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???と放課後を・・・ 5

 「怯むな!いけ!!」


 能力者のリーダーの男が部下に焦った表情で指示を出し、それを聞いた部下達は再び構え直して、それぞれ能力を発動させる。

 

 しかし、そうして放たれた炎や風などの攻撃は新羅に直撃する数十cm前で見えない壁の様な何かに阻まれて防がれてしまう。


 「全く、貴方たちは一体誰の差し金なんですか?」


 新羅はゆっくりと敵の方へ前進し、それと同時に周りの空間の至る所に光が吸収されて行く。


 数秒間にわたりその吸収が行われると、それらの場所からエネルギー波が敵に向かって放たれ、その場を一掃する。

 

 「くそ、どうなってやがる!?」


 立ち込める砂煙の中から、焦りを隠しきれない様子のリーダーの男が周りで倒れている部下達を見ながらつぶやく。


 「姿無き愛猫(インビジブルビースト)はエネルギー波を放出しうる、無数の穴を持つ。そして・・・」


 新羅は言葉の途中、腕を剣を持っているように構える。


 「それは私の盾であり、剣である」


 そう言うと、構えた腕を軽く振り、見えない剣で地面に傷を付ける。


 その状況に敵の唯一生き残っている男は、明らかに動揺していたが、覚悟を決めたのか、破れかぶれになったのか、呼吸を整え声を張り上げる。


 「俺は能力者協会公認、特殊部隊小隊長の大門義真(よしざね)。そして俺の固有能力、鋼鉄の雄牛(アイアンメイル)は肉体強化系の能力の中でトップクラスの強さを誇る!!」


 小隊長を名乗る男はそう叫び、能力により体を鉄に変化させ、更に体から鉄の棘を無数に生やす。


 「まだだ、出し惜しみはしねー!!」


 続けて、体の色を炉から出したばかりの鉄のように赤く変化させると、叫びながら新羅の方へと突進する。  


 「貴方の全身全霊をかけた攻撃、見事です」


 何処か悲しげにそう言った新羅は剣を持っていない方の手を軽く上げると、再び新羅の周りの空間に光が集まり、エネルギー波が放たれる。


 「今の俺にはそんなもの効かん!俺はこの命にかけても貴様を殺す千宮寺新羅!!」


 男は叫び続けながら突進を止めないが、その言葉とは裏腹にエネルギー波が直撃した部分はヒビが入ってしまっていて、明らかにダメージが蓄積させられている。


 「素晴らしいプロ意識です。殺すのは実に惜しいです。しかし・・・」


 それは一瞬の出来事だった。


 新羅は既に突進している義真の後ろに背を向けた状態で立っていて、剣を鞘に収めるようなポーズを取っていた。


 「申し訳ありませんが、立ち塞がるものは斬り捨てる。そう言うマニュアルとなっていますので・・・」


 「ぐはっ!」


 男の鋼鉄に変化していた体はヒビ割れ砕け散り、内側の本来の皮膚があわらになると共に、吐血をして倒れ込む。


 「はあ・・・」


 新羅はため息をもらしつつ振り返り、倒れているがまだ息があると思われる小隊長とその部下を眺める。


 「証拠は消さないといけませんね・・・」


 悲しげに呟く新羅は軽く片腕を上げ、姿無き愛猫(インビジブルビースト)に指示を出す。


 すると、目に見えぬ大きなそれによって敵の能力者たちは、恐らく丸呑みにされ、次々と姿を消していく。その様子を新羅は義務であるかのように見届けた後、最後に残った特殊部隊の小隊長の男の傍に近寄る。


 「彼には情報を吐いてもらいましょうか」


 そう呟いた新羅は姿無き愛猫(インビジブルビースト)に男を運ばせ、事務所へと戻っていった。





 「新羅!無事でしたか?」


 事務所の支部長室のドアを開けた瞬間、(やしろ)が身を乗り出しながら、尋ねてくる。


 「ええ、社さんも無事で何よりです。この通りプリンは無事ですよ」


 「いやプリンの話ではなく・・・と言うかこんな、奴らにやられるほどヤワじゃないですし」


 社は事務所で倒れている小隊長の男の部下と思われる数名の仮面をつけた者達を指差す。


 「ああ、早速で悪いのですが社さん、この方の尋問をお願いしても宜しいですか?私はそちらの方々を処理しますので」


 すぐ後ろで倒れている小隊長の男を指差す新羅。


 「え、ええ、分かりました」


 社はいきなりの注文に驚いたものの、新羅の後ろをのぞき込みつつ了承する。


 



 「っ、こ、ここは」


 「こんばんわ、大門義真(よしざね)さんですね?あなたにいくつか質問したいことがあります」


 事務所のソファーに座らされた小隊長の男が目を覚ますと、社は淡々と喋り出す。


 「て、てめー!!・・・っ!?」


 激昂した男は社に殴り掛かろうとしたが、どういうことか縛られている訳でもない体が微動だにしない。


 見ると男の身体には謎の字が描かれ中心に大きな罰点のある御札の様な者が無数に貼り付けられている。


 「ああ、面倒なんで先に言っておきますけど、私の能力、不正不正解(クロスポイント)で貴方の手足の動きは完全に封じています。あと、口は動かせますが舌を噛んで自殺する事や嘘をつく事、黙秘する事なども禁止しているので、まあ、諦めてゲロってください」


 社は自身の能力について語り、小さく笑みを浮かべると、怯えた表情の男に尋問を開始した。 

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