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【魔神転生】 〜無限の螺旋に挑む者たち〜  作者: 暗黒のグミ
第二章 白き怪物のアギト
16/73

説教と子供

続き。


 無事に、パーティ全滅の危機を脱した僕らは、予定通り先を目指す。


 安全な白道は人の気配も多く立ち止まっているわけにはいかない。僕は、ミカを出してエアツンツンしながら歩く。


 きゃーやめてー、と、ノってくれるミカ。しかし、ここには"鬼"がいる。



「――どうして、言うとおりにしてくれなかったの?」


 顔の血をタオルで拭っただけのマナは――錆臭く、なんとも言えない独特の獣臭さの混じった匂いを醸し出す。


「…………」


 眉をしかめて、こちらを射抜く少女は――僕とは全く違うバトルスタイルの持ち主で本人には決して言えないだろうけど、"男気"にあふれていた。


「私は逃げてって――助けを呼んできてって、頼んだよね?」


 『低階層』でも集団で群がられるのは事故率が高いのだろう。

 通りがかったパーティが心配して声をかけてくれた。はらぺこウルフ以外の、集まりかけていたモンスターは他の冒険者に討ち取られたのだ。


 だから、やはりマナは正しかったわけである。


「―――私は、こんなに怪我したよ?」


 そう言って首元を見せてくる。あまり筋は通っていないが僕の"命令違反"を責める雰囲気だ。……傷跡は綺麗になくなっている……。


 そもそも戦闘服は頑丈で、あの餓狼の噛みつきでも穴すら開いていない。ホワイトソードと同じく、驚異的な防御性能を施された"戦装束"だ。


 一定のダメージが蓄積すると途端に脆くなるとはいえ――たった一戦で失われるようなものでもない。

 とすれば骨折したのだろうか?

 エイポンの回復もあって視界左隅に見えるHPは常に『70%』以上をキープしていた記憶だ。

 もし欠損や障害が残ると"HPの最大値"が減少するがたった『1ポイント』も減ってないし。


 なにより、僕が戦線を離脱して救援に行けば、もっとひどい目に遭っていたはずなんだ。


「何か言いたいことがあるの?」


 その反抗心を見抜かれたのだろう。マナの不機嫌度はさらに高まる。


 この嵐を切り抜けるため――僕は別の考えを始めた。



 さっきの戦闘の光景が目に浮かぶ。

 魔法は万能だが、戦闘中にやれることは限りがある。

 一秒という時間の中で、いったい何回の魔法を使えるだろうか?


 魔法の致命的な弱点が露呈した気分だ。それは"速さ"だ。


 "たった一歩距離を詰めて剣を振るう"、その方がはるかに速い。

 実戦で活かせるのは、一瞬で立ち上げ可能なマジックスキルと《オーラフィールド》内で練り上げ"待機状態"にした魔法くらいのものだ。


 アイデアはあっても、数秒間を要する魔法など使い物にならない。

 実際に使ってみた『全方位・触手蓮華』くらいだが、あれもスキル化しないとろくに使い物にならない。――マジックスキルは速いが、"同時に二つ"使えないし、一度使ったら数秒のクールタイムがある。とはいえ、テキトーに魔力を操作したくらいだと単なる圧力にしかならない。

 魔法の中でも――とくに『無属性』という属性は戦闘補助のイメージが強い。


 さっきのも、速射と範囲攻撃、あるいは広範囲の防御技があればもっと上手くいったかな? それこそ《オーラフィールド》の中を多層の《シールド》で囲い込めば、簡易的な"砦"を築ける。



 その場合―――いや、だが――――




「…………………」

「…………はぁ。聞いてないか……」

「……………………………」


 ―――あるいは、グリッターボールを機雷みたいに使うとか?


 幸いMPだけは有り余っている。コスト度外視の"ブルジョワ戦法"でもいい。たった数秒の認識を変化させるだけの魔法で、MPが100単位で飛んでしまうのは――僕がまだ未熟なせいだろう。


 家に帰ったら、明確に"特定の"身体部位を強化する魔法の練習がしたいな! まだ3Fに着いてもいないけどね!


「―――あっ」


 そうだ! と思い出したように、隣に立つマナの顔を確かめる。ゆっくり、恐る恐るとだ。


 …………おお! 嵐は過ぎ去ったようである。


『――ねぇ? 人数を増やすって選択肢はないの? パーティメンバーはフツー定員の六人に近づけないかしら』


 僕にかまってもらえずに耳元を飛んでいたミカが素直に正論を言う。


 さすがに今回みたいなことが多ければ、そうするしかないだろうけど。


 おっ……と!


 壁から石つぶてが飛んできた。魔力感知型のトラップは片っ端から解除してゆとりがある。けれども、それ以外の"接触型のトラップ"は回避するしかない。


 今のところ――トラップは嫌がらせ程度だ。若干床が凹むとか……"サッカーボールサイズの岩"が転がってくるとか……あっ! あとモンスターの召喚もあるらしいよ!!


 『トラップモンスター』と呼ばれる特殊なモンスターがいるそうだ。これはまだ未経験……。


 頻発するそれら"破壊可能"の『ギミックトラップ』は、多少HPを削られるくらい。入試でも――こういうアトラクション系は――子供の頃から遊んでいたし懐かしいほどだ。


「――私。今度は私がやるから。エイくんは黙って見てて」

「見てます。がんばって」


 戦闘のみならず、遠方・広範囲の探知、罠の解除、ごく近い範囲なら予知じみた反応で動ける、これら僕の活躍に比例して、マナの必死さが増す。


 よく考えてみれば、まだマナは戦闘にも役立つスキルを持っていない。ジョブスキル《暗視》は誰もが手に入れられるし、現在仄かに明るい白道のみを歩く僕らにとっては無用の長物。


 それ以外だと、マナはパワフルな前衛職に見えるが、武装はともかく彼女は生粋の剣士ではないから、素人目に見ても太刀筋が受け身に過ぎる。


 戦いのための武器としてではなく、あくまで"敵を切断する道具"にしか見てない印象だ。


 《魔力感知》等のスキルで"空間の把握"に長けてきた僕から見ると、はっきり言えば剣のセンスはないだろう。


 僕自身、剣士ではないが、道中たくさん見てきた冒険者の太刀筋あたりと比較してみるとその優劣がよくわかる。

 ホワイトソードは業物だ。

 だから使い方によっては、一撃で獲物を仕留められるのは間違いなく―――きっと僕の方が上手くやれる自信があるし―――なんなら指導だってできそうだ。


 《魔力感知》にくっきりと残るマナの太刀筋と先輩冒険者の"達人級の一撃"を重ね合わせて都度修正していけば、きっと強くなるし、スキルだって手に入ると思う。ただ、帰ってからにしようかな……。


「なに?」

「いや、なにも」


 ―――それにさ? そんな理由で僕がマナ以外の他人とパーティを組むわけないじゃないか。または、できないとも言う。



『―――難儀するわね、お互いに』



 天使ミカはそんな二人を見ては、「ダメだこりゃ」と目を瞑り、その首を横に振っていた。



***



 自慢ではないが、僕らの強さはそれなりのようで。

 

 これまで観察してきた冒険者の戦いからして――魔法をバンバン使うパーティはまずいない。


 黒ローブやとんがり帽子を身につけた魔法使いらしき見た目をした人たちは、さっさと3F以降を目指すのがあたりまえなのだ。


 であるから、寄り道もせずに『水晶広場』を経由して、ボス部屋の前までやってきた。


 道が曲がりくねっているとはいえ、何十キロも進むわけじゃない。

 せいぜいが数キロメートルだろう。だけど僕にとっての最大の難関は、もっぱらコレだった。


 "十数秒の全力戦闘"よりも"長時間の移動"のほうが疲れるとは……僕は想定外だったよ。



「……………ハァ、ハァ。……マナは平気なの?」

「うん。全然、問題ありませんっ。エイくんって瞬発力はあるんだけどねー? 普段から運動しない人はそんなもんだよ。これからの課題だね」

「………うん、そうだね……。魔法を使って移動したらダメなんでしょ?」


 足元に浮かした《シールド》に乗って、スイスイ移動するだけでも全然違うのに。


「だーめっ。しっかり歩かないと、いざというとき動けなくなるから」

「ハイハイ、分かったよ」


 "魔法阻害系"の罠もあるしね。魔力を蓄える、あるいは阻害する鉱物なんかは別に珍しくもなく罠にも組み込まれがちだ。


 それに、約四十キロの荷物/ボクを乗せて移動するには、色々と問題もある。


 《シールド》の耐久性・操作性、それから燃費。

 専用の魔法を【ブック】に登録させるのがベストかな。

 たぶん、近いうちに覚えられるだろう。


 そんなことを考えていたら、ようやく先に進めるようになった。


「ハイハイすまんね。―――ちょっとだけ、どいとくれよ」



 パカラッ、パカラッ。


 蹄鉄の音がして振り返ると、豪奢な馬車に乗ったクラスメイトの一人が僕らを見下ろしていた。


「ふん。断りなどいらん。我の品位が疑われるではないか」


 尊大な物言いをした同級生の男子は、周りの批判的な視線をモノともせずに、小間使いらしき、成人男性に告げる。


 そそくさと両脇に避けた僕らを追い越して開放的な馬車でくつろぐ男子は―――僕のクラスの一員だ。


 この国の中心である『皇都』の出身者であり、国を治める『皇族』と呼ばれる支配者一族と、その血縁関係にある親戚の息子。


 要は、世間的に言われる『大貴族』の子だ。つまり、埒外に偉くて金持ち。


 僕ら庶民とは違って、ダンジョン探索ですら乗り物を利用するくらいだもんな。

 初心者のうちは――馬車だけでなく車やバイクなどの乗り物は禁止とされるので、あの大人がライセンスを持っているのだろう。


 馬の種類もよく知らないが、これまで会ったどのモンスターよりも強いのは分かる。乗馬する下男はもっとだろう。


 さすがに車は見たことないが、バイクは一回だけ通った。


 冒険者のマナー的な話で、乗り物は、『魔法のじゅうたん』が人気っぽいね。


 無音でスイスイ進む豪奢なじゅうたん!

 あのイメージで魔法が作れればいいんだけどな……。



 ―――そんなことを考えているときだった。



「とめろ」



 彼が馬車を止めて――僕らを見下ろしたのは。


 進みは遅いけど彼のアイデアだけは膨らむね! 喧嘩するほど仲が良い。理想の主人公とヒロインだぁ。(白目)



 以下ステータスのイメージ


 エイくん

 E ホワイトレギュラーソード

 E ウッドバングル(まもり+5)

 E 勇気の証


―――――――――――――――――――――

 マナLv2

 HP   100 90+10 

 MP    84 75+9 

 ちから   24 15+9

 かしこさ  16 12+4

 まもり   22 14+8

 せんしん  19 14+5

 きよう   11 8+3

 びんしょう 23 15+6


 E ホワイトレギュラーソード

 E ホワイトレギュラーシールド

 E ウッドバングル(+5)

 E 勇気の証

―――――――――――――――――――――


 才能系。『魅了系技能』・『相貌系』・『美の女神との親和性』・『格闘』

 技術系。『料理』、『解体術(少しのドロップ補正)』、『美容』などに発展可能。



 ログボ 1000G+1000G+武器チケとEXPポーションなど

 初入階500G

 初回討伐500G

 討伐 最低100G〜

 ドロップ 最低100G〜


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