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36.江戸川の乱2

当日、(わたくし)赤城春のどんよりとした気分とは裏腹に、週末はとても良く晴れた、絶好の旅行日和となった。



「どうも~。この度生徒会の広報をやる事になった、江戸川まゆでーす! よろしくね」キラッ


まゆちゃん。横ピースはやめれ、元茶道部部長のくせにチャラすぎだ、それにスカート短すぎだパンツ見えてるぞ。

秋ちゃんも夏君もドン引いてるじゃないか、黒崎会長なんて顔が能面のようだ。後、鈍感鬼畜眼鏡は拍手するな、誰のせいでこんな状況になってると思っているんだ。


駐車場で青桐先生が借りてきた車の前でポーズを決めるまゆちゃん、て言うか何だその高そうな車は、メルセデス・ベンツGクラスのロングボディだと! 一千万は軽くする奴だろソレ。えっ、理事長に借りた、改造費入れると3千万円、スゲエなブルジョワ階級は。理事長って李くんのお母さんだよね? 前見た時は凄いうるさいオープンカー乗ってたけど一体何台車持ってんだろう?

この後、助手席に黒崎会長とまゆちゃんのどっちが座るかで揉めたのだが、ジャンケンで勝利したまゆちゃんがホクホク顔で座ることとなった、さすがの強運の持ち主だ。


千曲川沿いに延びる国道18号線を、上田方面に向かって車を走らせる。道が空いていれば1時間も掛からない道のりを、コンビニなどに寄り道しながらゆっくりと進む。それにしてもさすが高級車ベンツ、革シートの乗り心地は最高だ、齧ってるおやつがファミチキじゃなくワインとステーキだったらもっとセレブ気分に浸れただろうに。残念、残念。

あ~、まゆちゃんよ、エアコン効いてるし疲れるような距離じゃないから、いちいち先生の汗を拭こうとするのをやめれ。後ろの席で冷気を放つ人がいてマジで怖い。




目的地である戸倉上山田温泉についた私達を出迎えたのは、左右に並ぶ総勢20名の中居さんと、着物が良く似合うまゆちゃん似の女将さんだった。うぉ、壮観、デパートの開店直後みたいだな。


「「「「いらっしゃいませ。まゆお嬢様!!」」」」


「まゆちゃん、よく来てくれたわね。今日はゆっくりしていってね、うふふ」


「叔母さま、おひさしぶりです。本日はご招待ありがとうございます」


うお! まゆちゃんが着物着てない状態なのにお上品だ。さすが老舗旅館の娘だけのことはある、ちょっと吃驚したよ。

川沿いの一等地にデーンと建ってる旅館は歴史を感じさせる和風旅館だった。それにしても学生のお出迎えに、中居さんや女将が勢揃いとは恐れ入る。


「女将さん。今日はお招きいただき、ありがとうございます。学院で美術教師をしている青桐です」


「あらあら、これは男前の先生ですわね。さぞかし学校でもオモテになるでしょう」


「いえいえ、僕の事を知らない生徒の方が多いくらいですよ」


「あら、それはもったいない。まゆちゃんチャンスですわよ」


「勿論です叔母さま!」


拳を握り締めるまゆちゃんを押しのけて、黒崎会長が一歩前に出る。


「ど~も。生徒会長をやってます、黒崎明日菜です。今日はう・ち・の青桐先生共々お招き頂き、生徒会一同お礼申し上げます」


「ちょっと明日菜さん! まゆも生徒会の役員でしょ」


女将さんが何か察したらしく、上品に微笑む。


「あらあらあらこれは、では皆さんごゆっくり。すぐにお部屋にご案内致しますね」





「おぉ~! 綺麗な部屋ね」


私達、女子組が通された部屋は畳敷きの広い和室で、なんとも趣があり一目で気に入ってしまった、やっぱり日本人には畳だね。青桐先生と夏君は隣の部屋に案内されていた。

窓から見えるのは昔ながらの雰囲気あふれる温泉街で、目の前にサラサラと流れる千曲川が良い味を出している。

川沿いは遊歩道もあるし、夕方皆で散歩にでも行ってみるのもいいかもしれない、そういえば足湯も来る途中で見かけたな、是非行ってみなくては。


「それでは御夕食はこちらのお部屋にお持ちしますね。それまでお風呂にでも入ってゆっくりしてくださいね。当館の露天風呂は大きくてとても気持ちいいですよ」


「やったー! 露天風呂。黒崎会長、早速お風呂行きましょうよ!!」


「秋ちゃんは気が早いわね。でも良いわね露天風呂、江戸川と春ちゃんも行くでしょ」


「あ、まゆは後から行くわ。先に行ってて」





コンコン


「鉄先生。まゆで~す、入りますよ」


「おや、どうしました、江戸川さん」


「貸し切りの家族風呂があるんですが、ご一緒にいかが・ぐえっ!」



ガシッ「江戸川~っ。あんたはコッチでしょ! 油断も隙もありゃしない。 青桐先生お邪魔しました~」


「ちょっと、明日菜さん。わかったから引っ張らないで~、うわ~~ん鉄せんせ~!!」


着いた早々抜け駆けしようとするまゆちゃんが、黒崎会長に首を掴まれて引きずられて行く。

力じゃ絶対に黒崎会長に勝てないよ、ご愁傷さま~。

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