宇宙主義と平常授業 2
「ええっと、そんなことを僕達に宣言されても困るんだけど?」
筵は両手を軽く上げた状態で宇宙主義に一歩近づく。
「貴方達は、我々の攻撃を受けても無傷でした。そしてこの星での、この施設の存在理由は侵略者と戦うことにある筈、よって貴方達をこの星を賭けた正当な勝負の相手に相応しいと判断しました」
宇宙主義は淡々とした口調で筵に答える。それを聞いた譜緒流手は少し慌てた様子に変わる。
「ちょっと待って、それってお決まりの"お前達が勝ったらこの星は諦めてやる"ってやつ?」
「その通り」
「・・・・・・ごめんちょっと作戦タイム」
譜緒流手は片手を上げて宣言した後、筵の肩に手を回して肩を組んだ状態になった。
「ちょっと、どうすんの筵?オレたちに世界の命運が掛かってるみたいだけど?」
「落ち着いて、譜緒流手ちゃん。さっきあの子はこの"星の力を用いて蹂躙する"って言ったよね?」
「言ってたけどそれがなんなの?」
「あの子がそれをポリシーとしてるなら何とかなるかもしれない。とにかく任せて」
筵はそういうと作戦タイムを終了して再び宇宙主義の方を向く。
「ええ、宇宙主義さん、実は僕達の能力って戦闘向きじゃないんだよね。だからガチな殺し合いとかは酷しい感じなんだよね。でも高らかに対戦相手を指名させといて、その人たちが戦えないからと言って対戦相手を変えてもらうのは忍びないという気持ちが僕達にもあるんだ。だからここは戦闘以外の何かで勝負するって事でどうかな。それこそが僕達Zクラスのルール、勝負の付け方なんだけど」
筵は宇宙主義の相手の戦い方で勝って侵略をする、というポリシーにつけ込んで提案をした。
宇宙主義は一瞬考えた後、答えを出した。
「・・・いいでしょう。それが貴方達の戦い方ならば。そのルールで戦いましょう」
「貴方達?僕達、全員と戦ってくれるのかい?」
「ええ、どちらからでもいいですよ。もちろん2人同時でも」
「どちらから?違うね。僕達は2人じゃない」
筵がそう言うと湖畔が能力を解除してZクラス全員が姿を表した。
「Zクラスはこの7人、もちろん全員と相手してくれるよね?」
筵はいつもの半笑いで宇宙主義に笑いかけた。
そして筵と向き合った状態の宇宙主義もその理不尽な要求に抗議するでも無く、嫌な顔をするでも無く、ただ小さくほくそ笑んだ。