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強化合宿で平常授業 4

 中間報告をすると、(むしろ)チームは無双状態だった。


 正確には、筵以外の2人の中学生が強過ぎた。


 世界最強の能力者の遺伝子を正当に受け継いでいる(やぐら)の強さは言わずと知られているが、実はハーベストであった中学生徒会、副会長の紅來莉子(くくりこ)も植物を操る能力で相当強く、Bクラス以下の者達では歯が立たなかった。


 「お兄様、これで金のメダルが3枚と銀が5枚、銅が8枚です」


 島の森の中、楼は気絶しているチームのメダルを奪い取り言った。


 このままではチーム優勝が見えてきてしまう勢いであった。


 「あー、楼ちゃん?もうこのくらいでいいんじゃない?ポイントは全部二人で使っていいからさ」


 「いえ、全員ぶっ飛ばしてお兄様の偉大さを知らしめます」


 「たぶん、楼ちゃんの強さが轟くだけだと思うけどね」


 楼が邪悪な笑みで筵を上目使いで見ると、筵は手で頭を押えながら呟く。


 「楼様、筵様。次の相手が来たみたいですよ」


 紅來莉子が本田兄妹に注意を呼びかける。


 すると前から1人の女と2人の男が歩い来るのが見えた、そのチームは見た所Aクラスであり、その中の1人は筵のスパイとしてAクラス並びに学友騎士団に潜入している破魔野(はまの)斬人(きりひと)であった。


 斬人は筵チームの先頭にいた紅來莉子の存在に気付き驚いた様な表情を浮かべた。


 そして、斬人の存在を確認した紅來莉子もまた顔色を豹変させていた。


 「死ねやー!!」


 紅來莉子は飛び上がり敵チームに近づき、地面に手を付けると植物のつるが地面から現れてAクラスの3人に向って襲いかかる。


 不意打ちだったのもあり、斬人以外の2人はつるで吹き飛ばされてそのまま動けなくなってしまった。


 「紅來莉子?何故ここに」


 紅來莉子の攻撃をかわした斬人はバックステップで一歩下がる。


 「ちっ!!なにかわしてるんだよ」


 紅來莉子はいきなりドスのきいた声に変わり斬人を睨みつける。


 斬人と紅來莉子は筵の母親、(すみか)によって呼び出されたハーベストであり、筵と楼の護衛任務を受けている。故にこの2人はライバル心があり、あまり仲が良くない。


 突然の紅來莉子の攻撃に対して、斬人は状況を把握出来ないでいたが、後から歩いてくる筵と楼の存在を確認すると、Zクラスの助っ人として参加したのだと理解した。


 「ああ、そういう事でしたか・・・なるほど、どうやらこの状況、我々の負けのようですね」


 斬人は自分たちで稼いだメダルを素直に差し出してくる。それに対して紅來莉子はキレたような声で言い放つ。


 「はあ?何たるいこと言ってるんですか。ぶっ飛ばして奪い取りますけど」


 「紅來莉子、私たちは栖様のご子息には危害を加えることが出来ない。分かっているだろ?」


 「何言ってんすか?最初から、一対一でやるつもりですが?」


 「なるほど、そういうことなら戦ってやってもいいぞ」


 「上から目線でうぜぇんですが」

 

 紅來莉子と斬人は今にも戦いを始そうな様子でにらみ合う。


 その状況を見かねた筵はしぶしぶ口を開く。


 「二人とも仲間割れとかしたら、護衛をクビにしちゃうよ」


 筵の言葉を聞いた紅來莉子と斬人の2人は尋常ではないくらいに焦り、筵と楼の前に駆け寄ってきて、そして土下座の態勢をとる。

 

 「筵様どうかお許しください」


 「楼様、見限らないでください」


 2人は若干震えながら土下座を維持し許しを乞う言葉を口にする。栖の能力で呼び出されたハーベストたちは栖や栖の家族に、心からの健全な服従心が刻まれていて、主の子供の補佐役といえば、彼らの中ではかなり名誉な役職であった。


 筵はそんな2人の姿を優しく微笑みながら見た後、口を開く。


 「うん全然いいよ。でも喧嘩はダメだからね」


 「「あ、ありがとうございます」」


 深く反省した2人は筵によって許され、再度、深く頭を下げる。


 そして斬人は筵に持っているメダルを全て手渡すと、紅來莉子にやられた2人を救護施設に運ぶために去っていった。

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