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第三話 「他校なのか」

 朝の教室内は特有の空気が流れている。昨日遊んだことや面白かったことを共有する女子たち、ベランダではしゃぐ男たち、気だるそうに机に突っ伏して寝ているやつと様々だ。その中で俺は窓際に置かれた自分の席に座り、昨晩のことを思い出していた。巨大な化け物と金髪の美女、全てが夢だったんじゃないかと思ってしまう。


「おはよう!どうした、マスターポジティブともあろう佐久間洸さんが珍しく暗い顔しちゃって。」


 中学時代からの親友である増田悠介が声をかけてきた。


「おう、おはよう。」


「おいおい、マジでテンション低いな。どしたん、話聞こか?」


 目の前で何やら不思議な挙動をしているのだが、今は相手にする余裕がない。少し放置していると、今度はいきなり焦り始めた。


「まさか洸、お前……恋か?」


「そんなんじゃない。」


「うおい!誰だよ!?このクラスか!?他クラスか!?他校なのかああああ!?」


 こちらの話を聞かず、一人で盛り上がっている。

 いいやつなのだが、こういうところがある。


「他校の子だったら、写真見せてほしいんだけど……。」


 悠介が耳元で囁く。いいやつではあるんだけど……。


 ――――――――――


 一限の数学を終えた休み時間、悠介は話の続きをするために俺の机に来ていた。


「今はまだ言いたくないのは分かった。告った時にフラれたら恥ずかしいから、付き合うまでは内緒にしておきたいタイプなんだな?そういうことなら俺は何も言わず、陰から見守るよ。」


 俺はほとんど返事をしていないのだが、よくここまで一人で喋っていられるなと思う。


「しかし、ついに洸に好きな人ができるとはなあ……。」


 俺はこの天井を仰ぎ見る親友に、なんと声をかけたらいいのだろうか。


「それはそうとしてさ……」


 悠介が次の話題振ろうとした時だ。外からの強い衝撃が教室を襲い、全ての窓が激しく揺れその内の二枚が割れた。教室内に悲鳴が上がり、混乱が一気に伝播する。窓に集まる人波に流され、つられて窓の方を見た俺は言葉を失った。グラウンドの真ん中で雄叫びを上げるのは紛れもないあの化け物だった。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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