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前夜祭で平常授業 1

 11月の、そろそろ寒いと言ってもいいほどの陽気の中、私服が秋服から冬服に変わったZクラスのメンバーは、このクラスの長である本田(ほんでん)(むしろ)が教卓の前に立つという会議スタイルで話し合っていた。


 「さあ、祭りの季節がやってきましたね」


 筵は机を一度軽く叩くとZクラスのメンバーに向かって宣言する。


 「ああ始まるな、あたしらとは全く関係の無い祭りが」


 2年生でギザギザの歯と鋭い目を持った少女、天喰(あまじき)梨理は退屈そうに呟く。


 「ところがね梨理ちゃん。今年はこの学園が主催で大会が行われるんだよ?ビジネスの匂いがしないかい?」


 「なんだそりゃあ?どういう事だ?」


 梨理は筵の謎な発言に首を傾げる。


 すると1年生のおさげ髪の文学少女、鈍空(にびぞら)(ふち)がプリントを眺めながら筵に変わって梨理の質問に答える。


 「梨理先輩、これですよきっと、この模擬店参加団体募集中ってやつ、これに参加する気なんですよこの人は」


 淵がプリントを指さしながら言うと、2年で幼児体型の黒髪ロングの少女、筒崎譜緒流手(フォルテ)がそのプリントをのぞき込む。


 「ふーん、日本最強の学生能力者を決める大会、通称、学園武能祭で模擬店とか出せるんだ。知らなかった」


 譜緒流手の言った学園武能祭とは、日本の8個の地方にそれぞれに存在する学園の代表者6人程度でトーナメント形式で行われる1体1の武闘会みたいなものである。


 「譜緒流手ちゃん、どこへの配慮かわからない説明口調ありがとね。・・・・・・で、どうかな?すべてのイベントに出しゃばらない程度に首を突っ込むのがZクラスのモットーのはずでしょ?」


 「いや、そんなモットー知らないけどな。・・・まあオレはいいと思うよ、ただ一つ問題がありそうだけど」

 

 譜緒流手は苦笑いで言った。


 「確かにそうだよね、この学園で開催されるからと言って私たちはいつも通り平常授業してろ、って言われる可能性あるよね」

 

 2年生の瓶底眼鏡の少女、四ノ宮れん子も少し苦笑いを浮かべながら意見を述べる。


 ここ最近は、Zクラスも色々なイベントに参加してはいたが、それは筵の陰ながらの尽力によるもので、基本的に冷遇される傾向にある。今回がその冷遇の対象になる事は充分有り得ることだった。


 「あの去年はどうだったんですか?」


 1年生でクシャっとした髪を持つ少女のような少年、椎名湖畔が質問する。


 「去年は私たちは参加しなかったね。というか違う地方の学園が主催でこの学園からも代表選手と一部の応援団しか行かなかったから、たしか私たち以外にも半数以上はこの学園でお留守番だったよね筵?」


 れん子は湖畔の疑問に答えつつその真偽を筵には聞いた。


 「そうだね、だから僕達も参加するのは初めてで、これが平常授業扱いなのかは分からないんだよね」


 筵は腕を組みながら目を瞑って考え事をしている様に振舞っていると、1年生で整った容姿を持っているものの、手入れの行き届いていないボサボサの髪と眠そうな目を持った少女、カトリーナグレイスフィールド手を挙げる。


 「でも筵先輩が、というか栖さんが何とかしてくれるんでしょ?」


 カトリーナが可愛らしく首を傾げながら言った。


 「まあ任せておいてよ、どんな手を使ってでも勝ち取ってくるからさ」


 「皮肉を受けてもその反応、逆にカッコよく見えてきました」


 筵はカトリーナの賞賛に不敵な笑みを浮かべながら親指を立てて見せた。


 「まあ取り敢えず、許可を得ることが出来たら、何かするという事でいいよね?」


 筵が質問するとZクラスのメンバーは頷き同意する。


 「よし、じゃあ何をやるかは、また今度会議するとして今回は解散ということで」


 筵が一旦会議の終了を宣言した。


 そして放課後に筵が1人で理事長に直談判に行くことになり、Zクラスは平常授業に戻っていた。

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