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11月の赤い屋根

作者: 星野河童
掲載日:2016/11/04

この季節、好きな面と嫌いな面がちょうど半分半分あります。

閑静な住宅街

どこか冷たさの中に温かみを感じる街灯

古民家の木の匂い

そしてそんな小道を鳴らす四足の足音

時折風が吹き二人は足を止め肩を寄せ合う

二人の白い息が混ざり合い世界に溶けて行く

「寒いね」

と言うと

「寒いね」

と返事が返ってくる

風が収まるとまたテクテクと歩き出す

時々手と手が当たる

「寒いね」

と言うと

「寒いね」

と返事が返ってくる

住宅の密集地に入ったらしく風が止み少し暖かく感じる

二人はそれを喜ぶのかと思いきや残念そうな顔をする

足音もその顔に答えるようにテクッテクッと遅くなる

赤い屋根の家の前で二人は足を止める

「今日もありがとね」

と言うと

「うん」

と今にも風に流されてしまいそうな返事が返ってくる

「寂しそうにしないで」

と言うと

「別に寂しくなんてない」

と寂しそうな顔で返事を返す

「うそつき」

と言うと

「うるさい」

と頬を膨らませて言い返す

「じゃあまた明日」

と寂しそうな笑顔で言うと

「うん」

と言って歩き出す

さっきと同じ道を歩いているのに同じに感じなくなる

風はより強く吹くように感じ

街灯はひんやりとした光で溢れ

温もりを感じた古民家は時が止まったように無表情になる

「はぁ」

と白い息をはいだすと

白い息は君を霧のように包み込む

そんな世界が嫌になって足音のリズムが早くなる

一心不乱に歩いていると

赤い屋根はもう見えなくなっていた



この二人は毎日毎日この調子なようです。

でも、いつかきっと変化が訪れるはずです。

季節が変化するように、恋も変化するのです。

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