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訪問者たちと平常授業 3

 「(むしろ)兄お帰りなさい、贈り物は楽しんでいただけましたか?」


 祭はあろう事か本田(ほんでん)家のリビングのソファーに座り、くつろぎながら帰宅した筵を迎えた。


 台所では世界最強の能力者で筵の母親、(すみか)が夕食の準備をしていて、祭の隣には、本田家次女、(いこい)が座っていた。


 「流石に驚かされたよ。一人でも恐ろしいのに三人も送ってくるなんてね」

 

 「おや?私は一人しか連れてきていませんが?」


 祭は首をかしげながら答える。


 「まあ、そういう事にしておくよ。その方が僕的にも助かるし、・・・ところで何でここにいるのかな?今朝、帰らなかったっけ?」


 「ああ、筵兄が今朝会った私は、今の私から見て1ヶ月ほど前の私ですよ?一緒に見えるかもしれませんが、実は髪の毛を一回切って、また伸びて元の状態に戻っています」


 「分かりにくすぎるね。そういうのは気付くほうだけど、元の長さに戻されてたらお手上げだよ」


 筵は両手を軽く上げながら言った。すると祭の横に座っていた憩が質問する。


 「お兄ちゃん?祭ちゃんのこと知ってるの?」


 「今朝知り合っただけだよ?憩ちゃんこそ、この人がどういう人か分かってるかい?」


 「えっ?年上なのに憩姉とか呼んでくる痛い人だよね?でも嫌いじゃないよ。お菓子くれたし」

 

 憩は無垢な笑顔で毒を吐きながらソファーの前の大量のエッグチョコを指さす。それは憩の好きな、外国のヒーロー物の食玩だった。


 「しっかり買収されているようだね。あと嫌いなのはわかるけどそこのバラバラなのも作ってあげようね」


 筵はソファーの横のカーペットが引いてある床に直接座るとその赤と黒のヒーローの食玩を組立て始める。


 「だってそいつヒーローっぽくないんだもん」


 「僕としては能力的にシンパシーを感じるけどね。・・・それに、そっちの完成しているやつと見た目はほとんど一緒だよ?」


 「こっちはカッコイイからいいの、まあでも一番好きなのはコレだけどね」


 憩は青色のヒーローを指さす。


 その青色のヒーローはヒーローと言うものを絵に書いたような存在だったと筵は記憶していた。


 そして、それ故に憩は同じくヒーローと言うものを絵に書いたような、あの男に興味を(いだ)いているのだろう。

 

 憩はそんな事を思っていないだろうが、バラバラの状態だった赤と黒のヒーローと大事にされている青色のヒーローは(あん)に筵と刀牙を表しているようであった。


 「暗に、筵兄と日室刀牙さんを表しているようですね」


 祭はその状況を見て横槍を入れてくる。


 本田祭という少女はボケっとしているように見えるが、実は色々なことに気づくことが出来るような存在であった。もしくはボケっとしていても気づくことが出来るかのどちらかである。


 そして筵同様に言わなくてもいいことを言ってしまう。


 「祭ちゃんは、多分、この兄妹の中で僕に一番似てると思うよ。」


 「ああ、昔からよく言われてました。昔って言っても、今、この時点からでは未来の話ですが」


 祭がまた未来ネタを使って話をややこしくした所で、栖が夕食を作り終えて台所から夕食をダイニングに運んでいる。


 「みんなご飯よ」


 「あれ、(やぐら)ちゃんと父さんは?」


 筵が4人分しかない夕食を見て言った。


 「根城さんは夕食を食べてくるみたい。楼も友達と食べてくるそうよ」


 「楼姉に友達なんていたんだ!!」

 「お姉ちゃんに友達なんていたんだ!!」


 栖の言葉を聞いた祭と憩が若干ハモりながら言った。


 「失礼だよ二人とも、ただ友達じゃなくて配下とか下僕とかだろうけどね」


 筵は楼の事を、精一杯、出来うる限りの力を持ってフォローしたあと栖に向かって話しかける。


 「母さんは、祭ちゃんと会ったことあるの?」


 「ええ、何回か。・・・最初にあった時は9歳くらいだったけれど、不審者と間違えて倒してしまったわ。たしか今の祭より、もっと身長も大きかった気がしたわね」


 栖はそう言うと昔を懐かしむように、ほくそ笑んだ。


 しれっと9歳の時点で今の祭より大人な祭を倒したと言っているが、そこは流石は世界最強の能力者と言うしかないだろう。


 そうこうしている間に夕食が並び終り、本田家の母親、長男、次女、そしてまだ産まれていない筈の三女での奇妙な夕食が行われた。

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