平常授業で平常授業 3
「すみません皆さん。筵兄を借りていきますね」
昼食の時間、席をつけて弁当を食べていたZクラスの前に突然現れた祭は、椅子に座っている筵に後ろから抱きつくとそのまま何処かへと姿を消した。
「「・・・・・・」」
「筵先輩が誘拐されたんですけど!!」
淵は慌てて席から立ち上がり皆に訴えかける。
淵が周りを見渡すと梨理、譜緒流手、カトリーナは普通に弁当を食べつつけていて、れん子と湖畔は少し驚いている様子だった。
すると梨理が立ち上がっている淵を見上げた。
「心配ねーよ。あれは多分筵が言ってたアジトたちを連れてきたって言う本田家の三女だろ」
梨理は確信を持った顔で言った。
「借りていくって言ってたから、返してくれるんじゃないの〜?」
カトリーナも梨理に続いて答える。
「いやいや、誘拐犯とか怪盗とかも、きっと冗談でそういう言い回しすると思うよ」
淵は苦笑いをしていると、譜緒流手も口に含んでいたご飯を飲み込みしゃべり出した。
「まあ筵兄って呼んでたし大丈夫でしょ?」
「それはそうですが・・・」
淵はまだ少し心配そうな表情で自分の席に座る。
「淵さん優しいんだよね。いつも筵先輩に色々言ってるけど1番心配しているね」
落ち着きを取り戻した様子の湖畔が優しい笑顔で言った。どうやら湖畔はいきなり祭が現れた事に驚いていただけのようだった。
続いて湖畔と同じ理由で驚いていたれん子も疑問を口にする。
「でも本当にどこに連れてかれたんだかろうね。確か三女さんは時間を越えることが出来る能力者だから、いつの時代の何処に連れて行かれたのかまで考えないといけないね」
れん子の言葉でZクラス全員がそれぞれ黙って考え出す。それか数秒程たち、全員はある結論に至った。
「まあ、そのうち帰ってくるか」
「まあそのうち帰ってきますよね」