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テロ事件でも平常授業 3

 筵と淵は取り敢えず、梨理とカトリーナを回収するために同じく2階にあるゲームセンターに向かった。


 すると梨理とカトリーナは音ゲーの爆音によりテロ事件が起こったことにすら気付いていなかった。


 「まじかよ、1階のれん子たち、やばくねーか?」


 「そうですね。次のが終わったら行きましょう」


 梨理とカトリーナは太鼓をリズミカルに叩くゲームをフルコンボしながらあまり興味なさげに言った。


 れん子は気づかれないし、譜緒流手(フォルテ)は物理攻撃が効かない、湖畔(こはん)は影に隠れられる。


 まず無事であると確信した上で言っているのだろう。


 梨理とカトリーナが2人ともフルコンボを決め、この後どうするか、ということを話し合おうとした時、1階のフードコートにいたれん子、譜緒流手、湖畔がゲームセンターの近くの階段から上がってきた。


 「いやー、驚いたね。筵って意外と巻き込まれ体質?」


 れん子はゲームセンターの前にZクラス全員が集合しているのを見て安堵した様な表情を浮かべる。


 「多分それは、家に転がり込んできた少年探偵のせいで"死神"と呼ばれてるおっちゃんと同じ現象だよ。さっき本屋の前で日室刀牙を・・・」


 話の途中で急に塞ぎ込む筵、先程、(いこい)が刀牙と一緒にいた事を思い出したのだろう。


 その様子を見て湖畔が筵の元に駆け寄ってくる。


 「せ、先輩どうしたんですか」


 「筵先輩は先程、2番目の妹さんが日室先輩と一緒に居るのを見てから傷心です」


 唯一、筵を心から心配する湖畔に、淵はことの詳細を説明する。


 「湖畔頼む。僕をお兄ちゃんと呼んでくれ。なんでも買ってあげるから」


 筵は急に湖畔の手を握り、死にかけの様な声でお兄ちゃんと呼ぶように迫った。


 そして、それに動揺した湖畔は顔を赤くしながら、あたふたして、そのまま下を向いて黙り込んでしまう。


 「おい兄貴、あたしは新しく出たゲームがほしいんだが」


 「兄さん、オレは音楽取りたいからウェブマネーで」


 「不労所得がほしいです。兄様」


 「急な、何とかプリンセスありがとう。じゃあ、買いに行こうか。ここはショッピングモールだから何でも揃うよ」


 梨理、譜緒流手、カトリーナの要求をのんだ筵は3階のおもちゃ、ゲーム売り場に行こうとする。


 れん子はそんな筵の手を掴み静止させる。


 「なんだいれん子ちゃん。この流れだと、にぃにぃとかかな?」

 

 「いや今、テロ事件の真っ最中なんだけど」


 一同は全員集合したことにより、いつものノリになってしまい状況をすっかり忘れていた。


 「でもある意味でこの事件は日室くんのせいなんだからきっと彼が何とかするよ。少し見学してみようか」


 筵は相変わらずの他力本願な態度と野次馬根性でZクラスのメンバーを誘導し、2階から1階の出入口付近を見下ろせる場所まで移動した。


 2階から1階を見下ろすと人質として捕まった多くの人とそれを取り囲む様に立っているテロリストが確認できた。




 「そこまでだ!テロリストども!」


 その張り詰めた空気に突然若い女の子の声が響く、飛び出したのは黒髪短髪で健康的な少女。それは(まさ)しく、本田(ほんでん)筵の二番目の妹、本田(いこい)であった。


 テロリストたちは人質を集めて、その周りに組員を配置していて、人質の安全の事を考えたら動かないのが得策なのだろうが、憩にはその意味がわからなかったようでドヤ顔で腰に手を当てている。


 幸いただの馬鹿な子供だと思われたようで、すぐに交戦とはならなかった。




 「あれ憩じゃねぇか?なにやってんだ。それにあの人質のとこ見てみろよ、かぐや捕まってるぞ」


 梨理が憩とかぐやを指差した。かぐやの方も2階にいるZクラスの存在を見つけたようでコチラを睨みつけてくる。


 「この状況まずくない筵?」


 れん子は隣で驚いた表情をした筵を下からのぞき込んだ。


 「これは本当にまずい・・・憩ちゃんが本格的に日室ハーレムに入ってしまう!!」

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