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特別休暇も平常授業

 天使襲撃を食い止めたあの日から、5日たったある月曜日の朝。


 今日、学校に登校して来ているのはZクラスの生徒のみである。天使襲撃の阻止に尽力した生徒達には土日合わせて4日間の特別休暇が与えられたのだ。


 ザクスエルは(ふち)とかぐやを安全なところに避難させた後、帰ってきた斬人(きりひと)によって倒されたということにして、敵前逃亡の件は丸く収まっていた。


 そして、肝心の日室刀牙はというと、異世界にて実は天使型ハーベストだったヒロイン候補と協力して進行軍の隊長を倒し無事帰還を果たしていた。


 




 「しかし、あれはウケたよな。筵が反対したらみんな掌返して賛成して」


 梨理は三日程前の全校集会の話を掘り返した。


 「ああ、あの天使型ハーベストだったって言う子を受け入れるかどうかを話し合ったやつね」


 譜緒流手も笑いながら横目で筵を確認する。


 「最初はみんな嫌そうだったのにね」


 れん子もその時のことを思い出し、にこやかな表情を浮べる。


 「筵先輩の事ですから、きっとそうなる事を予測して反対したんですよね?」


 「湖畔くんそれだけはないよ」


 湖畔とカトリーナの1年生も話に混ざる。


 全員の注目がこのクラスの責任者である腐った目の男に集まる。男はクラスのみんなの顔を一通り見渡し、いつものニヤケ面を向けた。


 「あの時は、トイレに行きたかったんだよね。だから早く終われって思ったんだよ」


 「はあ?なんじゃそりゃ?」


 梨理は"撤収"と言わんばかりの呆れた表情を向けた後、机に積んである漫画を読み出し、その他のメンバーも自習用の暇つぶしアイテムで遊び始める。




 ガラガラ。



 

 教室の扉が開く音が鳴り、皆が音の出た方を向く。


 「お、おはようございます」


 そこには、Zクラス1年の鈍空(にびぞら)(ふち)の姿があった。


 「淵どうしたの?他のクラスの奴らと同じく休みもらったんじゃなかったっけ?」


 「暇なんで来ちゃいました」


 譜緒流手の質問に淵が照れくさそうに頬を掻きながら答えるとカバンを自分の席に置き、筵の席の前に立った。


 「どうしたのかな?淵ちゃん、告白かな?」


 「違いますよ、ただいま・・・って言いたかっただけです」


 淵は天使型ハーベストの討伐の件で活躍したことから、違うクラスに編入することが許可されていた。


 しかし筵の耳には、淵がそれを断ったという噂も届いていた。


 筵はそれについて本当にいいのか訪ねようとしていたのだが、淵の晴れやかな顔を見て、その質問をするのは無粋であると察した。


 そして今の淵にかける言葉は1つしか思い浮かばなかった。

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