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裏任務でも平常授業 2

 筵の提案した条件は渋々、受け入れられ、同時に(むしろ)も裏任務を受けることになった。


 その内容は兵役を終えた能力者で金に困っている者を被検体として雇っている学者がいて、雇われた多くの人が行方不明になっているため、その実情を調べて場合によっては阻止を行うというものであった。


 「まったく、あの理事長は爆弾なんて渡してきて、これでどうしろと言っているのかね?」


 筵は任務を受けた後、何食わぬ顔で教室に戻り平常授業を受け、暗くなるのを待って現場と思わしき研究施設に向かっていた。


 現在の時刻は午後9時を回ったくらいである。


 ”あんたに自爆特攻しろ、つってるのではねーですか”


 大皿喰らいの声ではない、少年のような舌足らずな声が筵の心の中に響く。


 「寝首搔き、君たちは当番制で心の中の声をやってくれてるのかい」


 ”そーいう認識で間違ってねーです。大勢で喋るとあんたの負担になるのではねーか、っつー配慮ですよ”


 「へぇ、それはありがたいね」


 筵は渡されたいくつかの時限爆弾と手榴弾を確認する。


 「まったく、生徒の命をなんだと思っているのかな?」


 ”それは突っ込み待ちという事ですか?それとも僕の刀身をあんたの心臓に突っ込んだらいーですか?

 

 「いやいや、自分で自分の命を軽く見るのは良いけど、他人に軽んじられるとムカつくものだよ」


 ”まあ、確かにそれもそーですね。ところで今回は僕達を使うのですか?”


 「うーん、一度使ったからと言って、タガが外れたように使いまくるのは良くないと思うけど、今回は必要かもね爆弾ではこっそりと侵入出来ないからね」


 魔剣との奇妙な会話をしていると、すぐに指定された研究所に到着した。


 研究所は厳かな雰囲気を漂わせていて、人気が無く封鎖されているかのようであった。


 しかし、監視カメラは至るところに設置されていたため、筵は身元がバレないように、支給されたゾンビのマスクを被り潜入を試みた。


 ”そのマスクには悪意を感じますねー”

 

 筵の被ったゾンビマスクに対して寝首搔きが茶々を入れる。

 

 正面玄関のシャッターが閉じられているのを確認した筵は、他の入口を探すために監視カメラをくぐり抜けながら、研究所の裏へ回り込んだ。

 

 すると正面玄関の丁度真裏の辺りで、関係者用のやけにデジタルチックなドアのような物を発見した。


 「電気を操る能力者ならこういう時便利なのかな?」


 ドアの横にはパスワードを入力するためのボタンと画面、それとカードを通すような窪みがあった。


 筵は少し考え、シャッターが閉まった正面玄関の方から侵入する事に決めたのか、そちらの方に戻る。


 ”こーゆー時は、裏口から侵入がベターじゃねーですか?”


 「いや、こんな広い研究所で秘密裏に研究が行われているとは思えない。きっと、裏口の付近が研究する場所になっていて、その他の場所はほとんど使われてないんじゃないかな?」


 ”はたして、そーですかねー?”


 「大丈夫、大丈夫。死んだらもう一度やり直せばいいんだから、それじゃあ、早速よろしく」


 正面玄関のシャッターの前に立った筵は、手を構えて禍々しく、黒光りする小太刀、寝首搔きを具現化させた。


 寝首搔きでシャッターに少し切り込みを入れると、少し大きめの音を立ててシャッターは崩れさった。


 筵が中へ侵入すると、そこには数名の研究員のような人がたむろしていた。恐らくここは職員のサボりスポットだったようで、彼らはゾンビマスクに小太刀を持った異様な容姿の筵を見て固まっていた。


 筵はため息をつき、ゆっくりとカバンを下ろして中から手榴弾を取り出した。


 左手に爆弾、右手に小太刀という完全な強盗スタイルになった筵は大きく息を吸い込んだ。


 「おらおら、テメーら、死にたくなかったら手を挙げろや!!」


 若干、棒読みではあったものの、マスクと凶器のおかげか、その場にいた研究員はみんな手を挙げ、怯えた表情で強盗を見ている。


 筵もこのあとの打開作を考える事を放棄し、現実逃避として南の島での楽しい遠足について考えていた。

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