道になりたい
ドジった。
いつも通りに側溝に潜り込んで、金網の蓋をした。そこまでは問題はなかった。
あとはこの近くの女子大からスカートの女性たちがこの側溝を足を開いてくれれば、いつも通りの絶景が拡がる。
今回の場所は入念に下調べをしていた。
この近くの女子大の娘たちは比較的に可愛いし、スタイルもいい子が多い。
おしゃれにも余念がないから、この夏の気候なら薄手で、光が通りやすい素材のスカートを、丈を短くして、履いていることが多い。
スカートの下にパンストを履く子も少ないし、女子高生の様に短パンのようなスパッツを履いてる女子も少ない。
狙い目だと思った。
思ったのだが、その前のOLが多い道路の側溝で、ルーチンである出勤中の女性のスーツの中を堪能している時に、そこのビルの警備員に見つかり、警察に突き出された。
「またお前か。」
顔見知りの刑事がため息をつくのに、俺は笑いで答えた。
裁判で前科の数が多いこともあり、1年もの間、「お務め」させられて、やっと外に出られた。
迎えに来た母親が、既にもう何度目かの看守への謝罪を繰り返してたっけ。
「お務め」のお陰で、痩せることが出来たので、捕まる前に下調べしたこの側溝に、意気揚々に潜ったのだ。
だが、すぐに間違いに気付いた。
その側溝には多くのごみが落ちていた。
何故か分からないが、やたらタバコが捨ててあり、さらに大人の玩具や、中身の入ったコンド―さんまで…。
つまり、この女子大に入るまでに、まずいものをこの側溝に捨てているようだった。
そのうちの何かが俺の足に絡みついて、動かせなくなってしまった。
さらに、急に雨が降ってきた。
さっきまであんなに晴れたのに。
と思ってるうちに凄まじい勢いの雨。
当然のように側溝に水が流れ込んでくる。
俺は外に出ようとしたが、突然のゲリラ豪雨に、女子大生の悲鳴がそこかしこから上がってきた。
つまり、今はここから出れない。
と思ってるうちに水はどんどん増えて…………。
生まれ変わったら、道になりたい……。
どうやら神様は存在するらしい。
生まれ変わって、俺は道になっていた。
これで女性のスカートの中の絶景が見れ…、ぐちゃ。
ぎゃあああああああああああああ―――――――!!!
ピンヒールが目に突き刺さったああああ!
人の目にションベンかけんなあああああ!
この野良犬!うんこすんじゃねえよ!
あちちっち!火の付いたままたばこ捨てんな!目に火が、火が、火があああ!