第三話 ---真空気弾ッッッ!!
誠に申し訳ありません。ダンジョンから出てしまって……。
鏡をくぐれば世界が一変した。ザワザワと人の気配が広がる。
さきほど手にしたスキルのおかげか周囲の状況が過不足なく伝わる。
人工的な施設がいくつも見える『冒険者ギルド』に戻ってきたのだ。
「えーと……確か、あそこに預けるんだったね……」
ポーチに収めた『ゴブリンの骨』と『魔石』を取り出して、マナが視線を向けた先には、『鑑定所』があった。
淀みなく歩くマナに遅れないことだけを考えて、いそいそと着いていく。
マナは職員さんと手続きをしてる。冒険者の証明書『ライセンスカード』を差し出しカウンター越しに話をしているようだ。
僕は手持ち無沙汰になり急にソワソワしてきた。
立ってるだけで廊下を進める便利な黒い床が遠目に見える。
向かいから来る、これからダンジョンに入ろうとする面々と目が合うと怖くなって、サッと視線をそらす。人に見られるのは怖いよね……。
『――フーン。無意識下で私を拒絶していたのはそういうことね。普段のか弱い自分を見せたくなくて反発してたんだ、フフ』
僕の態度を観察した天使がわかった気になる。……そ、そうだ! たとえユニークスキルじゃなくたって便利なスキルが手に入ったじゃないか!
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《魔力感知》
魔力を感知する。魔力を操るのに必須。
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《魔力操作》
魔力を操作する。環境中・体内の魔力を使って
初歩的な魔法を扱える。
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「お、おおお〜〜〜」
魔法だって! 魔法っ!
テレビで見るようなキラキラのかっこいい魔法を、僕も?
そう考えると……にわかにワクワクしてきたっ!
広範囲を殲滅する攻撃魔法に! 大人数を守る結界魔法!
一つでも扱うことができれば、僕だって人の役に立てるはずだ!!
「どうしたのエイくん? 行くよ。後ろがつっかえちゃう」
「うんマナ。僕、魔法使いになれるかもしれないんだっ」
「うんうん。移動しながらにしよっか」
複雑なギルド内を、便利な床が運んでくれる。
こうやって機械化されたルートを進めば、ギルドの玄関口『エントランス』にやってくる。
移動の際は、ぼーっとして頭が働かなくなるけれど、僕はあの滝みたいに大きいエスカレーターは好きだなぁ。
「はい、お待たせしましたヒグレ様。合計二点『200G』ですが。売却いたしますか」
「お願いします。それと、この『滞在報酬』なんですが………」
「はい、それは………」
あのゴブリンの形見も……たった二百円か……。
G(ギルド通貨)は、公共交通機関やコンビニでも使える独自通貨。
百円玉や千円札といった現金にも換えられる。
さっそく使ってみた。
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南国風トロピカルパイン 100G
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自販機は、タブレット画面で操作をして決済が完了すれば、スコンという音を立てて、落ちた紙コップにジュースが注がれる。
中で、いったいどんなことが行われているかは謎だ。まさかあの奥で『妖精』や『小人』がせっせと仕事をしてるわけじゃあるまいし。……くっ! 気になったらダメ……ダメだ……。
「ふふ、お祝いのいっぱいだねっ」
「そうだねー。乾杯」
「かんぱーいっ」
ベンチに座って休憩する。ほてった体も施設内で稼働するクーラーによって冷却済み。だから少し、寒いくらいだ。
「ちぇーっ。エイくんは思った通り、魔法の才能あったかぁ。………悔しいなぁ」
メロンソーダがジュコォッと勢いよくストローに吸い込まれる。
「まぁ、でもよかったよ」
マナは神妙に言った。
「そのスキルである程度抑えられるんでしょ? エイくんの言い方だと、『世界が広がっていく感覚』だっけ」
「うん。そう言われれば……」
ガラス張りの解放感あるエントランスからは外の街並みが見渡せる。
けれど、その手前。
ガラスに映る僕とマナはどちらも普通の人間だ。
冴えない男子と、それに不釣り合いの美少女の二人組。
あと、ふよふよ浮かぶ天使たち。
けれど、たまに、僕の体には『ツノ』と『翼』が見えるときがある。
はぐれゴブリンの一本角よりも長くて綺麗な、天を衝くような水晶の二本角が額からニョキっとね。
あの天使の翼よりも遥かに大きくて神性を感じる、純白の翼が、背中から手のひらを広げるみたいに生えるんだ。
僕は『有翼人種/ハルピュイア』でもなければ、その遺伝子が発現した『先祖返り』でもなさそうだ。
これだと自分のことがよく分からなくなるけど、あの魔眼……魔眼………いや『超視覚』もたぶんツノと翼が悪さをしてるんだと思う。
だけど、今日。ダンジョンに入って得られたスキルは役に立つようだ。
スキル《魔力感知》は、最初からできていたので、あまり意味はないと思ったのだけど。
このスキル、知覚のコントロールを手伝ってくれるのだ。
五感と違って、閉じ方が分からなくて困っていたところ、このスキルでオンオフが利くようになった。
――つまり、眼鏡いらずってこと!
「これだけでもダンジョンに入ってよかったって思うよ」
「嬉しそうだね。エイくんはもっと怖がるかと予想してたのにアテが外れたなー」
「なんのだよ……」
マナは僕がうろたえて何もできないのがお好みか? いいや、しっかりした方がいいに決まってる!
「この後どうしよっか?」
始業式は午前中のみだった。その後すぐにダンジョンに入って、これまたすぐに出てきたから、今はお昼時だ。
「うぅん、悩む」
「やっぱり『親睦会』行った方がよかったんじゃないの」
「そういうマナこそ」
僕のクラスも自信満々そうな男子が仕切ってファミレスに行く人を募っていた。ただでさえ、教室にいるだけでゲロりそうな僕は、隣のクラスのマナに保護される形で飛び出したのだ。
思い出しただけで縮こまりそうになる。
「ダンジョン探索は一人でも平気そうだったから。明日からは付き合いの方を優先してよ」
「………どうして、そんなこと言うの」
「僕につきっきりだからさ。かなり申し訳ないと思うんだよ」
「そんなの今さらでしょ。どうして急にそんなこと言うの」
うっ………!
確かに小学校も中学もマナに依存しきりだった。
だからと言って、いつまでもそんな風でいるはおかしいだろ?
僕も成長したんだ!
「どっちみち『Gランク』だと一日に入れる時間も限られてるし、また明日も一緒に入ろうね」
「クラスメイトとパーティ組まなくて大丈夫?」
僕の方は、言うまでもないけど……。
「授業や実習でも顔合わせるんだもん。気にしなくていいよ」
「そうかな………マナが、そう言うなら」
「決まりだねっ!」
結局押し切られる形になったけど。内心ホッとしたのも事実。
クラスが別になるだけで、あんなにも心細いとは思わなかったのだ。
地元から出て、『星の峰』の名門校に入学できたのはいいが。知り合いが誰もいないのは困ったことだ。
……………いや、地元でも大して変わらないか……。
ちょっと鬱になりながら、迷いなく歩くマナに着いていく。
駅のホームに近づくほどに人混みが手強くなって目をつむりたくなる。
どうしてこんなに人がいるのだろう? 行き交う人々の顔や服装をチラチラと視界に収めるたびに思う。
一体どこに? こんな大勢の人が隠れていたのか不思議だ。
移り変わる景色と人。人。人。
電車に乗るころにはだいぶ疲弊してしまった。
特に《魔力感知》を使えば、一人一人の生命活動と密接に関わる魔力の動きがリアルに伝わり、脳を揺らす。
努めて意識しないようにするのは、以前と変わりないようだ。
ひとたび、興味を持ってしまえば『凝視』してしまう。
今日、倒したゴブリンと人体の差異を思い出してみると僕の感想だとそんなに違いはないように思えた。
体内に結晶化した魔力の塊、つまり魔石の有無くらいなものだ。
スマートフォンで活発に友人とやり取りするマナを見やって、僕は【メニュー】をタップする。
意識すれば、天使も完全に消すことが可能で、好きな時に呼び出せるのも知った。
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機能【ライブラリ】
小さな図書館。集めた知識を見返せる。
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『……………』
ぶらーん、と垂れ下がる天使の背中を押す。相変わらず変な演出だ。
『あなたがコレに設定したんじゃない。何度も何度も何度も"悪意"をぶつけられて、私、精根が歪んじゃったぁ』
恨みがましい天使の声を聞き流して、彼女の背中をスワイプする。
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▶︎【ダンジョン一覧】
【モンスターリスト】
【アイテム図鑑】
【スキル事典】
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▶︎【星刻の大迷宮】
[等級] B
[階層数]??
[最深到達]1F
[踏破率] 0.1%
[モンスターコンプ率] 0.1%
▶︎【1F】
-ノーマルモンスター
はぐれゴブリン
????
????
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こんなふうに事細かに見れる。暇があったらチェックしてみよう!
殺風景な窓の景色をのんびりと眺め、電車に揺られてしばらくすると、山や草木の自然が多い解放的な街にやってきた。
先ほどまでいた都心から離れると少し落ち着いた雰囲気になった。
『六道市』。"風の吹く町"や"監獄迷宮のある"で有名な街だ。
そこに僕らの家がある。
幸い、まだ日が高い位置にあるから駅や近くのコンビニにたむろする不良の気配はない。
不良とは、見つかれば身ぐるみ剥がされる危険な生き物で、マナもホッとしている。俗に言う『冒険者崩れ』たちとは一度戦ったことがあるけど、やつら強いんだよな。
下手に力をつけて、社会に反発するだけの若者は社会問題ともなっている。
「ただいま〜」
「ただいま」
それはそうと。
立派な門をくぐって庭を通り、玄関に上がる。
『失礼するポン』
『お、おジャマしまぁす』
靴のかかとを揃えて並べ、靴棚とその上の花瓶。
キーホルダーや玩具などを雑多に入れたカゴをじっと見つめる。
それから、天井のライトや木造りの壁をススっとなぞり、感触を確かめ、親近感を得る。
毎日のルーティンワークだ。昔泥棒に入られたことがあって、僕ら以外の痕跡がないかを確かめる癖ができた。
「誰も来てなさそー?」
「うん。大丈夫そう」
『ナワバリ意識が強いタイプね。ケモノみたい』
自分の中で、なんらかの納得ができたら、ようやく入れる。
マナは先にリビングに行ってるけどね。家主は彼女です。ハハーッてね。
僕ってば、居候なんだよね。
隣にある『元・僕んち』は空き家になってて、数年前に別の人に購入されてしまった。
少し悲しいけど、仕方のないことだ。
そんなことより、魔法だよ魔法っ!
『けっこー重要なことじゃないかしら? シリアスな話なの……?』
………いいや? 両親が事故でいなくなって親戚に売られたんだよ。
学園入学に際してマナの家に住むことになったけど、最近まで二人とも『施設暮らし』だったから。
『へぇ。ヒグレのことは知らないけど難儀してるわね。てゆーか、保護者はいないの。まさか?』
……いない。僕とマナの両親は"交通事故"で亡くなったから。それ以外の、法律や戸籍とかそのへんは詳しく知らない。
『そ、そう。これからは私が一緒だから安心しなさい』
……うん。安心する。
『やけに素直ね』
家に帰ったからかな? リビングのソファに沈んでいるとトゲトゲした気持ちがなくなって、心地よい。
『ごめん、ジャマして。魔法はどうするの?』
あっ、そうだ!
ここまでずっと我慢してたんだ。私有地でないと捕まる可能性があるからね!
「マナーっ! 魔法やってみていいっ?」
テンションが上がる。
「いいけど、お昼はどうするの。『スペシャルサーロイン弁当』」
「それは………食べたいけど、あとで」
「はーい」
タタっと走り、ウッドデッキに出る。ちょうど、隣の二階にある元・僕の部屋から見下ろせる場所で、子供の頃はよく遊んだものだ。
焦茶色の木の匂いも懐かしくて落ち着くんだ。
「最近は来てなかったなぁ。……あ、コレコレ。よく遊んだなぁ……」
腕や頭の欠けたフィギュアがたくさん転がっている。
『魔闘戦士シリーズ』は、人気アニメ作品で宇宙の侵略者や魔人と戦う好戦的な狼の獣人が主人公のバトルもの。
だから僕も、よく戦いごっこをしたものだ。懐かしいオモチャの風化した残骸を宝探しみたいに見つけていく。
「………ん?」
……あれ? あんなフィギュアあったっけ? 砂場に埋まってたカケラの中に知らないやつが混ざってた。『"腹から折れた血まみれのお姫さま"』や『"雷パンツの勇者"』だ。
他にもたくさん、ヒーローフィギュアのカケラが野晒しに埋まってる。……だが違和感があった。僕のモノじゃない……。たぶんアニメにもいないはず……。
「…………」
見覚えのないフィギュアになんらかの事件性を感じて胸のあたりがゾワゾワする。
『――フーン? そんなときは………パシャッとね! ……どれどれ……待ってなさい。………………いまさっきネットで調べてみたら現役の冒険者みたいよ。それも世界トップクラスの! こんなになるまで……いくらなんでも激しく遊びすぎよ!』
あっありがとう……。やっぱり天使って便利だなぁ。天使の見慣れた顔を見てると不安が和らいでいくのがわかった。
「―――まぁいっか! そういえばアレも『魔闘術』っていう魔法と武術の合わせ技だったな」
『へぇ〜、そんなものがあるの。人間の編み出す技術は神に届くらしいし、気になるわね〜』
超ハードな修行をして強くなる男の子の憧れ!
無意識レベルでは誰もが魔力を扱っているが、これを意識的に運用できれば戦力向上は間違いない。
今の僕では、筋力や運動神経が貧弱すぎて、はっきり言えばマナに負ける。
こう考えれば、すごくガッカリするけど事実だ。
引きこもりがちで日々の運動量も少ない僕と、活発で健康的なマナでは男女の差を考慮しても届かない。
――あいつ受験に備えて鍛えてたしな……。一方の僕は、貧血や体力不足でヨワヨワ。『試験官とのガチバトル』では、短期決戦だったのもあって、手応えを感じたが結局負けたし……。
よく受かったものだと思う。
それもこれもすべてこの大量のMPが理由か。
『きっと今年ダンジョンに入った中でも上澄みの方よね。権限がないから閲覧できないけど、さっきのダンジョンにいた高レベルの冒険者でもそんなにはなかったと思うわ』
そんなのも分かるのか!
『まぁスキル化されない程度の初歩的な情報収集よ。大雑把にどれくらいのステータスかわかんのよ。ガチの上級の連中は対策してるから、偽情報つかまされるけどね』
「フーン便利だね」
『興味ないなら律儀に返答とかしなくていいから。本末転倒よ? それより自分のことに集中してちょうだい』
「わかった」
テーブルの端に腰掛けて座っていた彼女の目を見て相槌すると、長い長いため息を吐かれた。
そのあと、彼女はわざとらしく手を広げて空を眺め始めたので、僕は手元に視線を落とす。
眼鏡を外し、テーブルに置いた手のひらに意識を集中すると……。
皮膚の表面から滲み出すようにして立ち昇った湯気がハッキリと見える。
この無色透明のホワホワこそが、『無属性』の魔力!
誰もが持っている基本的な魔力で、無属性と一口に言っても、透き通るような純度のソレもあれば、雑多で濁っているものもある。
僕はこの魔力の純度を高める素養があると、適性診断でも評価されている。
「ふっ……! 風よ!」
立ち上がって腕を振る。
どこかで聞いたようなセリフをテキトーに口に出して、スキル《魔力操作》を意識的に使用した。
そうすると、さっそく明確にスキルの恩恵が得られた。
以前までは無駄に放出することしかできなかった魔力を、放出したあとでも操れるようになったのだ!
周囲一帯が、まるで自分の所有物に変じるかのような全能感。
虚空の一点に、魔力を集める。
シュルシュルと音を立てて湯気がうねった。
――やがて、つむじ風が発生し、回転を続ける。
大きな圧力を感じさせる現象だ。あとはコレをどのように加工するかという段階だ。
「ん、ちょっとキツイか」
『小さな竜巻』は、テーブルに乗っていた木の葉を巻き込んで成長したが、やがて臨界を超えて、一気に弾け飛んだ。
「うわっ……」
その余波が、圧力となって頬を撫でる。
『おみごと。……まっ、私ってばカラダ無いからわかんないんだけどね』
ホログラムみたいなものだもんね。天使からは魔力を一切感じない。
「さて、消耗は……」
と。
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『ラクミヤエイ Lv.1』
【HP】 62/62
【MP】 818/830
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視界の左上を見る。
HP・MPはそれぞれ、数字とは別に『緑色』と『紫色』のバーが現れているので、増減が分かりやすい。
「大したことがないな。体感とも一致する」
独り言を漏らして、目の前で起こった現象の理解と把握に努める。
それから、何度か試してみた感じ。
『物理的な干渉力をもった弱い魔法』、といったところだろう。
風よ、とは言ったものの、有色の魔力ではない。
圧力を生じさせるだけの無色の魔力。回数をこなすごとに無駄が少なくなり、効率化されていくのが分かる。
「はぁーーっ………真空気弾ッッ!!!」
さっきの渦を両手で溜めて、前方に突き出す僕のオリジナル魔法『真空気弾』は、ツボミから花が開くようにして手のひらから打ち出された。圧縮した魔力の塊だ。
何度かの実験により洗練された強い圧力を感じる魔法は、淡く輝いていた。
―――ベキィイッ
そしてそのまま、色褪せた木の柵にヒット! 拳大の穴を開けて空気に消えていったのだ!
「おお〜〜〜気弾だった、気弾だったよ! マナぁこっち来てーーっ」
『スキル《グリッターボール》を習得した!』
『残念だったわね……』
『機能【ブック】が解放されたわ!』
天使は皮肉げな表情を見せた。
「ありゃっ? 気弾じゃない?」
ドタドタと走り、近寄る足音がする。
それで気づいた。正面には古くて朽ちかけているとはいえ、庭の柵を壊した確かな証拠があったことに。
ギギギ、と錆びついたブリキ人形みたいに背後に首を回す。
「エ・イく〜〜ん?」
それは、低い唸り声にも似た響きをしていた。どうやらマナは、新技の習得を祝ってくれる雰囲気ではなさそうだった。
みんな大好き真空気弾。体内のエネルギーを手のひらから打ち出す"魔法"だよ! かーめーはーめー○ァアア!!!!




