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トリプル(ブッキング)デートで休日を 6

 「あら(むしろ)は遅かったわね」


 筵が譜緒流手たちと別れて家路につきリビングに入ると、(すみか)がキッチンから声をかけた。


 「おう筵おせーぞ」


 「おかえり〜」


 さらにダイニングには先程分かれたはずの梨理とれん子が食器などを用意していて、リビングの方を見るとそれぞれの子供であるアジトと安住の姿もあった。


 「なんか暇つぶしてたら栖さんに招待されちゃってさ、所で栖さんて本当に何者なの?普通に安住(アンジュ)のこと知ってたんだけど」


 「ああ、あれは驚いたぜ」

 

 れん子と梨理は驚いた様な表情で筵に質問すると、栖がキッチンから声をかけてきた。


 「そんなに凄いことでは無いわよ。・・・・・・ほら筵、早く譜緒流手(フォルテ)ちゃんと愛巣(あいす)ちゃんも呼びなさいな。全員分用意しているんですから」


 栖は当たり前のように会ったこともない孫の名前を言ってのけた。そのことに再び驚いたれん子と梨理は筵の方を見ると、筵は静かに目を瞑り頷いた。


 「でもいきなり息子に不倫疑惑が出てもこの態度なんて、理解のある親で助かるよ。理解があり過ぎて、もはや世界の理すら理解しているのでは、と思っているけどね」


 そう言うと筵は携帯電話を取り出して譜緒流手に電話をかけた。譜緒流手は驚いていたものの、それを承諾すると約30分後くらいに本田家に到着し、Zクラスの2年組とその子供たちに栖を加えた8人で夕食を囲んだ。


 



 「それにしてもおばあちゃん、私たちが来た時代と全然変わらないね〜」


 夕食後、愛巣はリビングで栖の左隣に座り呟く。


 リビングのソファには栖が愛巣、安住、アジトに囲まれるように座っていた。


 違和感はあるが血縁関係的にはおばあちゃんと孫にあたり、孫に囲まれて嬉しいのはきっと世界最強の能力者も同じなのだろう。


 そして驚くべきは、愛巣の放った"全然変わらないね"という言葉である。愛巣はお世辞など言うタイプではなさそうなので恐らくこれは紛れもない事実なのだろう。


 愛巣の発言を聞いた栖の右隣に座っている安住は愛巣に向かって指を指す。


 「ちょっと、あぃっ、あ、あなた失礼でしょう、おばあちゃんなんて」


 「じゃあ、なんて呼ぶの?」


 「そ、それはお姉さんとか?」


 安住の言葉を聞いた栖は穏やかに笑った。


 「おばあちゃんでいいわよ。それとあなた達、全員違う所から来たにしても皆、私の孫なんですから、名前で呼びあったらどうかしら」


 栖が提案すると安住は予想外のことのように驚いていた。


 しかしアジトはすぐ様それに反応する。


 「まあ、おばあちゃんに言われたら仕方ないよな、安住(アンジュ)?」


 アジトの馴れ馴れしい態度に安住は少し戸惑ってダイニングの椅子に座っている筵に助けを求めるような眼差しを向けると筵は親指を立ててそれに答えた。


 その様子を見た安住はため息をついて名前で呼び合うことに同意した。


 そして、それからしばらく家族団欒をした後、流れで解散となった。

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