トリプル(ブッキング)デートで休日を 1
未来の妹と未来の子供たちが来た昨日、それから一夜開け、土曜日となった今日、筵はれん子、梨理、譜緒流手からそれぞれ連絡を受けていた。
内容は3人とも大体一緒で、子供たちのことについて話したいという感じだった。
れん子たちと示し合わせて、れん子とは朝から昼まで、梨理とは昼から3時くらいまで、譜緒流手とは3時くらいから夕暮までという予定となってしまった。
れん子たちもこの予定を知っているとはいえ、他の人には見られたくない位のハーレム主人公のような予定である。
筵は最初に、れん子とその娘、安住と約束している喫茶店に向かった。
そこは、チェーンの喫茶店で、土曜という事もあり、早朝にも関わらず、そこそこ席が埋まっていた。
「筵、こっちこっち」
れん子が4人がけの席に座りながら筵に向かって手を振ってくる。その横には安住の姿もある。
筵はれん子のところまで行き、向かい側の席に座った。
「ごめん待った?」
「ん〜、今来たところだよ」
筵の問に対してれん子はメニューを見ながら答える。
「普通は逆では無いですか、それ?いや本当に今来たところなんですけど」
一連の流れを見ていた安住は少し呆れたように言った。
「安住ちゃん、普通ってそんなに大事なのかな?」
「・・・あ、ああ。い、いいこと風にまとめないでくださいよ」
安住は最初、呆気に取られた様子だったがすぐに調子を取り戻してツッコミを入れた。
「何か変だったかな?・・・ああ、呼び方とか?未来の僕はなんて呼んでるのかな?」
「普通に安住ですけど、変えなくていいです」
安住は少し顔を赤くしてピンクのメガネをかけ直しながらつぶやいた。
「安住はお父さん子何だって、筵良かったね」
れん子がほくそ笑みながら言うと、安住は違う意味で顔を赤くして、れん子の手を揺すりながら"ママなんで言っちゃうの?"と抗議している。
「それは、お父さん冥利に尽きるね」
筵はそう言うと安住に微笑みかけた。
それから、全員がコーヒーなどの簡単な物を注文し、しばらくするとそのメニューが届けられた。
筵は届いたコーヒーに3つほど砂糖を入れて、スプーンでかき混ぜて一口飲むと再び話を開始する。
「安住ちゃんをここに連れてきたのは、祭ちゃんということでいいんだよね?」
「はい、祭お姉ちゃんが送ってくれました。でも祭お姉ちゃんはパパに頼まれたと言ってましたよ」
「それは僕も聞いよ。理由がわからないともね。だから未来の僕からここに送られた理由聞いてないかな?」
筵が質問すると安住は少し困ったような顔になる。それを見た筵は直感的に安住が何か知っていると気づいた。
「・・・あ、あれです。私達、今、夏休みなんです。だから過去にホームステイする見たいな感じです」
安住は少し取り乱しながら答えた。
すると、その会話を聞いていたれん子が首を傾げる。
「梨理ちゃんと譜緒流手ちゃんの子供たちも、その祭さんによって連れてこられたなら祭さんが三人、この時代に来たことになるよね?そうしたら筵の前に現れるのは自然な流れだから、あとの二人はどうしたのかな?」
れん子の質問に安住はさらに取り乱したような表情になった。それを見た筵がれん子の方を向く。
「ああ、その事なら昨日の夜また祭ちゃんにあったよ。それに最初にあった祭ちゃんは僕に出会ったことは、想定外見たいな感じだったし、会わない方が正解だったんじゃないかな?」
「なるほど、そういうことね」
れん子は全く疑うことなく筵の言葉を信じ、コーヒーを1口飲む。
同時に安住はほっと胸をなでおろしていた。筵はまだ自覚は無いにしろ、自分の娘を質問責めにするのが心苦しくなり、全員が注文した商品を飲み終わるのを見計らい、提案をする。
「まあ、せっかくだし今から三人で遊びに行こうか?」