魔王再臨と平常授業 4
そして作戦が開始され、建物の後方から奇襲をかけた刀牙達が建物を囲む塀に攻撃をしかけた爆音が響き渡り、その後、爆煙が天へと登っていくのが確認できる。
「始まったようだね。これで僕達はあと5分くらいして正面から堂々と乗り込めばOKなわけだね」
筵は門の外で警備に当たっていた教団員の過半数が騒ぎが起こった建物の後方に向かうのを確認し呟く。
「いや3分だ」
「あれ〜、なんか自分を見失ってない?絶対5分くらい待った方がいいと思うよ」
「ふっ、見失ってなどいない。日室刀牙の有用性を鑑みて、万が一にも奴を失う事があってはならないと考えての選択だ」
「・・・ふーん、まあいいけどね」
と興味無さげに呟く筵。
だが実際は筵の考えも日室刀牙に関しての認識では概ね天理と同意見であった。
がしかし筵はそれを勘繰られないように何時のような半笑いを続ける。
それから更に数分が経過し、そろそろ筵達のチームも敵陣地へと乗り込もうとしていたタイミングで刀牙達が戦闘している後方辺りで、何度目かの爆音が響き、数十mはあろうかというドラゴンが姿を表す。
「いやー、あっちのチームじゃなくて良かったねー」
「そんなことを言っている暇は無いぞ、そろそろだ」
筵の軽口に対し、そう返した天理は時計を改めて確認する。
そして数十秒後。
「よし、ではこちらもいくぞ」
とそうして作戦の第2段階がスタートしたのだった。
天理を初めとするBチームが先行し、そのすぐ後に筵達のCチームが付く形で一斉に走り出した学園側の者達は手薄になっている正面を多少の妨害を受けつつも進んでいく。
やはりと言うべきか、後方に人が集中しているせいか正面はかなり手薄で各個撃破の為、少しづつ人を減らしつつも被害は最小限に抑えられていた。
がしかし、建物の入口付近まで来た所でそれを阻む様に地面が爆発を起こし、味方達は吹き飛ばされる。
「遂に大物の登場というわけか」
天理はそう呟き、そこに現れた数名の人物の方を見る。
そこにはスキンヘッドの男、根本灼火、更に武士の袴を着た長髪の男、堤達人に加えて、身長が3m程もある獣人の様な大男である*紅雲夜行が待ち構えていた。
「爆破のやり甲斐が有りそうなガキ共だなー!!おい!!」
「根本、仲間を巻き込むなよ」
「がうあああああぁ!!!!」
3人の能力者幹部達はそう言うと臨戦態勢を取り、筵達の行く手を阻んだ。
「枝刀、國取・・・、お前らは先に行け」
「ではお言葉に甘えて、みんな行くよ」
それに対して聖剣を召喚し、構えた天理は筵達Cチームに先に行くように指示を出し、二つ返事でそれに応えた筵はそのまま走ってその場を通り過ぎようと試みる。
がしかし。
「そうはいかぬ!」
「!?」
と一瞬で筵のすぐ近くまで間合いを詰めて来た達人の能力によって筵の体を多種多様な剣で串刺しにされてしまう。
だが、すぐ様、筵の身体は光となり、彼の身体に刺さっていた剣はジャラジャラと地面に落ち、うるさい音が響かせる。
そして、光になった状態で数cm離れた所まで移動し、そこで筵の体が再び実態化する。
「貴方に串刺しにされるのは2度目ですかね」
「ぐっ、貴様あの時の!?」
「では先を急ぎますので」
「くっ!!」
と瞬時にこの男は足止め出来ないと悟ったのか、達人は入口に向かって走る者の中からせめて何人か足止めしようと自身の周りに剣を召喚し、それを射出しようと試みた。
「ちっ、仕方ねぇ」
しかし、それを見て急停止して達人と対峙した譜緒流手は足を高く上げて強烈な蹴りを放つ。
「甘い!」
「ふっ、どっちが!」
その攻撃に対して剣を構え防御の姿勢をとる達人だったが、譜緒流手の蹴りは剣をすり抜け、更にその剣を持っていた腕もすり抜けて、モロに顔面へと入った。
「ぐっ、中々」
しかし、ダメージは入ってそうなものの達人は比較的無事な様子で譜緒流手へと賛辞を送る。
「ちぇ、流石にタフだな。・・・筵達は先に行って、多分この強い能力者3人だとこっちは分が悪そうだからオレも残るよ」
「・・・うん、じゃあ頼んだよ」
「ああ、任せておけ」
そうしてアイコンタクトを交わす筵と譜緒流手。
それから、筵は湖畔、れん子、そして僅かな数の学友騎士団と共にハーベスト教団のアジトへと入っていった。
*学園防衛戦にてスチュワートと梨理が戦った敵。喋らないキャラだったので名前を出す機会を完全に失ってました。初登場の所にも名前を書き加えておきます。
超久々の更新です。本当にすみません。
もう1つ書いている方が自分の中では少し落ち着いたので投稿しました。これからはもっとバランス良く書きます。
また更新が滞ったら優しく叱ってくださいorz




