表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
236/256

魔王再臨と平常授業 2

 ところ変わって学園、会議室。


 「戦えるのはこれだけか・・・」


 蜂鳥はその場に集まったZクラスの面々+刀牙と天理、そして模擬戦に参加していなかった学友騎士団のメンバー達を見渡して呟く。


 そこには斬人はもちろん、かぐややスチュワートなどの姿は無く、また天理が連れて来た能力者達も居らず、かなり不安と言わざるを得なかった。


 「戦えるって、そちらの2人は大丈夫なのかい?」


 刀牙と天理を横目に見つつ、筵が尋ねる。


 この2人はついさっきまで死闘を繰り広げていて、一時的とは共に相討ちし気絶していた。


 「お前が心配するようなことでは無い、この命が尽き果てても最後の最後まで戦うつもりだ」


 「ふーん、勝てるかが問題だと思うけど、まあいいか」


 と皮肉交じりに筵が言ったところで、蜂鳥は筵達を黙らせる為に手を叩く。


 「お前ら静かにしろ。では説明を始めるぞ。これはハーベスト警報により出動した外部の能力者からの提供写真だ。観測によるとワープホールの出現位置はここだそうだ」


 蜂鳥はそう言うと会議室の大きなモニターに森の中にあるかなり大きめな建物の写真を映し出す。


 「なるほど、そしてそれがハーベスト教団のアジトだったという事か」  


 「その通りだ。だがこの写真を我々に送ってから、外部の能力者たちはハーベスト教団の奴と戦闘になったらしい。そしてまあ恐らくは敵に・・・と言うことだろう」


 「くっ・・・」


 「□□□□?」


 蜂鳥と天理の会話を受け、刀牙は警報の対象、つまりハーベストが出現するワープホールがその"建物の中"に出現しているのかと疑問を口にする。


 「ああ、そうなる。さらに言えば、たまたまハーベスト教団のアジトにワープホールが出現したとは考えにくい。まず意図的に行われたと考えていいだろう」


 「・・・何かの技術や秘宝の力で強制的に建物内にワープホールを出現させたと考えるべきか。しかし一体なぜ?」

 

 天理はそう呟くと、皆理由を考えているのか、会議室内は少しの沈黙に入る。


 「んー、たしかに疑問だね。もし僕がそういう技術を持っていたらきっと利用者が多い駅とか能力者協会の建物内とかに開くだろうからね」  

 

 「それが犯罪者予備軍としての見解ですか?」

 

 静かになった部屋で筵と鈍空(ふち)の声だけが響く。


 「まあ、そうだね、そうなんだけど、今回は何故かそうはしなかった。それに彼らは自分達のアジトでそれを行っている。それって考えただけで凄いリスクだよね」


 「ええ、それに筵先輩、ハーベスト警報でこちら側にアジトの位置がバレてしまうというおまけ付きですよ」


 「たしかにね。そうなると理由はそれだけの事をしても成し遂げたい何かがあるか、単純に罠かって事になるかな?ほら誤報を起こさせる装置とかなら結構簡単に実現可能かもだしさ」


 「そうですね・・・。ああ、でも、もしかしたらハーベストを操る技術を手に入れたとかかもしれないですよ?その技術が何か大きな機械などを使用するとしたら、筵先輩が言ったような駅や能力者協会で使わなかった理由も頷けます」


 「うん、確かにそれはあるかもね。蜂鳥先生?どうなんですか?ハーベスト達に操られている様子はあったんですか?」


 筵は淵との会話の流れで蜂鳥に質問を投げかける。


 「あ、ああ、いやそれがだな。さっきも言ったが協会側の能力者たちはどうやらハーベストにやられたわけではなく、待ぐせしていたハーベスト教団の奴らにやられたぽいんだ。今回の件でハーベストの姿は確認されていないらしい」


 いきなりの質問に少し動揺しながらもそれに答える蜂鳥。


 「ハーベストが出現していないという事はやはり罠の線が濃厚でしょうか筵先輩?」


 「罠か・・・」

  

 「なにか引っかかります?」


 「まあちょっとね・・・」

   

 「・・・ああ、あれですか」


 淵は筵の考えている事を察すると同時に、一瞬周りを見渡し、自分達の会話が注目されていることを理解しながら再び喋り始める。

 

 「不可解な事とは割れたビスケットの様なものだと、きっと昔の偉い人が言いました」


 「ほほう、そいつはどういう事だい淵ちゃん?」


 「いや、割れたビスケットって、くっつけたら見た目では割れてるのが分からないくらいピッタリとくっつくじゃないですか?不可解な出来事もあんな感じでいくつか合わさると全てがピッタリも理にかなった形でくっ付くんじゃないかなって思うんですよ」


 「いくつか合わせるとか・・・1つは今回の謎のワープホールだよね?他は何かあったっけ?」


 と筵は天理の方を嫌味ったらしく横目で見ながら首を傾げる。


 「・・・はあ、恐怖の王(ディザスター)か」


 ほんの少しだけ悔しそうに天理が呟く。


 そして、それを聞いた淵は小さく笑い、言葉を続ける。


 「そうですね。恐怖の王(ディザスター)の死体の盗難は普通に考えれば不可解な事件です。もちろん奴らの中には熱心なハーベストの信者がいて恐怖の王(ディザスター)を崇め奉りたい人もいるのかもしれません。しかし、今のハーベスト教団は単なる悪の組織的な側面が強いですから、何か奴らに利益があると考えるべきです。・・・そしてそこから日を開けずにこの事件が起きています」


 「そう言えば、秘宝の中には100人の命と引き換えに1人を蘇らせる事が可能なものもあると聞くよね?もしそれに似たもの物を奴らが手に入れたとして、ハーベストをその生贄に使っているとしたら・・・まあ、すべては可能性の1つだけどね。ただもしそれが真実で罠と思わせるのが奴らの狙いだとしたらさ・・・君たちには悠長にしている余裕なんてないんじゃないかい?」


 淵の言葉を補足するようにそう言った筵は、そこに集まった人達を見渡して半笑いを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ