召喚士の奮闘
「私には・・・これしかないから!」
そう言うと少女は右手を高く上げてこう叫んだ。
「来て!ナイアーラットホテプ!」
その言葉と同時に当たりはいきなり明るくなった。荒々しくも神々しい光、それはぱっと見ただけではなんだかわからなかった。だが・・・男は人間的な本能でそれを恐れていた。いうなれば猫を前にした鼠とでも言おうか。そしてもう一つ。男はまた本能でわかったことがあった。いや、これに関してはわかってしまったと言った方が正しいかもしれない。
このモノには絶対に太刀打ちできないということだ。
「てめぇ、何を召喚しやがった?こんなもんこの世界にいやしねぇぞ?!」
「そのとおりこの子は現実世界にはいません。人々の空想であり信仰対象ですから。まぁこの子の場合ある男の妄想と言っても過言ではありませんが。」
「まさかぁ・・・そいつは・・・?!」
「そうです。この子は・・・」
「神格です。」
・・・
男は声が出なかった。
それもそのはずだ。男は気づいてしまったのだ。
自分の目の前には見てはいけない、ましてや敵になど絶対に回してはいけないモノがいるのだ。。
直面した瞬間にあるのは絶望。そして・・・「死」
「うわぁァァァァァァァァ」
男は絶叫と共に走り出した。本能が叫ぶのだ、早く逃げろと。
「大丈夫、せめて苦しまないように殺してあげるから」
少女は冷たくそう言い放つ。この男を殺すということに一切の躊躇がないようだ。
「あとはお願いね。ナイアー」
その言葉を聞くとナイアーラットホテプはこくんと頷いだ。そして
軽く腕を払うような素振りをした。すると・・・
男が消えた。いや男のいた空間ごと消えた。周りに二三本あった木は全てなくなっていた。
「ナイアーお疲れ様。もう戻っていいよ。」
その言葉を聞くとまたナイアーはまたこくんと首を縦に振り霞のようになって消えていった・・・