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「貴様との婚約、破棄してやろう」


どこかで、聞いたことがあるセリフ。

月が綺麗に見えるバルコニーで、舞踏会の雑踏が遠くに聞こえる。

私の誕生日パーティ。今日で16歳。婚約者である彼と対峙している。


「え……えええ……!!!!」

「何を驚いている。品がないな」


そりゃあ令嬢としての驚き方としては、品がないかもしれないが、一般高校生からしたら、こんなもんですよ!


「え、いや……え??」


私は、この物語を知っている……!!

現実ではなく、物語だということを認識している!


私が高校生の時に、『悪役令嬢』が、ブームを巻き起こし、文芸部の友達2人がそのブームに乗っかるように、リレー小説をしていた。

漫画研究部に所属していた私に絵をつけろと、読まされていたので、よく覚えている。この月にバルコニー……私が好きな構図だったのだ。


「嘘でしょ……」


"婚約破棄"というキーワードにつられて、蘇ってくる記憶の数々。

日本の学生として過ごしていた、青春時代。

私は一人の令嬢としてではなく、ただの高校生として、この現状に口をあんぐりとあけた。はしたない。


「貴様は、俺が婚姻を結びたくないことなど、わかっていると思ってたぞ」

「それは、そうですわね……」


少しずつ、令嬢として生きてきた私に戻っていく。彼が婚約を破棄したいと考えていることも、それがいつか言われるだろうと言うことも分かっていた。

それでも、思い出してしまったものを、忘れられるはずがない。

友達が嬉々として描いていた小説の場面の数々を……。

すべてはこの婚約破棄が始まりなのだ。


この婚約を破棄すると、私は……。


「私は……このあと、家族と離縁して、辺境に飛ばされるんです。」

「何をバカなことを」


そう、私は家族から間違いなく愛されているはずなのだ。でも、婚約破棄によって、それが偽りの愛だったということを悟る。


「そして、途中で出会った魔法使いに攫われて、魔法の実験台にされるんです」

「魔法使いだと……?」


魔法使いは、もはや伝説のようなものだ。この世界に魔法使いがいると信じている人間のほうが圧倒的に少ない。

夢物語だと、大変の人が言うだろう。


「そして、実験台として、ボロボロになって、捨てられて、そこでとある人と出会って、仲良く暮らすんです。でも、結果的にその人も、実験台にされた人間が欲しかっただけなのです」


なんて物語なんだ!あいな、あんたが毎回毎回、いーちゃんがいい感じにまとめてくれるのをいいことに、無理やりな展開を作るから!


「と、いうわけで、私も婚約破棄をしたいのは山々なのですが、作戦を考えさせていただけませんか」

「貴様は……頭がおかしくなったのか」

「いえ、違うのです。私は、この先の未来を見える力があったようなのです。信じろというのも、難しい話だと思っていますが、婚約はもちろん破棄しますので、契約しても構いませんので、時間の猶予をください。」


こうして、友達が作ったとんでもリレー小説に抗う私の物語が始まったのだった。


多分続かない気がします。

気が向いたら書きます。一応、連載にしています。

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