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魔王再臨と平常授業 17

 「はあはあ···」


 刀牙達が倒れている中で、新羅は息を切らしながら膝を着く。


 「やはり、中々に人の手には負えない力・・・ですかね」


 そして、そんな事を呟きながらゆっくりと立ち上がろうとする。


 「ええ、その通りだと思いますよ」


 「!?・・・ああ、貴方ですか。流石、と言うべきでしょうか?」


 「いやいや、ただこの呪いの如き能力にいいように利用されているだけですよ」


 新羅が先程放った技、"杞憂"は相手に幻を見せる技であり、それを食らったこの一帯の生命体は空が落ちて来る幻を見させられていた。


 だがしかし、筵には精神に干渉する洗脳や幻術を食らうと、呪いが勝手に自死を選択し、その精神への干渉を妨害するというセーフティが掛けられていた。


 これは宿主である筵がこの世界で詰まない様に働く呪いの性質によるものであったが、何はともあれ、他の生命体が眠りに落ちている中、筵と新羅、そして疲れきってしまっているがメリーだけが唯一、この場で正気でいる事が出来ていた。


 「はあ・・・」


 と新羅は深くため息をつきゆっくりと立ち上がると、離れた位置にいる筵と向き合う。


 「で、どうしますか?今から戦って決着をつけますか?・・・と格好良く言いたい所なんですが、中々どうして随分と分が悪いですね」 


 「・・・」


 魔王型の能力による体力の消耗が予想以上であったという事等を加味して筵とここで戦う事は得策ではないと考えた新羅は若干の苦笑いを浮かべる。


 そして、新羅は自身の出方を何時もの内心の読めない半笑いで伺う筵の様子を確認し更に少しの間考えた後、再び口を開く。


 「私を見逃してはくれないでしょうか?」


 「・・・どういう事でしょうか?」


 「いえいえ、シンプルにここで貴方と戦うのは悪手過ぎますからね。命乞いと言うやつですよ。ただしかし、ここで私と戦わない事は貴方にとっても決して悪い話では無いと考えますが?」


 「・・・なるほど」


 筵は新羅の言いたい事をあらかた理解して呟く。


 この状況、体力の消耗が激しい新羅と逆に体力を消耗しない筵が戦闘を行った場合の決着は目に見えていた。


 しかし、もしも本当に新羅と戦う事になれば天候を操る能力による攻撃でこの辺り一帯の被害は甚大なものになるだろう。


 そして、この周囲には恐らく先程の幻覚を見せる技に囚われて気を失ってしまっているれん子達もいる。


 常日頃から世界の平和よりも身近な者達の事を大切に思っている筵にとってここで選択する方は当たり前の様に決まっていた。


 「・・・そうですね。その命乞い受け入れましょう」


 完全にしてやられた筵は自身の手にある魔剣を収納し、戦う意思がない事を示す様に小さく両手を上げる。

  

 「で、貴方はこれからどうする予定なんですか?魔王型の能力を手に入れてさっき言ってた見たいに神にでもなるつもりですか?」


 「?」


 筵の問いを受けて新羅は一瞬、鳩が豆鉄砲を食らった様にキョトンとした顔をする。


 「ああ・・・ふっ、ふふふ。申し訳ありません。さっきのあのセリフの事ですよね?あれは冗談ですよ冗談、思い付きで言っただけです。私が神になるなどとんでもない」


 新羅はそう言うと緊張の糸が切れた様に急に笑いだす。


 そして、新羅のその様子から筵は以前ファミレスで話した事を新羅が本当に実行しようとしている事を確信する。


 「では、いつか言っていたように母さんに殺されるつもりなのですか?」

 

 「ええ、その通りです。ただ、あまりにもあっさり殺されては意味が無い。本当に世界が私にどうにかされてしまうのではないかと誰しもに思って貰わなくてはなりません。そういう意味でも栖様がご出産の為にあちらの世界に籠られている今しか実行可能なタイミングが無かったのです」


 「なるほど・・・」


 それが新羅の真の狙いであった。それ故に彼は今まで共に過ごしてきたこの世界で2番目に大切な者を切り捨てたのだ。


 「それにしてもやはり神になるなんて少し漠然とし過ぎましたかね。うーん、どうでしょう?例えばマニュフェストとして"この世界の人口を5億人にまで減少させて1割を能力者、9割を非能力者の労働力とする"とか言い出したらヤバい奴って感じでいいですかね?」


 「さあ、そんなの知りません。どうぞ勝手にやって下さい」


 筵はため息混じりに新羅の問いに答えると、その後付け足すように言葉を続ける。


 「・・・ただ僕からも1つ言わせて下さい。どうか、くれぐれも僕らのテリトリーを侵す事の無いようにお願いします。貴方がその様な事をするとは思えませんが、もしもそんな事があった時はこちらも本気で対処しなくてはいけませんからね」


 「・・・ええ、肝に銘じておきます。では私はこの辺で失礼させていただきます」


 最後に新羅そう言い、深々とお辞儀をすると何かの力により浮遊し、その後見えない何かに包まれ様にして姿を消してしまった。

やっとこの章を書き終わりました。

まあ全ては俺が更新をサボってたせい何ですけどね。本当に申し訳ない。

次はちょっと番外編的な感じで新羅の話を書くつもりです。よろしくお願いしますorz

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