表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/73

畏怖との遭遇

決着です!


______________________________________________________________________________________

[??????が現れた!]

[――恐れ慄け! ニンゲンどもよ! ここが冒険の終わりと知るのだ!]

______________________________________________________________________________________



 巨大な魔法陣から出てきたのは―――



「――ふむ。久方ぶりに"狩りの時間"としますかぁ―――あっっ??? ………ちょえぇ〜〜〜っ!!??」



 …………よしっ! ヒットした!!


 即死魔法デスホワイトは、間違いなく着弾して、そのままモンスターの体を吸い込むと、素っ頓狂な声をあげて現れた悪魔っぽいモンスターを一気に飲み干した。



『――スキル《ホワイトホール》を習得したわ!』



___________________________________________

 《ホワイトホール》

 "超級"魔法。

 純粋な無属性魔力の極限。"奈落の門"。

 いかなる防御・魔術・耐性を無視する。

 魔力量に応じて吸引できる限界が決まる。

___________________________________________



「―――《ホワイトホール》!!」


 間髪入れずに、次弾を装填する。

 消費したMPは―――500。


 【ブック】から魔法陣が出現して高速で術が構築される。

 スキルのアシストを加味して魔法が完成するまでに"数秒もかかる絶望感"に喉が干上がった。



『…………』


 上半身を失い、禍々しく、どす黒い血をこぼす悪魔は、空中でうねうねとうごめく。


 ――明らかに超人レベルのプレッシャー……たった一秒たりとも与えてはならない!!


「ッ!!」


 ケモノのような瞬発力で、即座に離脱しようとする男の下半身を結界で包み込み、スキル《オーラフィールド》で完全に制圧した。


 そのときになって男の抵抗が、黒い閃光となって暴れ出す。

 ――その圧は凄まじい。直接対峙した中で、記憶にあるどの生物よりも『"強い"』と感じさせた。


「ぐぅっっ、はぁああああっっっ!!!」


 その、あまりの暴力的な魔力に――僕の体は一瞬で砕け散り、浮遊した意識がノータイムで新スキル《ドミネイト》を行使した。


 ―――負けてたまるかぁッ!


 バラバラになった肉塊を、強固に"自身の所有物"だと定義し、蜘蛛の巣状に張り巡らせた闇の魔力。それを足がかりにつなぎ止め――さらに空間の支配を開始。


 かろうじて《オーラフィールド》を張り直せたのだっ!!


「くっそ……言うことを聞け………!!!」


 ほとんど虚空の穴に消えかけてなお、意思を感じさせる肉塊は、急速に再生を始める、放置したら数秒で元通りに生えてくると確信した。


 頭上で魔剣が輝く。

 《励起》は、本人から離れていても効果を発揮する。


 全魔力を悪魔に叩きつけるのだ。横倒しになった漆黒の両脚に飛びついて押さえつけ、魔力を用いた再生を大きく阻害し、ねじ伏せ、それでも純粋な肉体の再生能力は恐ろしく、僕の心臓が、何度も高鳴った。


 ヒエイにやったような支配ではなく、単なる"時間稼ぎ"。

 それでもMPが、異常な勢いで溶けていく。打ち消した先から生産される『邪悪な魔力』と相殺するためだ。


「ぁっ……ぁああああああ!!!」


 たった数秒間の濃密な攻防を終えて―――やっと……ようやく――生成された超級魔法ホワイトホールにバケモノは吸い込まれていった。




「―――か……っっ! ………はっ、は、はぁ………」


 うなだれて、一歩も動けないまま。

 魔力の残渣を調べる。


「………どう、なった」


 あのモンスターの気配は――ほとんど感じられない。

 しかし、超級魔法ホワイトホールに消えてもこじ開けて戻ってきそうだ。


 あの穴に消えたら僕もどうなるのか分からない。生きてても不思議ではない。それほどの強者だった。


『―――えっ? ……え?? まさか……まさかっ!? 倒せちゃった感じ!?』


 驚天動地のミカが、虚空をクルクル回転してさまよう。


「………」


 その下に、濃密な魔力を蓄えた部位が転がっている。

 残された尻尾は――節足動物の外骨格じみたフォルムをしていた。

 たった身体部位の一つ。

 なのに、これだけでも『生命として負けている』と確信する存在感。


 その証拠にいまだ、ピクピクと動いて生存を模索している。


 これはドロップではない。

 《鑑定》スキルは、反撃をくらうリスクがあるので控えるが、まだ戦いは終わっていないのだ。


「大人しく……負けろ」


 両腕が焼け爛れた。直に触れるだけでダメージを受ける危険物をボロボロな両手で押さえ、力いっぱいに破壊の魔力を注ぎまくる。


 ミシミシと亀裂が入り、膨大な魔力を何度もぶつけて相殺すると。


 ―――粉々に砕け、最後には、すす汚れだけが残ったのだ。





「くッ……! しぬ……くるしいっ……なんだったんだ、こいつは―――」


 わずか10秒にも満たない攻防で、MPを『1500』も失った。


 ブスブスと焼け焦げた全身をなんとか繋ぎ合わせて回復魔法セルフヒールで仕上げをした後、僕の意識は現実に戻る。


「ぅガハッ……ああッッッ………!!!?」


 そして、猛烈な吐き気と眩暈が爆発し、たまらず四肢をバタつかせる。


 苦しみにのたうち回って心臓をかき出すように何度も抑えてうずくまる。


「――あっ……」


 ―――しかしそのあと今度は一転して、猛烈な快楽を叩き込まれ、さらに悶絶した。




『魔人ルハネスLv.66を倒したわ!』

『――経験値を20862取得したわ!』

『おめでとう! レベルが12から18に上がったわ!』

『称号《大物喰らい/ジャイアントキリング》を獲得したわ!』

『称号《大物喰らい/ジャイアントキリング》のレベルが5に上がったわ!』

『称号《英雄/ザ・ヒーロー》を獲得したわ!』

『称号《悪魔滅殺者/デビルスレイヤー》を獲得したわ!』

『称号《畏怖を超えしもの/ビヨンドフィアー》を獲得したわ!』

『称号《超人/スーパーマン》を獲得したわ!』

『クエスト【畏怖すべきモンスターを討伐せよ】を達成したわ!』

『クエスト【遥かなる強敵を倒そう!】を達成したわ!』

『クエスト【魔人ルハネスを討伐せよ】を達成したわ!』

『クエスト【モンスターハウスを脱出せよ】を達成したわ!』

『グランドクエスト【絶望を切り開け!】を達成したわ!』

『称号《小さな勇者リトル・ブレイバー》が《孤立無援の勇者ロンリネス・ブレイバー》に昇華されたわ!』

『スキル《オーバーリミット》のレベルが上がったわ!』

『スキル《セイントヒール》を獲得したわ!』

『スキル《神聖魔法》を獲得したわ!』

『スキル《ホーリースラッシュ》を獲得したわ!』





「――かはっ」


 一瞬意識は完全に途絶し、気づけば、床を両手でこすりつけていた。


「は、あ、あ…………」


 どれだけの時間眠っていただろう……。


 それにしても、床がヒンヤリしていて気持ちいい。


 ――ここは現実だ。


 さっきまでの光景が、何かの冗談かに思える。


 とてつもなく長い一瞬が、過ぎ去ったのだ。本能が選択した断固たる封殺は――どうやら成功したようである。


『す、すごいことが一瞬で起きた気がするわ……? なんだったの?』


 怒涛の読み上げで、息をついたミカが、狐に摘まれたような顔をした。


「――もしや、さきほどの尋常ならざるプレッシャーは魔界に住むと言われる高位の悪魔でしょうか……?」

「……さぁね。……動きたくもない……」

「ワタクシでは比べ物にならない、はっきりとした格の違いがアリましたが……お、お見事デス。主上サマ」



 傾いた地面に背を預け、天井を見つめる。


 ………まさか、これ以上はないよな?


 普段の僕だったらまだしも、すでに満腹感がすごい。


 明らかに、許容量を超過してる。その魔人とやらがもう二、三体出てきたらさすがにウンザリするぞ?


『その想像でも――負けるとは思わないのがスゴイわね』


 いや……さすがに負けるんじゃないかな? 湧き潰しは一体までだろう。


 マジックポーションをジャブジャブ飲んで《オーバーロード》を使って……うーん? これ以上は考えたくもない! 今日はもう早く帰りたい!!


 そのとき――ゴトリ、と鈍い音を立てて、人の頭ほどもある魔石が落ちてきた。


 禍々しい、不穏な気持ちにさせる――悪魔の手も一緒に。


「………っ」


 そうかと思えば魔法陣のあった位置にあのクリスタルが出現した。


『――よ、よかったわね! ひとまず帰れるわよっ。……それにしてもひどい難易度だった。その分見返りも大きかったけど!!』


 まったくだ。


 さすがに一足飛びにし過ぎ。もうちょっと手加減してくれてもいいんだけどなぁ……。


『いろいろと確認はあとにする?』


 ……うん。


『少し休憩していきましょう。そこのアンデッドも役に立つみたいで忌々しいけど、ありがとね』

「は、はぁ。"眷属サマ"に感謝されるとは恐縮デス」

『"眷属"ぅ……? ――ま、まぁ、間違ってはないかしら?』


 ミカは実体もない。

 アンデッドマジシャンのおじさんがせっせと働いてドロップを回収し、僕にポーションを掛けてくれる。


『しかし、大漁ね。全部は入らないでしょうし、引きずってでも持ち帰るのはどうかしら?』


 そうだったんだけど、レベルアップに伴って容量が拡張されてるから。入るんじゃないかな……。


 ……ダメなら浮かせて持ち運ぶだけだしね。


『そうだった、一気に『レベル18』ですものね! たしか、学園の目標だと今月中に『レベル10』。夏休みまでに『レベル20』とかだったと思うわ。―――あんた、いきなり学年トップに躍り出たわね?』


 ―――それから、三十分くらいは、ずっと天井の一箇所を眺めていた。


 HPは全快している。しかし、重い体は動きもせず、得意の魔法すら使う気にならなかった。


 とくに《オーバーリミット》は、使用後の疲労が凄まじいのだ。あと一回使えば完全に昏倒するだろう。


 ――致し方なし。


「ごめんね。……重いでしょ?」


 おじさんの華奢な背中に乗って僕が問いかける。

 このままだと何時間も横になって動けない予感がしたので、お願いした。ちょっと気まずいんだよね……。


「イイエ、お構いなく。……ワタクシも魔術師の端くれデスので」


 自信ありげに指を振るうと彼は浮き上がった。

 筋肉の少ないガリガリの背中は頼りないが、なるほど――そのような魔法があったのか。



 ―――こうして僕らは、崩壊したモンスターハウスを後にしたのだった。



『………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………』



 ―――パキィ……


 だが、魔人ルハネスを飲み込んだ――あの穴の亀裂が再び見開き、こちらをじっと見つめていたことに――その大いなる"畏怖すべき"眼差しに――気づくことはなかった。


ルハネスくんは出オチです


 レポート

_____________________________________________________________________________________

 5Fの探索結果

 滞在時間 50分

 戦闘:8回

 休憩:0回

 罠:87回(解除85)

 宝箱:0個

 採取:0回

 イベント:1回

 重症:1回

 死亡:0回

 逃走:0回

 全滅:0回

 主な討伐モンスター:魔人ルハネス、まどうゴーレム、レッドマンティス、スカルナイトなど多数

 探索評価:SSS(最高)

 トレジャー総額:3048488G

 〈素材〉

 悪魔の凶爪(999999G)、ソウルクリスタル(999999G)ほか(385900G) 合計 2121288G

 〈装備〉

 ウッドナイフ☆☆(300000G)、オリハルコンブーツ(123000G)、オリハルコンバングル(119000G)、アダマンタイトスピア(28500G)ほか(356700G) 合計927200G

______________________________________________________________________________________


 次回はみんなの反応です。特に主人公のメンタルは大丈夫かなぁ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ