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テロ事件でも平常授業 1

 「よく考えたらこの時期に水着なんて売ってはず無かったね」


 譜緒流手(フォルテ)がショッピングモールに併設されているフードコートでポテトを食べながら呟いた。


 「みんな完全に舞い上がってましたからね」


 譜緒流手(フォルテ)の向いに座っている湖畔はストローで飲み物を飲みながらそれに答える。


 このショッピングモールは四階建てほどの建物で一階は食品売り場とフードコート、二階はおもちゃ売り場やゲームセンター、本屋。そして3階に服屋などが配置されている。


 3階の服屋に向かったところ、9月後半の現在では水着は取り扱かってはいなかった。


 そして現在、譜緒流手たちは一階のフードコートにて暇を潰していて、(ふち)(むしろ)は二階の本屋に、カトリーナと梨理はゲームセンターで遊んでいる。


 「今年はみんなで海とか行かなかったからね。仕方ないから去年のでいいよね」


 れん子もポテトと飲み物を持って譜緒流手の横に座る。


 「オレは当たり前のように成長して無いけど、れん子は大丈夫なの?」


 譜緒流手は自分の幼児体型の胸の辺りを手で強調しながら言った。


 それを聞いた湖畔はうつ向き顔を赤くして、れん子は文字通り胸に手を当てて考える。


 「確かに今日家で着てみて、ダメだったら遠出して買わなきゃね」


 「へぇ、やっぱ大きくなってるんだ」


 譜緒流手はれん子の胸をジト目で見ながら呟くが、すぐに我に返った。


 「し、しまった。Zクラスともあろうものが、これではまるで普通の女子高生じゃないか!?危ない危ない、れん子好きなハーベストハンターの敵キャラは!?」


 「えっ!?機龍型ハーベストの第二形態!」


 「湖畔くんは?」


 「ス、スライム型ハーベストのブラッドレッドです」


 「ああ、あれ地味に強いよね・・・ふぅ、これでこそZクラスだ」


 譜緒流手は額の汗を拭いながら、飲み物で水分を補給し、それから、譜緒流手たちは水着等の話は忘れて、ハーベストハンターの話題盛り上がった。




 「あっ」


 湖畔はなにかに気づいたように、まだゲームの話をしているれん子と譜緒流手の後ろを見た。その視線に気づいたれん子と譜緒流手も後ろを振り返える。


 そこにはエスカレーターを降りてくる、学友騎士団でAクラスの藤居かぐやと天使型ハーベストだった少女の姿があった。






 


 れん子たちは気づかなかったことにして、やり過ごそうとしたが、かぐやとハーベストの少女も誰かを待っているのかフードコートで飲み物とポテトを買って、れん子たちの近くの席付いてしまった。


 向こう側も席に座った後にZクラスの存在に気づいたのか、お互い無視をしていたが、しびれを切らした譜緒流手が口を開く。


 「こ、こんな所で会うなんて奇遇だね。な、なに、まさか9月の後半なのに水着とか買いに来たの?」


 物凄いブーメラン発言を言い放った譜緒流手だったが、どうやら9月に水着を買いに来るバカはもう1組居たらしく、かぐやは動揺した様子を見せる。


 「そ、そんな訳ないでしょ?譜緒流手、あなた達こそこんな所でなにしてるの?そういえば聞いたわよ、合宿に参加することになったらしいじゃない。そっちこそ水着を買いに来たんじゃないの?」


 譜緒流手も動揺をあらわにしながら、かぐやの横に座っている今は羽をしまった状態の天使型のハーベストの少女の方を見る。


 「そ、そういえば、そちらの子はこっちの世界に来たばかりで水着とか持ってないんじゃないですか。それを買いに来たんでしょ認めなよ〜。別に恥ずかしいことではないよ〜」


 「いやいや、あなたたちは急に南の島行くことになったから、水着とか用意してなかったでしょう?」


 かぐやと譜緒流手が無駄な争いをしているのを後目に、れん子は天使型のハーベストの子に話しかける。


 「私達もう9月後半だっていうのに水着買いに来ちゃってさあ。あなた達も?」


 「そう、売ってなかった」


 無表情キャラの様なその子は、ハムスターがひまわりの種を食べている時のようにポテトを咥えながら淡々と言った。


 その会話を聞いて譜緒流手とかぐやが落胆している。


 「私は四ノ宮れん子、あなたの名前は?」


 「こっちでの名前は東城リマ。本名はリマエル」




 


 リマとれん子が打ち解け、そこに湖畔も混ざったことによってすっかり和んでしまった空気を引き裂いたのは、大きな爆音であった。


 爆音のあった方を見ると、出入口を塞ぐようにして立っている、数十名の覆面の男性によって近くのエスカレーターが爆破されていた。


 それがテロであると分かった一般客は逃げ惑ったが、覆面集団の中の1人が能力で再び、適当な所を破壊して、脅しをかけると一般客の逃げる足は止まった。


 おそらく東西南北にある全ての出入口はその集団によって塞がれているのだろう。


 そして、その覆面集団の中の代表者が拡声器を手に持って声明を語り始める。




 「我々は兵役を終えた能力者たちの人権を主張する。兵役後の能力者で傭兵に就職しなかった者達は、能力を使っただけで罪とされる。例え、正当防衛であろうとそのほとんどが過剰防衛とされる現状だ。そんな現状を知ってか世の中の能力者でないものは能力者を集団リンチしストレス発散の対象としている。こんな事があっていいのか!!人間の進化系である我々が何故、能力を持たない劣等種の指図を受けなければならない?そんな事はあってはならない。故に我々はここに与えられた能力を正当に行使する!!」

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