18.黒埼明日菜vs桐生美鈴2
第2体育館、午後2時。
ザワザワと会場中が騒めく、まるで学院中の生徒が集まっているのではないと思わせる1000人近いギャラリーが、観客席で2人の対決を待ちわびる。
「マジで会長と桐生さん対決するの? なんで?」
「うぉ~!! 黒埼会長、黒のスパッツ色っぺえ~。あの美しいおみ足で踏まれてぇ!」
「ばか、黒髪ポニーテールの破壊力をなめるな! それに胸の大きさだったら桐生さまの圧勝だ」
「美脚と巨乳対決……ゴクリ」
「文化祭の最後を飾るにふさわしい勝負だな、これって生徒会の企画か?」
「でも、生徒会って4人しかいないんじゃないの、あの後ろの格好いいお兄さん誰?」
「ああ、あれは生徒会の顧問の先生だよ、俺、美術の授業選択してるから知ってるぜ」
「へぇ~。あれ? あの人、昨日2-bの屋台でバリスタやってたイケメンじゃん、先生だったの?」
ざわつくギャラリー達の後ろから突然声をかける人物がいた。
「ふっ、勝負などと野蛮ですわね、それにしても明日菜さん片手で、バレーをされるつもりかしら?」
「うわっ!! 江戸川さん。えっ、それってどういう意味ですか?」
「そのままの意味ですよ。彼女の左腕、まだ完治してませんから」
「「「「えぇ~~~~!」」」」
江戸川の言葉にどよめきが広がった。
女帝黒埼明日菜生徒会長と黒の女王桐生美鈴がコートの中央で睨み合う。
絵的には美少女2人が挨拶を交わしているのだが、漂う空気がどうにもきな臭い。
「ふふふ、先生の手料理は高~くつくわよ」
「あら、鉄先生の手料理だったら、幾らでも払ってさしあげてよ」
「ぐぬぬ。言うわね」
「この試合に勝ちましたら、私は鉄先生に告白させて頂きます。ですので、黒埼会長といえど絶対に負けるわけにはいきませんわ」
「そんな事言われて、はいそうですか、とされるわけにはいかないのよね、貴女には負けてもらうわ」
コート中央の2人から、目に見えるような気迫が立ち上り、ビリビリとした緊張が走る、一瞬で会場が静まりかえって2人に熱い視線を送る。
「勝負は1セット25ポイント先取で勝ち。うちは5人だからローテーションはやらないわよ」
「本当に5人でなさるの、うちの部員ならお貸ししますわよ」
「それじゃ、純粋な生徒会メンバーじゃなくなっちゃうでしょ。それくらいのハンデはあげるわよ」
「くっ、負けた時の言い訳には使わないでくださいまし」
クルクルと空中で回るコインを私と黒崎会長が見つめる。
「表」
「裏ですわ」
コイントスは裏。サーブ権は私がもらった、1セットマッチなら出し惜しみはいらないですわね。
最初から全力で行かせてもらいますわ。
ピィーーーーーッ!
主審のホイッスルとともに、私はボールを高々と放り投げた。
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