魔王再臨と平常授業 15
「なるほどな〜、流石に同じ魔王型って感じかな〜♪」
空から降ってこようとしている隕石を眺めながら何度も頷いたメリーは手の部分のみを拡声器に変えて、地面に居る筵達の方を向き口を開く。
「あー、大きいのはボクが何とかするからそれ以外は任せたよ♪」
とそれだけ言い残すとメリーは再び隕石群を見る。
ざっと見た感じ、隕石の内訳は超巨大な物が1つ、大きいと言える物が5、6個、そして中位の物が数十個に小さい物が数え切れない程と言った感じであった。
「いくぜぇ♪」
腕まくりをしながら景気よく言ったメリーは再び雷に姿を変えて、大きい隕石に向かって猛スピードで激突すると、その衝撃でまず1つ目を粉々に破壊する事に成功する。
更に続け様に次の隕石へと視線を向けて、今度は大口を開けると、喉の奥から砲身を出現させる。
そして、そこからレーザー砲を放ち、最終的には自分の体をもレーザーに変えながら2個目の隕石を貫通し粉砕する。
そんな感じで次々に巨大隕石を処理していき、最後にメリーは一つだけ残った超巨大な隕石と対峙する。
「いやー、こりゃ、疲れそうだね」
少しだ気だるそうに笑うと、メリーは身体を高速回転させて1度巨大な竜巻になり、その後その中から巨大なミサイルとなって姿を表す。
そして、すぐ様ジェットを点火させて超巨大隕石へ向かって飛び立っていく。
「うーん、これだと厳しいかなー」
少しの間飛んだ後、そんな事を言い出したメリーは隕石へと向かいながらミサイルの原型を崩さないまま、何度も変身を繰り返していく。
「これかな?いやいやこれか?うーん、こっちかも」
変身を重ねる毎にドンドンと見た目を強化して行ったメリーは、最終的にジェットエンジンましましで形をよりシャープにし、更に先端部をドリルに変えて、ようやく納得したのかその姿で再加速して隕石へと突っ込んで行く。
バァン!!!!!!
と、まず隕石とメリーが衝突した事による衝撃波と凄まじい音が広がっていき、それからドリルにより隕石を掘って行き、中心部へと進んでいく。
「んー、この辺かな〜」
やっている事とは裏腹にどうにも緊張感の無い様子で呟くメリー。
そして次の瞬間。
ドォゴォンンン!!!!!!!!
と先程とは比べ物にならない程の爆音が響き渡り、超巨大隕石は粉々に破壊され、辺りに大小様々な隕石の欠片が飛び散った。
そして、その場にはただキノコ雲だけが残る。
「「・・・」」
そんな光景を下から見上げ、ただ絶句するしかできない普通の能力者達。
今までの戦いの感じから、メリーが自身を犠牲にして地球を守った・・・などとは誰も思っていなかったが、それからそこそこの時間状況に変化が無かった事で若干の不安が皆の中に募る。
・・・。
・・・・・・。
そして更にそこから10秒程が経ち、いよいよ本気でメリーが死んだのでは無いかと勘違いする人が出て来た位のタイミングでキノコ雲が段々と姿を変え始める。
そうしてキノコ雲は雲の状態のままメリーの顔へと変化する。
「そんなもんかい?ウォーミングアップにもならないよ」
と更に挑発する様な口調とドヤ顔を恐怖の王に向けるメリー。
だが流石にそれは挑発の要素が強く、メリー自身もそこそこ体力を消費させられてはいた。
しかし。
「ぐぅがぁああああああ!!!!!」
と恐怖の王はそんな事とは知らずに挑発に乗ってきて怒ったような叫び声を上げながら、次なる能力を解放する。
すると突如、空は明るすぎる程に光り輝き、今度は矢のように鋭利な炎が大量に降り注ぐ。
「なるほど、火矢の雨ってか。ならこっちも」
それに対してメリーは自身の身体を数十mはあろうかという巨大な1本の剣へと変化させる。
「これはボクの主、栖様の聖剣、星宝剣エクロキサのたった10分の1スケールのレプリカだよ」
そう言うとメリーは剣の柄の部分から自身を持っている黒いドレスの様な鎧を纏った半透明の存在を生み出し、剣になった自身をそれに持たせ、頭上で構えさせる。
そして降り注ぐ火の矢に向けて自身を思い切り振るった。




