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天地堕とし、学園防衛班 9

 「ちっ、むかつく能力ね!!」


 軍服の敵能力者は手に持った機関銃を捨てると続けて、銃剣の様なものを能力によって生み出す。


 そして、その銃剣を手慣れた手つきで扱いながら、愛巣に斬り掛かる。


 しかし銃剣の刃は何か当たるとまるで薄い氷の様にいとも簡単に砕け散る。


 「寄ってたかって!!」


 軍服の女はイラつきながら、アジトによって壊され要らなくなった銃剣を投げ捨てると、今度は手の中に球体状の物を生み出す。


 「全員まとめて、消えちまいな!」

 

 女はそう叫び、それを少し捻ると何かが起動したように球体が網目状に発光する。さらにそれをその場で軽く空中に投げ、飛び上がり後退していく。


 投げられたその球体は更なる光を放ち、その光は徐々に強さを増していく。そして、それを眺める敵の能力者からは思わず笑みがもれた。


 しかし。


 「よっと」


 安住はその球体を恐ろしい程、冷静に観察すると空中でキャッチして手を加える。すると球体の光はどんどん収束していき、やがて光は収まる。


 「なに!?」


 「えっ、何を驚いているの?さっき貴女が捻った方向と逆に動かしただけだけど?」


 驚いている敵に対して、球体を手で弄びながら不思議そうに首を傾げる安住。安住の能力、絶対正解(トータルアンサー)にとって爆弾の解除法を知る事はいとも簡単な事であり、同時に行動を起こすまでが能力の為、失敗する恐れもない。


 「私の絶対正解(トータルアンサー)に動揺等によるミスは決してない・・・的な・・・」


 安住は自分で言っていながら、後半恥ずかしそうに顔を赤らめる。


 「けっ!、青臭いガキ共だと思っていたけど、この私、ガーベラ・バルバスキーの攻撃に対応するとわね!!」


 軍服の女、ガーベラは続いてビームで出来た刀身を持つ剣を生み出す。


 「そっちこそ、ただ単に兵器を生み出す能力では無いようね」


 安住も手に持った球体状の兵器と生み出されたビームセイバーを見て言った。


 「そう!!私の能力、殺戮兵器愛好症(ウェポンズフィリア)は私の想像しうる兵器を創造する能力!!故にこんなことも出来るのよ」

  

 ガーベラはそう言うと、自身のビームセイバーを持っていない方の手を変形させ、レーザー砲に変える。

 

 「食らいなさい!!」


 そしてガーベラがかざした腕からは、レーザーがマシンガンの様に連射され、安住たちの方向へと向かっていく。


 しかし、安住達のいる空間に入る直前にレーザーは何処かへ消えてしまう。


 「だから、プライベートルーム内には入れないんだよ?おばさん?」


 継続されていた愛巣の能力により、攻撃を無効化され、さらに再び、”おばさん”と言われた事で、ガーベラは”ブチッ”という擬音が聞こえてきそうなほど怒りを顕にする。


 「ガキ共が調子乗ってんじゃねーぞ!!」


 ガーベラは怒鳴り声を上げると乱暴にビームセイバーを地面にさす。


 「いいわ。一瞬でぶっ潰してあげるから!!」


 そして、ガーベラの周りを包み込むようにして現れる何かによって屋上を打ち破られ、その何かは砂煙の中、じっと安住達を見下ろしていた。




 

 それは機械巨人であった。


 大きさは大体、十数m位だと推測出来るそれは、天井を破壊すると共に下の階をも破壊して壊れた学園の残骸の上にそびえ立っている。


 「ははは!!この大きさはどうしようも無いでしょう?」


 機械巨人の中からガーベラの声が拡声器を通して響き、同時に機械巨人は安住達のいる辺を頭上より殴り付ける。


 それにより、安住達のいた所は瓦礫に埋もれてしまい、さらなる砂煙が立ち込もっていた。


 「ふははは!!」


 静けさの中で、勝ちを確信した様子のガーベラの声がだけが、その場に木霊する。


 「やったか?って感じかな?」


 「!?」


 先程までいた者達とは別の声を聞き、驚きを隠しきれない様子のガーベラは周りを見渡す。


 「ここだよ。ここ」


 その声のする学園の屋上を見ると、そこには無傷の状態の安住達と湖畔達合計5人の姿があったが、声の人物は見当たらない。


 「あるいはここかもね?」


 再び掛けられるその声に、ガーベラはさらに驚愕した。


 その声はガーベラの後ろから、それもすぐ後ろ、機械巨人の操縦室の中より聞こえていた。


 そしてゆっくりとした手つきで何かが後頭部に押し付けられる感触を感じる。


 「本田(ほんでん)(まつり)、華麗に再登場ってやつです」


 玩具のような形の愛銃。デットスターを構えている祭は、無表情とドヤ顔を足して二で割ったような顔で笑い、言葉を続ける。


 「”祖先が人間へと進化する過程で二足歩行を拒んだ者がいたことは容易に想像が付く、だが、そうした者達は今は檻の中にいる”彼は人間の機械化を進化だと位置づけていた。彼は優秀な科学者であり、そして生物学者でもあった。・・・貴女、なかなか時代を先取りしているんじゃないかな?」


 「さ、さっきから一体何の話をしている?」


 ガーベラは声を震わせながら、振り返り祭の姿を視認する。


 そして、ガーベラと目があった祭は、デットスターをガーベラの額に当て、ドヤ顔をさらに強調させると、決め台詞を言い放つ。


 「お前の居ない明日以降(みらい)の話だ」

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