結界内で平常授業 1
譜緒流手たちは筵、梨理に連絡を取り、そのメイドとキューブ状の物を持って別荘に集合していた。
ことの詳細を皆に説明し、しばらく話し合ったが結論は出ず、結局メイドが目覚めるのを待つという事になった。
しかしその答えは、恐らく他のクラスの生徒たちがレクリエーションの結果発表を行っている時に判明した。
結果発表の会場であるこの島の中心から、光の柱のようなものが現れ、続いて島の至るところでも同じ柱が出現のである。
地面から出ている光の柱は上空まで達して、その溢れ出る光で巨大な魔法陣の様なものを形作り、続いて禍々しい光の膜の様なものが島全体を覆った。
海岸沿いでまで出て、それを見ていた筵は島を覆っている光の膜を見た後、しばし目を瞑って考えた。
「うーん・・・これは恐らく、いやかなりの確率で、結界って奴かな?多分閉じ込められた的な?」
「何もかも曖昧ですね!」
淵は首をかしげる筵に対してツッコミを入れる。
「でもね淵ちゃん、見かけで判断してはダメだよ。あんなに禍々しい光の膜でも危険な物とは限らないからね、もしかしたら紫外線とかカットする奴とか逆に守られてるとか?」
筵がいつもの半笑いで言うと、梨理が足元に落ちている貝殻を拾った。
「じゃあ、これで試そうぜ」
梨理はそう言うと思いっきり振りかぶり、貝殻を光の膜に向かって投げる。
貝殻がその光の膜に当たると灰になって粉々になった。
「あらら」
「これはこれは」
梨理と淵は細い目で筵の方を見る。
筵もその2人の視線を受け再び目を瞑る。
「完全に殺しに来てるね。やっぱり、人間も結界も何もかもが、見た目がほとんどって事だね。それに該当しないのはシベリアンハスキーくらいかな」
「嫌な結論に至りましたね。シベリアンハスキーは可愛いですけど」
優しい目をして光の膜を見ている筵に対して淵が呟く。
すると梨理がそんな筵と肩を組んだ。
「まあ、何にせよ。閉じ込められちまったってことだろ?これからどうすんだ?」
「うーん、そうだね。町まで行って情報収集か別荘で人生ゲームどっちがいい?」
筵の二択に対して淵と梨理は二つ返事で答える。
「情報収集ですよね普通」
「人生ゲームだろここは?」
淵と梨理は意見を言うとお互いの顔を"あれ?"といった感じで見合う。
そのやり取りを暖かい目で見ていた筵は、楼と紅來莉子を入れた全員の意見を聞いた。
その結果、6対2で情報収集という事に決まり町に向かうことになった。ちなみに人生ゲームの2票は梨理とカトリーナであり、"一昨日の夜に1回遊んでしまったのが敗因だ"などと供述していた。
そしてZクラス+2の能力者たちはメイドを別荘の中の柱に縛り付けて、結界により薄暗くなった外の道を歩き、町へと向かった。