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魔王再臨と平常授業 13

 「□□□?」


 「まあ、一応破壊はできたけどね」


 作戦が成功し一旦新羅から距離を取った刀牙は再生して隣に姿を現した筵に訊ね、それに対し筵は煮え切らない返事を返した。


 筵達の視線の先には弱々しいく痩せ細ったドラゴンという見た目の魔王型ハーベスト、恐怖の王(ディザスター)が培養液まみれの状態で地面に倒れていて、ビクビクと痙攣を起こしているのが確認できる。


 そして、その様子を沈黙し固唾を呑んで見守る筵達や新羅。


 すると。


 「ぐ、ぐぎ、ぐぎゃぁっ」


 と何やら鳴き声を上げだした恐怖の王(ディザスター)は僅かに瞳に生気が戻り、前足に力を込めて、産まれたての動物が何とか立ち上がろうとする様にまずは上半身だけ浮かせてしまう。


 「おお、素晴らしいです」


 「ちっ、日室君」


 「□□□」


 動き始めてしまった恐怖の王(ディザスター)を見た筵はすぐ様刀牙に声をかける。


 そして筵が新羅を足止めし、刀牙が恐怖の王(ディザスター)に攻撃を仕掛ける。


 「させませんよ」


 「こっちもね」


 筵を無視して刀牙を止めようとする新羅に対し、1度死んで光の状態になった筵が新羅の目の前まで飛んで行き、そこでサバイバルナイフを構えた状態で実体化する。


 「さすがに厄介ですね。まあいいです」


 「!?」


 グサッ!


 と筵のサバイバルナイフによる攻撃は新羅の前腕に突き刺さる。


 そしてそれと同時に刀牙の攻撃は新羅の能力で呼び出された見えない何かによって阻まれる。


 「まさかそう来るとは、慎重すぎやしませんか?」


 「ふふ、まあ念には念をという事です。それに貴方が急所を外してくるのは分かってました」

 

 「うえー、まじっすかー」


 「さあ、少し痛いですよ!」


 「!?」


 新羅はそんな会話の中でもう片方の手で自身の腕に刺さっているサバイバルナイフを掴んでそのまま筵にシンプルな頭突きを入れる。


 それにより筵はサバイバルナイフを離してしまい、そのままフラフラと数歩後ろへと下がる。

 

 「痛ぁ、日室君は大丈夫かい?」


 筵は頭を押えながら、見えない敵に大苦戦している刀牙へと声をかける。


 がしかし、そんな中タイムリミットはやって来てしまった。




 「あぎゃああああぁ!!!!」




 恐怖の王(ディザスター)のそんな絶叫と共に、その場に突風が吹き荒れ、皆、飛ばされないように身構える。


 そして、恐怖の王(ディザスター)はそのまま翼を広げてゆっくり羽ばたき始め、ハーベスト教団の基地を飛び立ち、空中にほんの少し滞在した後、再び叫ぶと魔王型ハーベストとしての能力を発動させる。


 すると恐怖の王(ディザスター)を中心に巨大な雲と強力な乱気流を生じ始める。


 「くっ、私が行く!」


 ドラゴンの状態の龍子がそう言うと恐怖の王(ディザスター)と同じくらいの位置まで飛び上がり、再び口にエネルギーの球体を生じさせ、それを雲の中へと放つ。


 しかしその攻撃は僅かに雲を掻き分けた程度で、突風に阻まれてしまう。


 それに対して恐怖の王(ディザスター)は反撃の為、今度は自身の周りだけではなく、空全体を暗雲で包む。

 

 そして、辺り一面に無差別に雷を降らせ、そのうちの1発に被弾してしまった龍子は一旦人の姿に戻り、敵の攻撃をやり過ごす為に屋根へゆっくりと降り立った。


 しかし、尚も恐怖の王(ディザスター)は攻撃を緩めない。


 自分の周り全てを攻撃するその姿はまさに魔王の所業であり、またそれにより、森は焼かれ、ハーベスト教団の者達も学友騎士団も戦い所では無くなり、皆、身を隠す事を余儀なくされる。


 「天候を操る能力って感じか」


 筵は新羅が能力で筵の攻撃をガードしなかった事や、魔剣を使わないでも何とかなると考えたことなど、自分の判断を少しだけ悔やみつつ呟く。


 と、その時。




 「おや筵?元気が無いわね」



  

 そんな落ち着いた感じの女性の声がその場に響く。


 そして気が付くと筵達の目の前には世界最強の能力者であり、筵の母親でもある、本田栖が立っていた。


 「□□□!?」


 「・・・」


 突然の事に驚いた様子の刀牙と無表情の新羅。


 「ふふ、魔王型という事は私のでばっ」


 シュィン!!


 栖が喋っている最中、ハーベスト教団の幹部の男の首が飛んだ時と同じ音が響いて、今度は栖の首が綺麗に切断され、彼女はその場に倒れる。


 「我が神を愚弄するな。偽物」  


 普段の丁寧な言葉使いとは異なり、やや乱暴な言葉で言う新羅。


 すると切断された栖の身体と頭部は見る見るうちに変化して、幼い少女の様な見た目だが明らかに人とは違う何かへと姿を変えた。


 その正体は栖が出産のため、自身の世界に籠るにあたって家に置いていった変身能力者であるメリーであった。


 ともあれ助っ人がいきなり殺されてしまうという状況に刀牙達は愕然とし、その場は静まり返ってしまう。



 がしかし。



 「いきなり首を飛ばすなんて酷くなーい?ボクじゃなかったら死んでるよ」


 そんな沈黙を破って呑気なセリフを吐いたのはメリー本人であり、同時に体の方も立ち上がると自分の頭を蹴りあげて、何回かリフティングした後、手に持つ。


 その狂気じみた光景に刀牙と龍子は唖然とし、新羅はそれを黙って見ていた。


 「驚いているみたいだね♪でもボクにとってこんなのは些細なことなんだよねー。ボクからすればこの世の全てが状態変化、つまり変身なんだよ♪例えば強酸で身体をドロドロにされたとしても、身体を八つ裂きにされたとても、それは普通の状態からドロドロや八つ裂きの状態に変身しただけで、つまりそれら全てが能力の一環なんだ。だからこうやって」


 そう言うとメリーは自身の手と頭部を一体化させる。


 そして腕から肩にかけて、体内を丸い物が通っていき、それが首の辺りまでたどり着いた所で、首元から頭が生えてくる。


 「直ぐに元に戻すことも出来る。・・・これがボク、エクロキサ魔王型、メリー・ホッピン・ジェリービーンズの力だよ♪」


 メリーはそう言うと新羅をチラッと見た後、自身の戦うことになるであろう敵である、恐怖の王(ディザスター)を見上げた。

めっちゃ久々にこのキャラ出したわ。

設定資料に書いてたけど、この子は魔王型でした。多分本編では初出しの情報でしたよね?

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― 新着の感想 ―
[一言] あんた、それあれでしょ? 木端微塵とか灰とかにしても「そう言う状態に形状変化」とか言って復活するってことでしょ 完全密閉空間にしても「それを破壊できる物質」とかになって出てきそうだし、やる…
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