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天地堕とし、異変解決班 前編1

 「こんなのどうやって探せばいいのよ」


 目的地周辺に降り立ち、高々と(そび)え立つ高層ビルの群れを見たかぐやは絶望したような表情で呟く。

 

 学園から60kmほど離れた、能力を無効化する異変、天地堕としの発生源と思われる場所に学園のヘリで降り立った異変解決班だったが、疑わしき建物の多さに困惑していた。


 それと同時に、防衛班からは今より少し前に、ハーベスト教団の攻撃を受けたと連絡があり、ゆっくり探すという訳にも行かなくなっていた。


 そんな絶望してしまっている状態のかぐやの肩を譜緒流手が優しく叩く。


 「かぐや隊長〜、早くまとめてくださいよ」


 「なっ!ちょ、譜緒流手、アンタも考えなさいよね」


 「オレは1つ案あるよ。でもかぐやは嫌がる気がするけど」


 「緊急事態なんだから、なんだっていいわよ」


 「あれに、聞いてみる」


 譜緒流手はそう言うと、真後ろを指差し、かぐやもそれに釣られて振り返る。


 そこには、筵とれん子が携帯を見ながらそれっぽい見解を話し合っていた。そして、同時に他の異変解決班が目に入ってくる。


 聖はまるで“俺の仕事は戦う事だけだ“とでも言いたげな雰囲気で詰まらなそうにしていて、それについて来ているののみも内容の無い話を聖に向けて一方的に話しているだけであり、繭里も何か考えている様子では無かった。


 「くっ・・・な、何かいい案とかあるかしら?」


 かぐやは少し嫌そうな表情を浮かべながらも筵達の方へ近づき訪ねる。


 「まあ、無くはないけどまだ仮説の段階だからねー」


 「でた!探偵がよく言うウザいやつ、まあ教えてやれって」


 筵はそんなかぐやの質問に半笑いを強調しつつ答える。するとかぐやに続き、近づいてきた譜緒流手がそれに反応する。


 「ははは、いやいや匿名の協力者に依頼して、目星を付けてもらったんだよ。そうしたらハーベスト教団との癒着が噂されている会社がビル群にあったからそれかなー、と思って」


 「・・・そういう事は早く言いなさいよー!!」


 かぐやは半分怒るように突っ込むと筵から場所を聞き出し、ずけずけと目的地へと向って行き、その他のメンバーもそれを追った。


 



 「来たはいいけど、違ったらどうするの?」


 かぐやは目的地のビルの中で普通に働いている人がいる事を確認すると不安気に訪ねる。


 しかしながら、人の数はビルの大きさに比べ些か閑散としているような印象でもあった。


 「まあ、その時はその時で避難訓練だったって言う事にして、学園側に揉み消して貰おうよ。じゃあ行ってくるね」


 「ちょ!?えっ?」


 筵はそう言うと、支給された手榴弾とサバイバルナイフを持ち、止めようとするかぐやを振り切りビルの中へと侵入する。


 そして周辺に誰もいない場所に目星をつけ支給された、低い威力の手榴弾を投げ込み、爆発が起こす。


 その爆発により爆音と爆風が巻き起こり、その場にいた人達は嫌でもそちらの方を向く。



 「おらー、ハーベスト教団ども観念しやがれ、爆破しちまうぜ、死にたくなかったら大人しくしてろやー」


 

 筵は、そんな状況の中、少し大きめの声で脅しつつ、ビルの入口から中心へと移動する。筵の恐喝は若干、棒読みではあったが、それが逆にシリアルキラー感が出ていなくも無いと言った感じで、そこに居た人たちはしっかりと怯えている様子であった。


 「ひゃっはー、爆薬の香りが癖になるぜー」


 筵は続けて、手榴弾を投げようとして振りかぶる。


 「やれやれ、爆弾魔は一人で十分なのだがな」


 その声がした瞬間、筵の体は多種多様な形の剣が貫く。


 「・・・」


 筵は自分の体を貫いた剣を探るように確認すると、小さく笑い、能力により死に再び復活する一連の流れを行う。


 無傷の状態で復活した筵は、姿を現したハーベスト教団の能力者、堤達人(たつひと)を目視で確認する。


 達人は袴姿で自身の周りに数本の剣を漂わせながら、筵と会社の社員らしき者達の前に出ると、そこに居た者達を上の階に逃がす。


 「悪い事したねー、彼らは無関係な人だったかな?それとも非戦闘員?」


 「まあそんなところだ」


 達人は筵の再生に少し驚きながらも、質問に答え、同時に周りに浮遊する剣の刃先を筵に向け射出する。


 高速で飛来するその剣を、筵は避ける気がないのかその場に立ち尽くしていると、急に筵の前に出て来た、聖剣を呼び出した状態のかぐやによって防がれる。


 「ちょっと何やってるのよ、アンタ」


 「おー、藤居さんかっこいいー」


 自身を助けたかぐやに筵が拍手を贈っていると、その一方で、かぐやと同じたいくらいのタイミングで飛び出していた聖は手には禍々しい闇のようなものを集めながら、達人に接近している。


 「来い、マガツヒノツルギ!」


 聖は呼び出した、黒く細い両刃の魔剣で達人に斬りかかり、達人はそれを周りを漂わせていた剣2本と手に持っている剣1本で受け止める。


 その後、筵達そっちのけで、剣術使い同士の激しい打ち合いが行われる。


 「あのー、名雲くん、ここ任せていい感じかな?」


 「ああ?勝手にしろ」


 聖は筵の質問にウザそうにに答えると、再び激しい斬り合いに戻る。


 「よし、みんな先へ進もうか」


 筵たちは聖の言葉に甘えると、聖とののみにその場を任せてビルの奥へと入っていった。

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