平常授業で平常授業 2
続いて筵たちは、それぞれジャージに着替えて体育の授業が行うために体育館の様な場所に向かった。
広い体育館の隅っこに卓球台をセッティングした筵たちはいつも通り遊び感覚で平常授業に勤しんでいた。
筵たちは卓球のコートを2コートを張っていて、その内の一つではれん子、譜緒流手、梨理が結構ガチめの試合をしていて、もう片方では筵、淵チーム、カトリーナ、湖畔チームに別れて軽くラリーをしている。
ラリーを続けながら同じチームの淵が筵に質問する。
「ところで筵先輩、お子さん達とはどうだったんですか?」
「ああ、土曜日に全員と話したよ。ひどいスケジュールだったね」
筵は土曜日にあったでき事について3人に説明をした。
「筵先輩、女の敵ですね」
淵はピンポン球を相手コートに返しながら言った。ラリーを続けているため淵の顔を見る事は出来なかったが、きっと筵のことをゴミを見るような目で見ているのだろう。
すると向こう側のコートのカトリーナが筵の後ろ側にいる淵に向かって声をかける。
「まあまあ淵、筵先輩のことを、そんな性犯罪者を見るような目で見るのはやめてあげて」
「ああ、背中に感じるこの絶対零度の視線は、性犯罪者を見る目か、ゴミどころではなかったね」
筵は"勉強になった"みたいな顔で呟く。
「でも筵先輩せっかくだったら、未来ではうちたちも面倒見てくださいよ。うちをZクラスに止めさせた時の言葉覚えてますよね?」
カトリーナはそう言うと絶妙なラケット捌きでピンポン球をいいコースに送り得点を入れた。
「どんな事を言われたのカトリーナさん?」
湖畔は興味津々と言った感じに聞いてくる。
「えーっと、確か。"僕なんかに媚び諂う必要なんて無い。何故なら、君がZクラスに所属しているという、その事実だけで僕は君を命を掛けて守るんだから、括弧一生"でしたっけ?」
カトリーナは懐かしそうに頷きながら言った。
カトリーナは最初、グレイスフィールド家の差金で学園の邪魔者である筵を大人しくさせるため、籠絡する様に命令を受けていた。
そして、その一方でカトリーナは姉であるスチュワートの友人である日室刀牙に好意を抱いてもいて、筵に迫る事に抵抗があったが、家族の命令には逆らえなかった。
最初は、筵を嫌々誘惑していたが、それは本音ではなく演技だと一瞬でバレてしまい、それから色々あって、筵は危ない状況に陥ったカトリーナを助けた。さっきのはその時に送った言葉であった。
それ以来、カトリーナは外面というのをしなくなり、このだらしない性格の子が生まれてしまったというわけである。
「途中までは合ってるけど一生とは言った覚えないな。別に一生でもいいけれどね。ただどこかのハーレムアニメのヒロインみたいに男に媚びる様なことは、して欲しくはないかな。ただこのクラスで笑って過ごしてくれればそれでいい。・・・・・・ところでカトリーナちゃん?振り返るのが怖いんだけど淵ちゃんはどんな目で僕を見てる?」
「ええっと、そうですねマザコン男を見る目くらいには回復してますね」
筵はカトリーナの言葉に少し驚いたような表情になる。
「おお、それはなんと言うか、核心を突かれたのかもしれないね」
筵自身が意識していたのかは分からないが、本田栖という凛とした存在を近くで見ていた筵は、女性には堂々としていて欲しいと言う思いがあったのかもしれなかった。
少しの沈黙が訪れた後、湖畔が焦りながら筵をフォローする。
「あのお母さんを見て、育ったのなら仕方ないですよ」
「フォローありがとう湖畔、結婚してくれ」
筵の急な告白を受けて湖畔は顔を赤くしてうつむいた。
「ああ!?淵が少しほくそ笑みましたよ筵先輩」
カトリーナが再び、淵の様子について筵に伝える。
「なに!?まさか淵ちゃんが腐女子の気があったなんて、ここは機嫌を取っておくのがベストだね」
筵はそう言うと笑いながら湖畔に近づいていく。
「ち、違いますよ。それにそういう人は湖畔くんみたいな可愛すぎる男の子じゃなくて好青年同士のが燃えるんじゃないですか?」
淵は必死で弁解すると、筵、カトリーナ、湖畔が一斉に淵の方を見る。
「詳しいんだね」
「詳しいなー」
「詳しいですね」
3人のハモりながら言った。それを受けた淵は赤面して、それから体育終了まで必死に否定し続けた。