表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
241/256

魔王再臨と平常授業 7

 「お、おう、分かった。・・・よし、お前ら行くぞ!」


 筵に唆された学友騎士団の者達は少しだけほっとした様な表情で言い、社の後にある扉を目指して走り出す。


 そうして義真やハーベスト人間を交わして、遂に社の真横辺りまで辿り着く。


 「・・・」


 しかし、八代は何もすること無く学友騎士団の者達を完全にスルーしそちらを見ることさえしなかった。


 その状況に何かされると身構えていた彼等は呆気に取られつつも、御札が何枚貼られた扉を開けて先へと進んだ。


 「あれ?いいのかい?腐っても彼等は学友騎士団、学園の中でも優秀な者達が集められているんだよ?」


 「ええ、彼等など新羅にとって物の数ではないです。私が何を捨ててでも止めなくてはならないのは貴方です」


 そして、両手を軽く広げた社は掌の上に御札を生じさせ、その2枚を筵に向けて投げる。


 「不免罪符」

 

 「!?」


 社からのその攻撃に筵は僅かに危機感を感じ、本来は、死んでも生き返ることが出来る能力の性質上、攻撃を受けてしまいがちではあるが、今回は瞬時に交わすことを選択する。


 しかしその御札は筵が避けた方向へと向きを変えて尚も襲いかかってくる。


 「追尾ってことね」


 「ええ、そして追加です!」


 「ちっ」


 合計4枚の札が自身へと襲い掛かってくる状況に多少なりとも焦りを見せた筵はその攻撃に集中し過ぎてしまう。


 そして、それ故に避けた先に義真が攻撃を仕掛けている事を完全に見落としてしまっていた。


 「うぅおおおお!!」


 「ぐっ!」


 と灼熱の棘が筵の身体へと突き刺さる。

 

 そして筵は吐血し、その後、瞬時に心臓を止めて義真の背後で再び生き返る。


 「そこ!」


 だがしかし、復活した瞬間、待ち構えていた様に筵の目の前には4枚目の御札が存在していて、それらは瞬く間に筵の身体に張り付いてしまう。


 すると筵は足の裏が地面に張り付いたように、その場から1歩たりとも動けなくなってしまい、同時に移動しようとした反動で脚をくじいてその場に跪く。


 「弱ったね」


 結城社の能力、不正不正解(クロスポイント)は事柄に罰点をつける能力、つまり簡単に言えば、行動などを禁止する能力であり、これは筵がその場から動く事を禁止したということであった。


 「でも、また死んでしまえば」


 と筵は自身の心臓を止めようとする。しかし。


 「あれれ?」


 いくらやっても一向に心臓が止まらない。そしてここで筵は社の能力がどういう物なのかようやく理解することが出来た。


 1枚は移動の禁止、2枚目はおそらくは能力の使用禁止とかだろう、とそこまで考え3枚目と4枚目を推測する為に次の行動に移る。

 

 そして、まず筵は手に持ったサバイバルナイフを社に投げろようとする。・・・だが。


 「3つ目はこれか」


 筵は手から離れなかったサバイバルナイフを見て、攻撃する事が禁止されている事を悟る。


 そしてさらなる検証を兼ねて、そのナイフを次はハーベスト人間に向けて投げてみる。


 「おっと・・・」


 すると筵の手からナイフが離れ、ハーベスト人間に突き刺さった。


 「・・・」


 その事から社の能力には細かな条件が着いている事を筵は悟る。


 つまりはこの御札による"攻撃の禁止"は社に対してだけ有効であって、筵が誰にも攻撃できなくなるというものではなかったということだ。


 「やはり厄介な人ですね」


 社は自分の能力を分析している筵に危機感を抱き、再び手元に1枚の御札を生じ、筵に向けて投げる。


 その攻撃に対して筵が飛来する御札を移動出来ないながら避けようとした瞬間、筵は4枚目の札によって何が禁じられているのか理解した。


 そして、まさにそれが筵へ直撃する瞬間。



 「塊刀、大皿喰らい」



 と日本刀型の魔剣、大皿喰らいを召喚した筵は全ての生命力を魔剣に与えて、能力を使わずに命を落とす。


 そしてその後、直ぐに復活することによって体に着いた御札を全て取り去る事に成功した筵は近くに居たハーベスト人間に狙いを定め、一瞬で距離を詰めてその首を跳ねる。


 「これは返してもらうよ」


 更に倒れたハーベスト人間から先程投げたサバイバルナイフを回収した筵は続けて、社の方を向いて半笑いを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ