宇宙主義と平常授業 1
その時は突然訪れた。
それは祭に誘拐されて大罪型ハーベストの1/9を倒してから1週間ほど後の午後の出来事だった。
第7の魔王型ハーベストが出現しそうだと放送が入り学園の生徒達は皆、現場へと向かってしまっていて、普段学園で待機しているはずの理事長たちも今日は不在だっため、Zクラスの生徒達以外校内には誰も居ない状況が出来上がってしまった。
そして、その隙をついてという訳では無いのだろうが、その示し合わせたようなタイミングでそいつはやって来た。
「我々は宇宙主義、遍く星の海を揺蕩い、最果ての地に降り立つ」
突如、宇宙から現れたその巨大な円盤状の宇宙船のようなものから半分機械音の女の子の声が響く。
教室内で平常授業をしていたZクラスのメンバーは異様な雰囲気に気付き窓から学園の真上ほどの位置にいるその巨大な宇宙船を眺める。
筵は直感でこれが祭が半分ネタバレした第8の魔王型ハーベストであることを理解した。
そして、その状況に真っ先に反応したのはれん子だった。
「何だか物凄いピンチなんじゃないのこれ?」
れん子が額に汗しながら言った。
「うん、そうだね。取り敢えず僕と譜緒流手ちゃん以外は湖畔に捕まって隠れてた方がいいね」
れん子の問に対して筵が提案をする。
湖畔の能力、影潜む隠居は影に隠れられる能力で、湖畔は自分が触れているものを影の中に引きずり込むことが出来る。
筵の言葉を聞いた生徒達は素直に意見に従い、それぞれが湖畔にしがみついた。湖畔はその状況に赤面しながらも能力で全員連れて影の中に潜っていった。
「じゃあ、一応、外に出ようか?」
「ああ、まあそうだな」
筵と譜緒流手、そして、姿は見えないものの恐らく湖畔たちも校庭に出るために教室を後にした。
「大きいね〜」
筵は空に浮かんでいる巨大な宇宙船を見上げながら呟く。
「出てみたがどうする。ベントラーって連呼するか?」
「いや、もう来ちゃってるからね」
筵がふたたび宇宙船をまじまじと観察すると、宇宙船の砲台のような所が光ったのが確認できた。
すると次の瞬間には筵たちのいる校庭にレーザーが打ち込まれていて校庭は相当な整備が必要なくらいにまで崩壊した。
しかし崩壊した校庭には筵と譜緒流手が当たり前のように無傷の状態で立っていた。
「あいつら打ってきたんだけど!?」
「まったく、僕らじゃなかったら死んでるね。これは母さんに何とかしてもらうしかないかな?」
「いや、栖さんなら一瞬かも知れないけど、一応、妊娠されてるんだからやめとけって、それにほら、なんか降りてきたぞ」
譜緒流手が指さした先には小さなポッドの様な物があり、ゆっくりと崩壊した校庭に降りてきた。
そのポッドからCO2のような煙が噴出して、中から小さい少女が姿を現す。その少女は精巧に作られていたが至るところに継ぎ接ぎの様なものがあり、そこから機械であるのだと分かった。
「我々は宇宙主義、この星を侵略するためにやって来た。・・・・・・"星に入っては星に"。故に、この星の力、能力を用いて蹂躙し、この星を支配する」
宇宙主義は幼くも堂々とした声で侵略の宣言をした。




