで商品を家まで運んでくれるサービスがあったので、その分のお金も払って頼んでおきました!」
「そうですか。そりゃ良かったです」
流石に俺と莉亜さんの二人でそんなものを持ちながら買い物するのは厳しい。
ところで....
「ところで莉亜さん、聞きたいことが二つほど」
「はい? なんでしょう」
「まず一つ、莉亜さんが元の家で使ってたのがどんなものか俺は知らないっすけど、 俺の家に置く以上あんまり大きいのだと厳しいと思うんすけどそのへんは....」
そう、電器屋の時と違い俺は莉亜さんがどんなものを買ったのか見ていない。
前の家で使っていたのがめちゃめちゃ大きいベッドとかだった場合、その感覚で選ぶと部屋に置くことすらできない可能性も••••••
「いえ、それは心配ないと思いますよ? 一応出かける前に私の部屋になる場所は見ておきましたし、 元の家で使ってたやつの三分の一くらいの大きさのやつを選びましたから!」
「三分の一」
ベッドとベッドを比べて三分の一なんて数が出てくることあんのか•••••• つくづくお金持ちって怖いな••••••
内心戦慄したが、とりあえず俺の家でも使えそうなものを選んでくれたらしい。
「とりあえずその点は安心ってことにしときます。で、もう一つ。 配送サービスとか頼む時、住所書かないといけなかったと思うんすけどそれは?」
当然ながら、どこに届けるのか分からなければいけないのだから住所等は必須だろう。 俺はまだ莉亜さんに俺の家の詳細な住所までは教えてなかったはずだけど••••••
「電器屋さんで同じようなことを頼んだ時、柚斗さんが住所書いてましたよね? あれ見て覚えました!」
「へ?」
「茨城県〇〇市〜 ...」
「いやストップストップ!! 分かりましたからほんとに!」
こんな人の多いとこで一番知られちゃまずい個人情報暴露しないで!
ほんとにあの殴り書きだけで覚えたのか... ? 信じられん....
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「それで莉亜さん、他に行きたい場所とかあります?」
「えっとですね... お洋服とか.. 今かなり少ししか持ってないので...」
「そういえばそうっすね。..って莉亜さん? どうしました?」
隣を見ると莉亜さんが顔を赤くしている。なぜ...?
「い、いえその... 男の人と一緒にお洋服見るの初めてなのでちょっと恥ずかしいなと...」
なるほど... 男の俺には正直よくわからんが、そういうもの..なのか?
「そういうことなら俺はまた店の外で待っときますよ?」
と、良かれと思って言うと
「あっ いえ!柚斗さんも来てください! 是非!!!」
とすごい剣幕で言われた。 やっぱりよくわからん...
そして目的の女性服店に到着し、莉亜さんと一緒に見て回ること1時間弱。
「柚斗さん...ど、どうでしょう...?」
おずおずと試着室から出てきた莉亜さんを見て、俺の脳は完全にフリーズした。
「••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••」
「あの...やっぱり変で」
「•••••••••••••• 似合いすぎじゃない??」
「ふえっ!?」
し、しまった..! 思ったことがそのまんま口に出たか....
しかしこれは...やばい...
正直かわいい。可愛すぎる。
俺は最近の女性のオシャレとかの知識は皆無なのだが、
その白スカートと黒っぽいトップスは反則だろ....!!
「あの...柚斗さん..?」
「それ買いましょう。 似合いすぎっす」
「ふええっ!?」
心の声に正直な俺と、さっきから素っ頓狂な声を上げる莉亜さんであった。
「買ってきました!」
これからは家であの姿の莉亜さんが見られるってことか....
「今日イチ幸せな気分です」
「へ?」
「いえいえなんでも。 じゃ、そろそろ帰ります? 莉亜さんの部屋になるとこの片付けとかしなきゃなりませんし」
「はい!私も頑張りますよ!!」
こうして帰路につき、俺と莉亜さんの初めての買い物は幕を閉じた。
〈買ったものメモ〉
私のお洋服(上下) 計17200円
ここまで読んでくださったあなたに最大の感謝を。
これにて「初めてのお出かけ」編は終了となります。
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