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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

くるくる世界

作者:

ゆっくりと目蓋が持ち上がる。


「う・・・んっ」


体中が痛い。どこが痛いか、あえて上げるなら背中が鈍く痛む。

しばらく体の痛みに呻いていると、自分が地面に倒れていた事に気が付いた。

なぜ自分は地面に倒れていたのだろう。倒れる前の状況を思い出そうとするが、うまく思い出せない。


痛みに耐えながら立ち上がり、周囲を見渡す。見覚えの無い森の中、自分が何処にいるのか分からない。


「あ・・・え?」


なぜ知らない森に居るのか、何故地面に倒れていたのか、そして


「知らない森?知ってる森ってどこだ?」


思い出せない。知ってる森の名前が・・・・名前?自分の名前は?住んでる場所は?何をして生活していた?


何も思い出せない。


「なんで・・・・」


突如訪れた疑問の嵐に悪寒を覚え、その場に座り込んでしまう。

何も覚えている事が無く、これからどうすれば良いのかも分からず、蹲り見動きが取れなくなる。


-------


いつまでそうしていただろうか。明るかった空はオレンジがかり、そう経たないうちに夜が訪れるだろう。


「どこか人のいる場所は・・・」


疑問が頭の中を巡り続けていて、うまく思考が出来ない。

ただ、一人で居ることが、とてつもなく怖い。


人を探して暗くなりかけている森を彷徨う。


完全に日が落ちてからも歩き続け、少し先から物音が聴こえた。


「あ!だ、誰か居ますか!」


声を出した瞬間に背後から押し倒される。


「がっ!」


倒された衝撃で口から声が漏れ「暴れるんじゃねぇ」同時に野太い男の声が聴こえた。


「あ、え・・・だ、誰でぎぃぃ!」


自分を押さえつけてる人物に向けて声を掛けた瞬間、腕を拗じられ喋れなくなる。


「喋るな。お前の話を聞く気はない」


暫くして拗じられていた腕の拘束が緩められたが、手は離されていない。逃がす気は無いみたいだ。

男はジロジロとボクの顔を覗き込んだあと「チッ」と舌打ちをして横腹を蹴って立ち上がった。


「ガキが、こんな時間に森に来てんじゃねーよ」


痛みに呻きながら蹲るボクに言い捨てて、その人物は夜の森に消えていった。


ボクはこの森で初めて遭ったのが、自分を傷付ける人物であることに又も頭が混乱していた。


何故?自分は人を探していただけなのに。一人で居たくなかっただけなのに。助けて欲しかっただけなのに。


どうすれば良いんだ。

一人は嫌だ、でも次に遭う人がさっきの男みたいに自分を傷付ける人物なら?


その場で答えの出ない考えに動けないでいると、草木の擦れる物音が近づいてくる。

さっきの男が戻ってきたのかと体が震え、音のする方を凝視してしまう。


「ひっ!」

「きゃっ!」


驚きの声は2つ。

自分ともう一人。音のする方向から来た人物。


「あ、あ・・・」


相手は言葉にならない声を出すだけで、少し離れた位置で立ち止まり、地面に座るボクを見下ろしている。


ボクは色んな意味で彼女から目が話せなくなっていた。

彼女。そう音のする方向から歩いてきたのは女性。それもボクの頭一つ分小さい、少女と言っていいほどの若さ。


そして少女の頭には小さめのうさぎ耳があり、片目からは夥しい血が流れていた。


「だ、大丈夫!?」


ボクは相手が怖い人物かもしれないと言う考えも、少女の怪我を見て頭から消し飛び声をかけていた。


「っ・・・・ぁ」


少女は尚も言葉にならない声を出しながら少しづつ後ずさる。


ボクはその時に思い出したのが、さっきの男だ。

あの男は誰かを探してる感じだった。ボクを間違えて押さえ込むと言う事は、近い身長の誰かを探していたはずだ。


もしやあの男は、この少女を探していて、少女の怪我もあの男の仕業だとしたら。少女の怯えようも理解できる。

自分と同じで、この森で遭う人物に恐怖心を覚えているのだろう。


ボクはなるべく優しく聴こえるように、ゆっくり話しかけた。


「だ、大丈夫。怖い人はあっちに行ったから、ここには居ないよ」


「・・・・・・」


少女はボクの言葉を聞いて、その場で動かない。何かを考えている感じだ。


暫くボクと少女は見つめ合い、少女が口を開いた。


「ケガ・・・・してるの?」


最初少女の言っている意味が分からなかった。明らかに怪我をしているのは少女の方だ。

ボクが何と答えれば良いか分からず黙っていると、少女は「くち」と短く言った。


ボクが自分の口を触るとカサっとした感触が指に伝わる。どうやらあの男に押し倒された時に唇を切っていたらしく、乾いた血が少し付いていた。


「あ、大丈夫。少し切っただけだから。もう治りかけてるし。

それよりもキミの怪我のほうが大変だよ。痛いでしょ?すぐに血を止めないと」


ボクが立ち上がり近付こうとすると、少女は少し後ろに下がった。


「大丈夫。キミの怪我の手当がしたいんだ。近付いても良いかな?」


少女は暫く黙っていると、僅かに頷いた。

ボクは彼女が怯えないように、ゆっくりと近付き・・・・・困った。

怪我の手当と言ったが包帯も無ければ薬もない。どうしよう。


ボクが黙って突っ立って居ると、少女が「あっち。川ある」と手を引いて歩き出した。

川に行くまでの道中簡単に話をした。何故かこの森でが目が覚め、何も覚えてない事。少女に合う前にあの男に会った事。

少女は男の話をした時、僅かに震えていた。やっぱりあの男に追い掛けられていて、目の怪我もあの男にやられたらしい。


何故追い掛けられていたかは教えてくれなかったが、心当たりがある感じの雰囲気を察し、何も聞かないでおいた。


川につくと。ボクはの着ていた上着を脱ぎ袖を破って丹念に水洗いし、少女の目元を拭った。

少女は痛みに我慢しながら、ボクの「大丈夫?」の声に小さく「大丈夫」と答える。


目元の血を拭っていて気が付いた、少女の血を流している目には空洞が開いていた。

眼球が無かったのだ。


目を傷付けられたのでは無く、眼球を抉られていたのだ。

ボクはあの男の事を思い出し、頭が真っ白になる程の怒りを覚えた。


少女の「いたい」の声に我に返った。


「ご、ごめんね。ちょっと力が入っちゃたね」


すぐに謝りながら布を握っていた手を引こうとすると少女に掴まれた。


「なみだ」


初めて会った時から変わらない少女の短い言葉。


「あ、そうだよね。泣きたいくらい痛いよね。ごめんね」


少女は顔を横似振りボクの頬に手を伸ばす。


「なみだ。いたい?」


「えっ」


どうやらボクは泣いていたらしい。少女の酷い怪我を見て。男に怒りが、少女の境遇に悲しみを感じていた。


「いたい?つらい?かなしい?」


少女は涙を流すボクに声を掛け続ける。

自分の方が痛くて辛い筈なのに。ボクの心配をしている。

そんな少女の優しさを向けられる度に、更に涙が溢れてきた。


何で、こんなに心優しい少女に、こんな酷い仕打ちをするのか。


涙を流しながらボクは少女を抱きしめ、この子を守ろうと強く心に誓った。


「・・・・・・・あったかい」


-------


朝、目が覚めるとボクに抱きつくようにして眠っていた少女が身じろぎした。


「ごめん起こしちゃったかな?まだ寝てて良いよ」


「・・・・・・おきる」


昨日の夜、少女の片目に流れていた血を拭って、上着のもう片方の袖も千切り少女の空洞のできている目に巻いた。


その後特にやることも無く、ひどく疲れていた僕達は夜の寒さを少しでも紛らわそうと引っ付いて寝る事にした。


そして今に至る。


「お腹が空いたね、食べられそうな物をさがしてくるよ。ここで待ってて」


そう言って立ち上がるボクの服を掴み少女は首を横に振る。


「いっしょ行く。食べれるの食べれないの分かる」


そうか、森の食べ物には毒になるのもあるのか。ボクには区別が付かないから助かるな。


「じゃぁ、一緒に行こうか。えーっと・・・・」


今更になって少女の名前を聞いてない事に気が付いた。今更聞き辛い。


「ミィナ」


「えっ?」


少女の言葉にビックリして聞き返すボクに「ミィナ」と、もう一度少女が発した。


「あ、名前!ミィナって言うのか可愛い名前だね。僕の事は」


「お兄ちゃん」


「えっ!?」


「お兄ちゃん。・・・・お母さんが、家族は一緒に居て心が暖かくなるものだって。昨日暖かかったから、お兄ちゃん」


少女。ミィナの中ではボクがお兄ちゃんなのは確定しているらしい。

暫くすれば自分の事も思い出すかもしれないから、今名前を付けると後で呼び方がややこしくなるかも知れないし、まぁ良いかな。


「うん、分かった。お兄ちゃんて呼んで良いよ。ミィナちゃん」


「ミィナ」


「うん?」


「ミィナ。お父さんとお母さんは呼び捨てにする」


「う、うん。じゃぁミィナ」


ミィナは頷くとボクの手を握って森の中に入って行く。

うん、ご飯を探そう。


-------


結論から言うとボク役に立たなかった。

食材を探すのも、集めた草木で火を起こすのも、集めた食材で料理をするのも殆どミィナがやっていた。


ボクは燃えそうな草木を集めるのと食材を洗ったりするのを手伝ったくらい。


「兄としての威厳が・・・・・」


いや、本当の兄では無いのだけどね?

自分を兄と慕ってくれる子に出来るところを見せたいじゃないか。


ミィナは特に気にした風もなく黙々と料理を作っていた。


「ミィナは料理が上手いねぇ」


出来上がった料理を食べて出たボクの感想にミィナは頷く。


「森、家」


「森に暮らしてたって事?」


声には出さず頷いて答えるミィナ。


森で暮らしてたから食べられる食材も火の起こし方も分かってたのか。

ミィナが居なかったらボクは森の中で餓死していただろうな。

もしくは毒でやられてたかも。


「ミィナの住んでた場所はどこら辺なの?そこに帰れれば安全でしょ?」


ミィナは左右に顔を振り。


「分からない。よる、家にあの男が入ってきて手を上げたと思ったら目の前がまっくらになった。

目がすごく痛くて起きたら、あの男が居て怖くなって逃げた。

知らない森で・・・・・一人で・・・・・

怖くて・・・・・寒くて・・・・」


ミィナは話しながら震えていた。

ボクはミィナを強く抱きしめ。


「大丈夫。もう言わなくて良いよ。よく頑張ったね」


「・・・・・・・あったかい」


-------


ご飯を食べ終わった後、ボクとミィナはこれからどうするか話し合った。


なんとか森を抜けて街を探そうと。そこでミィナの住んでいた場所を探して貰おうと。

ミィナは「街に行くと人が沢山居る」と嫌がったが、ボクが「沢山人が居ればあの男も手を出せない筈だよ」と言う言葉に渋々頷いてくれた。


あの男のせいで人間不信になってるのだろうとミィナの小さい頭を撫でながら、ミィナの気分が落ち着くまでゆっくりしていた。


-------





















「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



ミィナの絶叫が森の中に木霊する。

その小さな喉がはち切れるのではないかと言うほどの、普段の少女からは決して出ないであろう音量の慟哭と、残された片目から流れる大量の涙。


ボクは少女の後ろで木偶のように立っていることしかできなかった。


ボクとミィナの視線の先には2つの死体。

死体には目が無かった。


2つの死体を見た瞬間にミィナは泣き叫んでいた。察するに両親だったのだろう。

ミィナに掛ける言葉が無く立ちすくむボクの後ろから声が聴こえた。


「ハハッ!俺は運が良い!もう見つからないと思ってた月兎のガキが戻ってきやがった!」


後ろを振り向くと男と目があった。


「あぁ?オメェ、この間のガキじゃねぇか。お前が月兎を捕まえてたのか。良くやった!!」


「な、なんで・・・・」


「あん?」


「何でこの子の両親を・・・・」


「あ?テメェ月兎を知らねぇのか?他所モンか。

ここら辺では有名だぞ。月兎の眼球はあらゆる怪我を即座に治癒する力が宿っているって。

迷信じゃねぇ。実際に月兎の眼球を食った奴を見た事があるが、腹を槍で貫かれてた瀕死の野郎が数刻後にはピンピンして起き上がってたのよ。

本当かは分からんが歳もとらなくなるとかも聴いたな。

だから、難病の治療がしたい奴や老いが怖い貴族共が際限なく金を出して欲しがる」


ボクはその話を聞いて震えていた。

その為に殺されたミィナの両親。いや、話からすると昔から何人もの月兎がその眼を抉られて来たのだろう。


恐怖と怒りがボクの体を震わせる。


「生きてるうちに眼球を抉ったほうが新鮮だってんで、本当は街まで運んでからやるつもりだったんだがな。

途中で荷馬車がイカれちまってよ。仕方ねぇから、その場で眼を抉ってたんだがガキが目覚まして逃げやがってよ。

探したが見つからなくてイライラしてたが、まさか自分から来てくれるとは思っても見なかったぜ」


ボクは静かに男に近づいていた。


「俺は今機嫌が良いからな!ガキ、街に戻ったらメシ奢ってやるよ!

・・・・・・・・あ?」


ボクの手には小さなナイフ。いつから持っていたのだろう?気が付いたら手に握っていた。ミィナと食事をした時は確かに持っていなかった筈の物。


どうでも良い。ボクの手にナイフがあって、手の届く範囲に殺したいと思う相手が居る。


やる事は一つ。ボクは男の腹にナイフを突き立てた。


「がぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」


男の耳障りな叫び声が響き渡る。

ボクは体重を掛けて更にナイフを押し込む。


「ガキがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


男は叫びながらボクを手の甲で殴り飛ばした。

地面に倒れて起き上がろうと顔を上げたると、腹からナイフを抜いた男がボクの胸にソレを突き立てた。


「あ・・・・」


一気に体から力が抜ける。

動こうとする意思を無視するかのように体はぴくりとも動かない。


「がっ・・・ぐっ!血が止まらねぇ!

クソガキがやりやがって!!」


男が腹を押えて悪態をついてると急に顔を上げた。

視線の先には、あらゆる怪我を瞬時に治す眼を持つ月兎。ミィナ。


「は?ははは、ハハハハハ。

俺はホントに運が良い!目の前に月兎のガキが一匹!

お前の眼を寄越せぇぇ!!」


ミィナ逃げて・・・・声を出そうとしたが体はやっぱり言う事を聞かない。


ミィナは見ていた。いつからだろうか、ミィナはずっと見ていた。





ずっとボクを見ていた。





男の事など眼中に無いかのように、只々ボクの事だけを見つめていた。


-------


目が覚める。気を失っていたのか。それとも死んでしまったのだろうか。周りを見渡すと川が目に入った。ミィナと一時的に拠点にしていた場所では無いみたいだ。


多分両親の死体のあった場所から近い川に連れてこられたのだろう。


・・・・連れて?誰に連れて来られたんだ?ミィナは?ミィナは無事なのだろうか!?


もう一度周りを見渡す。パキッと後から薪の弾ける音がして振り向く。そこには、ここ数日見慣れた少女の背中。


少しだけこちらを振り向くミィナ。肩越しの顔はよく見えない。


「おきた」


一瞬背筋に悪寒が奔る。気のせいだと思いミィナに声を掛ける。


「ミィナ。無事だったんだね。あの男はどうなったの?」


「アイツはお兄ちゃんを傷付けたから殺した」


「・・・・・・・」


ボクは何も言う事が出来なかった。

どうやって小さいミィナがあの男を殺せたのか。なぜ殺す理由が両親の事では無く、ボクを傷付けたからなのか。


また背筋に悪寒が奔った。


「お兄ちゃん。ご飯置いてある」


「あ、あぁ。ありがとう。」


よく見るとボクとミィナの間にスープが置いてあった。


「食べて」


「ごめんミィナ。ちょっと今食欲が無いんだ。後で温めて食べるよ」


「だめ、今食べて」


「えっと・・・」


「食べて」


ミィナはこちらに振り向かず食事の催促をしてくる。


悪寒が奔る


「分かったよ。せっかくミィナが作ってくれたんだからね、残さず食べるよ」


今は夜だ、背中の悪寒を冷える外気のせいだと思い込み、ボクはスープを口にする。

温かいスープが冷えた体に染み渡る。

その感覚に意識を集中するように体を見下ろす。


悪寒が奔る


体に染み渡る・・・・体?ボクは胸にナイフを突き立てられて、普通なら食事を出来るような状態じゃ無い筈。


悪寒が奔る


「ミィナ、ボクの胸にあった傷はどうなってた?」


自分で傷口を確認する勇気が出ない。


悪寒が奔る


「キズ?もう殆治ってるはずだよ?」


悪寒が奔る

悪寒が奔る

悪寒が奔る

悪寒が奔る


スープ凝視すると中に丸い具材が入ってるのが見えた。


「み、ミィナ。これ・・・・・」


ボクが話し掛けるとゆっくりとミィナが振り返った。


「オイシイでしょ?お兄ちゃんの傷が治るように私の眼が入ってるの」


ミィナの頭から巻き付けていた布が外れ落ちる。

そこには何も無かった。ある筈の片目も無く。そこには二つの伽藍堂がポッカリと開いていた。


「お兄ちゃんの怪我が完全に治るまで、ミィナが看病する」


悪寒が止まらない


















「お兄ちゃんのお世話はミィナがするしお兄ちゃんの遊び相手もミィナがするしお兄ちゃんのご飯もミィナが作るしお兄ちゃんの話し相手もミィナがするしお兄ちゃんの邪魔をする奴はミィナが片付けるしお兄ちゃんを傷付ける奴もミィナが殺すしミィナのお世話はお兄ちゃんがするしミィナの話し相手もお兄ちゃんするしミィナの遊び相手もお兄ちゃんがするしミィナの邪魔をする奴はお兄ちゃんが片付けるしミィナの事をイジメる奴からはお兄ちゃんが守ってくれるしお兄ちゃんの中にはミィナが居るしミィナの体はお兄ちゃんの為に使うんだだってミィナとお兄ちゃんはたった二人の家族だから家族は助け合って生きて行くんだってお母さんが言ってたしお父さんは家族の為に体を張るんだって言ってたし辛いことも悲しいことも楽しい事も嬉しい事も家族で分け合うんだって言ってたしお兄ちゃんとミィナは家族だから全部を分けあって一つであるべきなんだよだから早くミィナの眼を食べて怪我を治して目の見えないミィナが石につまずかないように手を引いてほしいなお兄ちゃん」


「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!」


-------


一人暗い森の中を走っていた。


ミィナは何であんな風になったんだ


分からない


ミィナはどうしてあんな事をしたんだ


分からない


ミィナはボクに何を求めてたんだ


分からない


ボクは何をしてたんだっけ


分からない


ボクは何でここに居るんだっけ


分からない


ボクは何処に向かって居るんだっけ


分からない


分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない何もかもが分からない


「あっ」


ボクは足を踏み外して崖を落ちていく


意識は暗い崖の底に落ちていく


END

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