崩壊都市で・・・ 2
「ほら、あそこで戦ってるの僕の妹だよ。すごいでしょ?」
筵は楼の戦いぶりに驚いている刀牙やかぐや、そして他の民間の能力者に向かって声をかける。そして違う意味で驚いていた斬人も筵が現れたことによりすべてを察した様に筵に対して軽くお辞儀をした後、一歩下がった。
「あんたが何でここにいるわけ?」
かぐやは普段よりも低いトーンで言い、筵を睨みつける。
「結界が崩壊したから助けに来たんだよ?多分あと十数時間たてば他の人たちも来てくれるよ。あと少しの辛抱って奴さ」
筵の言葉に唖然とする一同だが、かぐやと刀牙、そして斬人以外は喜びの声を上げた。
しかし、それでもかぐやは不信感を含ませた様な顔をしている。
「はあ?あんたは何もしてないくせに何言ってるの?」
筵のいつもの半笑いに対して少し怒りのこもった表情のかぐや。
「でも楼ちゃんは僕がお願いしないと動いてはくれないよ?」
「・・・あんたそれでも男なの?」
「それはセクハラかい?」
筵はかぐやの男性蔑視発言に対して半笑いのまま返し、さらに言葉を続ける。
「まあいいや、僕はそこの日室くんと話があるんだよね」
そう言うと筵は刀牙に方に向って歩いていく、刀牙まであと少しのところでかぐやが刀牙と筵の間に割り込む。
「何かな藤居さん?」
「何をするつもり、今は戦闘中よ?」
かぐやは筵に敵対的な目を向ける。すると筵は軽くため息を漏らし、巨人型ハーベストを指さす。
巨人型ハーベストは既に楼によって身体の自由を奪われていて、周りの翼竜型ハーベストに攻撃を仕掛けていた。
「見てみなよ。楼ちゃんがもうハーベストを倒してくれたよ」
「・・・はあ、あんたと刀牙を会わせたくないだけよ?分からないの」
楼が巨人型ハーベストを倒した事により言い訳がなくなったかぐやは、諦めて本心を吐露した。
「何を話すか知らないけど、話したいならここで言ったら?」
「君には聞かれたくないんだけどな」
筵は困っていると楼が完全に巨人型ハーベストを倒して筵の元まで歩いてきた。
「お兄様終わりました。・・・おや、そこにいるのはヤリ○ンクソビ○チ女ではないですか?」
「楼・・・」
楼は筵と合流するなり汚い言葉でかぐやを罵る。それに対してかぐやも嫌そうな顔を向ける。
この場面だけでも分かる通り楼とかぐやはとても仲が悪い。と言うよりかぐやが筵を嫌っているため、楼はかぐやを嫌うようになったというのが正しい。
「お兄様、私がこのビッチを止めておきますので、どうぞ、そこの男と話してください」
「ありがとうね楼ちゃん。あまり変なことをしてはダメだよ」
「はい分かりました。お兄様」
筵は楼の肩を軽く叩き、かぐやの横を通り刀牙の前に立った。
かぐやはそれを止めようとしたが、楼の見えない圧力によりそれはかなわず、筵は刀牙に一言二言話すと共に物陰に向かっていった。
それを見たかぐやが驚いて刀牙に声をかけようとしたが、刀牙は手を前に出して"待て"と言うようなジェスチャーをした。
そのため、かぐやは複雑な顔で筵と刀牙を見送くることになった。