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間一髪の勝利

なかなか強かったね


『戦闘に勝利したわ!』

『モアイアイA〜Eを倒した!』

『おめでとう! レベルが4に上がった!』

『HP+7、MP+92、ちから+6、かしこさ+10、まもり+4、せいしん+12、きよう+9、びんしょう+8』

『おめでとう! ジョブ《冒険者見習い》のレベルが4に上がった!』

『ジョブスキル《生活魔法》を獲得した!』

『サウンドが追加された!』

『ギルドクエスト【モアイアイを倒そう】を達成した!』

『グランドクエスト【困難を生きのびろ!】を達成した!』

「クエスト【抜群に強いモンスターを倒そう】を達成した!』

『クエスト【モンスターハウスを脱出せよ】を達成した!』


 ・

 ・

 ・

___________________________________________

 〈素材〉

 まどうコア×5 new!!

 猿の手 new!!

 大地のプレート new!!

 ミニチュアモアイ new!! rare!!

 〈装備〉

 ブロンズバスタード new!!

 ウッドボウ new!!

 ウッドスピア new!!

 ウッドブーツ new!!

 ウッドバングル new!!

___________________________________________




「ぃ、生きてるな……」


 よろよろと立ち上がった。――爆心地の、破壊された地面を歩く。

 

 白道の壁が融解して、奥の岩壁が剥き出しだった。


 頭上から天井の石材が降ってきて、融解した地面に衝突し、その斜面を細かい砂が流れ始めた。


 ドロドロに溶けて高熱を発する石材と幾度も砲撃を受けたようなひどい惨状の"被災地"だ。


 ――と。このように、視覚の印象が強くて「うわっ、やられた〜〜〜」ってな具合のリアクションになったが……?


「大げさだったか……」


 別に痛くないのに大げさに痛がるときがあるけど、それに似てる。「びっくり」したのを「痛い」のと誤認するのだっけ?


 脳と心臓さえ守れば、魔法でなんとかなる。


『……さ、さすがね。一番危ない位置にいたアンタは軽傷じゃない』


 うん! さすが魔法だ。


 三度目の天使の癒しが、打撲やすり傷を完全に回復させたので、急いで、マナたちの元へ向かう。



「………ヒュッ……ヒュッ………」

「しっかり、してッ! ノゾミちゃん……」


 仰向けに倒れた炎理さんの横でマナが介抱してる。

 唇を真っ赤な血で濡らし、虚ろに視線をさまよわせる、土気色をした彼女からは――"ご臨終"を思わせた。


 ―――外傷は腹部。破れた戦闘服のベルトまで血に染まる。顔色が悪いだけで火傷等のダメージはないようだ。


 しかし、よく見ると、彼女の血液からは、ぼんやりとだが陽炎が立ち昇る。


 不思議な炎を神妙な顔で眺めていると、視界のミカが【ライブラリ】を開いた。


___________________________________________

 【ライブラリ】

 ダンジョン一覧

 モンスターリスト

 アイテム図鑑

 ▶︎スキル事典

___________________________________________



 確認したスキルを自動登録する『スキル事典』のページだ。


___________________________________________

 ユニークスキルNo.6《大精霊の恩寵》

 大いなる霊の格別なる祝福。半精霊化、極端に高い

 エレメントの適性、魔力増加などの恩恵が得られる。

 著名なスキル。

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『ユニークスキル《大精霊の恩寵》が持つパッシブな自動再生と回復効果ね。エンリの体は半分"精霊"みたいなものよ。MPがある限りは生存を保証してくれる』


 【ログ】を見ても、『偉大なる精霊は不滅の炎を宿す!』とかなんとか仰々しいことを綴られる。


 ただ、回復速度はモアイアイほどではない。あっちはもっと"ミチミチ"言わせて補修していた。


「たぶん、"後続"はなさそうだ。―――二人とも"休憩"してていいよ」


 その間に目についた報酬を見ておこうかな。


「っ……休憩……って、いうか………ぅうん。……わかった」

「ドロップ集めてくる」

「…………」


 たじろいだ彼女を横目に、僕は歩き出す。



「んー、『過負荷のブースト』、『マリオネット』、もっとなんとかなりそうなんだけど……」


 体はだるくて熱っぽい。

 フラフラしないように魔力でアシストして取り繕う。


 だが考えることは戦闘の改善点ばかり。

 持久力や肉体強度そのものは今日一日でどうにかなる要素ではない。


 少し、カラダと魔力の消耗バランスが悪いかな……?


 でも、マリオネットだけなら感覚器官に頼った"繊細な反応"ができない。魔法は確かに便利だが肉体を"軽視"するのも間違ってる。ゼロコンマの反応ならカラダを強化した方が速いからだ。


『あんたは別の意味で"軽視"してるようだけどね? 夏場のアイスみたいな戦い方だったわよ……』


 夏場のアイス、か。……美味しいよね。……煤汚れのついた魔剣を手にとる。


「よしよし、無事だったか」


 さしものヤツも大爆発にはびっくりしたのか壁際で大人しく寝ていたが、僕が魔力の紐をよこしてツンツンつつくと、慌てて、目を醒ました。


『………!!!』


 微振動する腰の定位置に戻った武器の調子に満足する。


 今度はドロップを探し回る。隔離された通路内はひどいありさまだった。これは、直すの大変そうだな、と人ごとに考えて、ポーチに"細長い魔石"と"不気味な猿手"などを納める。


___________________________________________

 《まどうコア》

 モンスタードロップ。物質タイプの動力源。

 魔道具に利用される。 売却額:500G

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 こっちは魔石。

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 《猿の手》

 モンスタードロップ。獣タイプの部位素材。

 鏃、丸薬等に利用される。 売却額:1800G 

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 うわっ呪われそう……。


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 《大地のプレート》

 モンスタードロップ。地の力を強く感じさせる石板。

 そのまま盾にしても使える。 売却額:2500G

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 ………いや、重いぞこれ? 20キロはあるかな……。


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 《ミニチュアモアイ》

 レアドロップ。玩具。表情が変化して声を発する。

 個性がある。 売却額:56000G

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「?」


 手乗りサイズのモアイ像は、細い目をして『ゔゔん』とうなってる……。


 僕はいらないが、コレクター人気が高いかもしれない。

 ……ホントに売れるのかな?


___________________________________________

 《ブロンズバスタード》

 ふつう。青銅の両手剣。

 かなりの腕力が必要だが、獲物を真っ二つにできる。

 売却額:1200G

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 おお! イイ感じだ。……けど、デカいな。こちらも持ち運びに難がある。


 炎理さんが目を覚ましてくれたらいいんだけど……。


『この両手剣、ラクミヤは使わないの?』


 僕は魔剣あるしね。リーチも、切れ味も血剣の分が上乗せされる。……あっ、両手で双剣扱いにするとか?


『そうよっ! 身体強化でバッタバッタ薙ぎ払うのよ!!』


 できなくはないと思うけど真剣に戦うなら隙が多すぎる。雑魚戦かな。


 さて。考えるのは楽しいがとてもポーチに入りきらない装備類を一箇所に集めて、浮かす。


 対象を包み込んで持ち上げるのだ。とくに『両手剣』と『プレート』が重すぎるけど魔力の消耗は少ない。操作する精神力は減るが。


「やっと《生活魔法》ゲットできたな〜!」


 ジョブスキル《生活魔法》はダンジョンで役立つ小規模な魔法群。

 マッチの火、飲料水、爽やかな風、光源なども出せる。あと土を掘れて浄化魔法も使える。


「―――《ピュリヒケイト》。……お〜清潔感ある! 目元も綺麗になったし、感覚からして、血や汗が魔力に分解されてる……?」


 これはイイね! シャワーいらずだ。


 戦闘服に染みついた血やホコリまで綺麗になった。長期間、ダンジョンで滞在するときにお役立ち間違いなし!


『ヒグレたちも全快したようね! あとはオブジェクトが消えるの待ちかしら』


 時間差の罠なパターンもあるけど、今回は【ログ】を見るにシステム的にクリアしたことになってるので、ミカの言う通りだろう。


「それにしても強かった」


 無事な通路に腰を下ろして魔石を並べる。


 確定ドロップの魔石だけを比べても道中とは比較にならず、ロックイーターの《大地の結晶》未満とは言え、五つもあればこっちが値段も上だろう。


『Dランク・レベル10オーバーの統率されたグループだったものね?』


 モアイアイ―――ランク的にはロックイーターより上だ。……うーん?


『この階層が適正の冒険者ならまず間違いなく全滅していたでしょうし……これから向かう5Fの平均よりも強いわよ!? ホントよく無事だったわね〜』


 出てきて、魔石の横に並んだミカを"物差し"にして比較する。ずいぶんと大きいな……。


 魔石には、一律100Gのクズ魔石。

 それに+アルファで色のつく小魔石。

 それ以上は、数百G〜数千Gと幅がある。


 ロックイーターの《大地の結晶》は『中魔石』という区分でボスクラスのデカいモンスターが落とす。

 大きさは保証されるが質で買取額が大きく上下する。

 しかし、トラップモンスターはその強さの割に報酬が"しょぼい傾向にある"ため、これでもハズレな方なのだろう。


 確かに、実際の戦ってるやつの魔石が密度は上だった。ダンジョンに没収される魔力の割合が多く設定されているのだろう。経験値も思ったより少なかった。


『フン。マナの相棒がムチャクチャなだけだポン。……薄々、思ってたことなんだポンが―――ラクミヤは"不運系のスキル"を持ってるんじゃないんだポンか』


 無事に切り抜けたのでポジティブなミカとは対照的に、真面目な顔をしたエイポンが意味深に見つめるので……。


 ふと、考える。


 確かに、体感する罠の脅威度が普通よりは高そうだな……?


 どのパーティでも僕ら並みなら"毎日全滅"するだろう。

 つまり、僕らのパーティは引きが悪い。……いや、僕かマナか。


『それこそ、称号《小さな勇者/リトル・ブレイバー》の"試練誘発効果"なんじゃないの?』

『……その称号を得る前のロックイーターの時点で相当に運は悪いポン。元々の運の悪さに加算された形だポンか……ポンポポン。………「潰れる」か「強くなる」かの二択を迫られるんだポン』


 そんな効果、聞いたことないんだけど?


『厳密にスキル効果として設定されてるわけじゃないのよ……ただ、ダンジョンの側が悪さをすると言うか……ねぇ? 魔王からしたら目立つ存在でしょ? ―――勇者って』

『神々が期待してるから、というのもあるんだポンね。勇者でありながら、平和に日常を送られると"魔王討伐"なんて夢のまた夢だポンから』


 なに。……僕は、そんな事情を勝手に押しつけられたのか……ちょっとショックだ。


『そんなこと言って……実は、アンタってば喜んでいるでしょ……』


 ………バレたか。


 そんなのすぐに強くなれるってことだもんね! 




 マナたちとは距離をとって休息する。――壁に腰掛け、スキルも魔法も使わずに目を瞑り、感覚を閉じた。


 そうすると、このまま眠ってしまいそうな暗闇が現れる。


 《オーラフィールド》や《魔力感知》の刻む物質・魔力の揺らぎから読み取る時間の流れがボヤけて、夢を見るのだ。


 暗闇の中には、悪趣味な笑みを浮かべた僕がいる。

 遥か高みから見下ろして下々の動向を愉悦する悪魔だ。その悪魔は、僕のカラダをすら下に見て、何もかもを支配できると思ってる。


 『マリオネット』を使ってるとき、幽霊みたいになった自分を思い出す。――魔法は万能だ。それゆえに人格を分離するなど容易いことで、もしかしたら"無機物にすら心を与えられる"かもしれない。


 さて、今の自分はどっちだ? ―――僕は人間だ。しかし、僕はどうやら"人間のカタチ"というのを容易に抜け出すらしい。


 愛と平和と平等と、希望と、勇気と、それから慈しみを持てばいいだろうか。


『―――あははっ! もっと苦しめ! 泣いて叫び声を上げろ! だってその悲鳴が一番気持ちいいんだからなぁっ!!』


 遠くにいる悪魔が、泣き叫ぶ僕を足蹴にして愉しんでる。



 "ああ"は、なりたくないものだ。



 そんな一つの確信を得て、微睡から目を覚ます。


 ちょうど、寄りかかっていた岩壁が粒子化するところだった。慌てて立ち上がる。


「え、ラッキー。……寝てた」


 白道の人工的な通路にそこだけ自然の洞窟っぽい壁が通せんぼをしていたが。無事トラップが終わり出現したオブジェクトにくり抜かれた白道の継ぎ目を見つつ対応する。


 向こう側で待機していたパトロールの人と話をして、助力が不要だと伝えると、パトロールの人は作業を始める。


 虚空から取り出したセメントを流しこみ手をかざすだけで亀裂や陥没が整えられていくのだ。


 そうやって瞬く間に元の姿を取り戻す白道を、僕は感心して眺めた。



「………と。僕らも移動しよっか。いったん水晶広場かな」


 夜以外に眠れたので僕は得した気分になりながら、休む二人の元に合流する。


 疲労の色が濃いマナは気難しげに髪を撫でつけている。

 もう一人の炎理さんはリビングのソファでくつろぐみたいに溶けてる。


「―――でもでもっ! 3Fでこれなら4、5Fはもっと期待していいよね! できれば、最初は普通に出てきて欲しいけどさっ」

「……ハハっ……エイくん元気だね〜。………私、もう死んだかと思ったよ。ノゾミちゃんも一時はレッドだったし。……なんなのあのッ、キモモアイ……!!」


 比較的、無事なマナの様子と炎理さんの真っ白な戦闘服にできた赤い染みを見下ろす。


 ……腹部に、鋭利な破片が飛んできたのだろうか。


 確かにアレは痛かった。防御系の技を持たないのだろうか?


 《ヒートサンクチュアリ》はあくまで"攻撃による守護"であり、別途『炎の壁』を作っても……あの砲弾であれば、貫通されるか。


 ならば、スキル《シールド》の一つでも持つか、魔力の層で身を包めばダメージは最小限にできると思うが……たとえ、パリィンパリィンっと砂糖菓子みたいに破壊されるとしても。


 攻撃の減衰。回避先の予測。いっそ使い捨て感覚でもいい。


 とくに、スキルの《シールド》はそれ以上の"頑丈な盾"の供給源としても利用していた。クールタイムはあるが使用可能になってからすぐに使い結界構築のカナメとしたのだ。


 ………もしや彼女は無属性を使えない? 体質レベルで魔力が火に染まり過ぎた弊害だろうか。

 

 彼女の才能は攻撃に特化してる。

 後衛の魔法アタッカーが最適な編成だが気質から前に出やすい、と。


 マナの後ろに置いても、ウズウズしていたしな。


 先の戦闘も、自爆するモアイアイ、炎理さん、盾持ちのマナ、という位置関係だったのだ。


 灼熱を無害化できる炎理さんが盾役に躍り出て、しかし思いっ切り物理攻撃を食らった、と。


 ガフガフと血反吐を吐いていた炎理さんも今では全快してる。


「はぁ〜っ……はぁ〜っ………。だるい。なにもしたくない………オレなんて死んだほうがマシだ…………いっそ殺してくれっラクミヤ」


 ボサボサの髪。

 ひび割れた唇。

 どろどろに濁った目で破滅的なことを懇願してくる。


「鬱モードだねー。MPは余裕ありそうだから、体力の方かな?」


 ユニークスキル《大精霊の恩寵》と言えば、精霊祝福系の最上位らしい。

 所持者を、国や都市が大切に守るくらい重要なユニークスキルで、有名なトップ冒険者でも持ってるかどうか……という破格の能力。


 効果や性質が保証される系統の最上位なので大変ありがたがられる。各神殿の一番偉い人でもそれ以下なんじゃないかな? 


 なんで冒険者目指してるんだろ……。


 まぁ、なんにせよ全快だな。便利なスキルをお持ちのようで。


「なら炎理さんもマナも大丈夫そうだね」

「かまって、ラクミヤ」

「……ぁあ、うん、私は大丈夫。でもノゾミちゃんがっ……私を守る、ためにッ……」

「盾は渡さなかったの?」

「……ムシ、すんなよぉ〜〜」

「……ぇっ? あ、うん。とっさのことだったから」

「ふーん、そういうことも、あるか」

「らくみやぁ!!」

「だるいな」

「なんだとーー!!?」


 やたら絡んでくる炎理さんは……どうしたんだ? 気でも触れたように見える。さっきマナと二人っきりのときは大人しかったくせに僕の腕をつかんで抱きつこうとする。


「マエン、炎理さんはどうしたの」


 担当の天使を呼び出す。


『………な、なんでもないメラ』

「なんでもないってことはないでしょ……」

『だ、だから少し放っておけば治るメラ。人肌恋しい、というやつメラ!』

「いや、困るな。ここ、ダンジョンだよ? まだライセンス失いたくないよ」


 マナ?


「う、う〜ん。ほら、ノゾミちゃんしっかりして」

「やーだー! やーだー! らくみやがいいもん」

「えぇ………」


 ダメだこれは……。

 さすがのマナも引いてる……。


『あっアンタのせいよっ! と言いたいところだけど―――これは不可抗力ね』


 でしょ?


 漫才やってる暇もない。仕方なく背中におぶって先を目指す。


「へへ〜」


 宝物を見つけた、という雰囲気の幼い炎理さん。

 

 最初は意味不明だったが徐々に理解できてきた。


 要するに、体質の問題から身体的接触に飢えているのだ。だから、マエンの言った通りか……。


 もっと正確に言うなら、拒絶しない相手を欲していたのだろう。真っ当な人なら彼女の炎熱を反射的に避ける。

 とくに興奮してるときはひどい。


 今なんてほっぺをスリスリされて首元が火傷してる。……しかし、我慢できる。少しでも嫌がる動作をしたら傷つくのだろうとわかるから、我慢できてしまえる。

 正常な反射をコントロールしてしまえる僕だからこそ、変に噛み合ったのか?


 ともかく、専門家ではないから詳しくは知らないが、今は錯乱してるとみなしていい。


「…………」


 すごい顔で見つめてくるマナを置いて、斥候を続ける。その途中で、今度は、別の興奮をし始めた炎理さんを降ろした。


「………スマン。油断した」


 寝ぼけ眼でよろよろと立ち上がった彼女にシールド製の座布団を渡すも、顔を真っ赤にした彼女はこれを拒否する。


 直接対象を浮かして運ぶよりは遥かに低燃費で済むと思ったのだが、プライド故か断固として自分の足で歩いた。


 あぁ、あとアイテムは炎理さんのスキルの中だ。

 見習いレベル5で覚える《アイテムストレージ》という虚空にしまえるスキル。

 手に持ったものが出たり消えたりする光景は、ギルドでもよく見られる。


「ぅぅ〜〜〜〜!!??」


 それと、今までの醜態はなかったことにしたらしい。

 おそらく、いや絶対……起きてたとは思うが―――どうやら彼女はいま目を覚ました設定で行くつもりらしい。それに僕も乗った。


 首元をさするとガサガサした感触がある。

 水晶広場に着くまではとくにトラブルは起きなかった。


 索敵・罠警戒はこれまで通り僕が――戦闘面は鬱憤を晴らすかのような二人の補助に徹した。


 そして、やっと通路の先で、人の賑わう街の気配が近づいてきた。


 

 水晶広場が見えてきたのだ。



おつかれさま! 次話は休憩フェイズに入ります。戦いばっかな気がするし……。

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