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第3章:ピラニアのふる里と飼育における危険性について

 野生のピラニアたちは、アマゾン河流域を中心に、さまざまな種類が、南米大陸の各地に、広く棲息せいそくしています。


 ピラニアは、アマゾン河の本流にもいますし、かなり狭い、小川のような川や池など、それこそアマゾン河のどこの水中にいると言っても過言ではないほどです。


 各種のピラニアたちは、気の遠くなるほど長い時間による淘汰とうたを生き抜き、現在では南米大陸のかなり広い範囲に棲息しているのです。


 つまり、ピラニアたちは、各種の淡水魚の中の厳しい『種間競争』を勝ち抜き、現在では棲息地をかなり広い範囲に広げることに成功した、一大グループなのです。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ピラニアが、人にとって非常に危険な淡水魚であることは、これまでに作られてきた映画や漫画、テレビ、ドラマなどを通じて、世界的によく知られています。


 しかし、それらのピラニアに関する「怖い話」は、事実とまったく異なっているわけではないものの、かなり多くのフィクション・・・つまりは、作り話を含んでおりますね。


 とりわけ多い作り話が、『ピラニアの群れがいる池などに人が落ちると、あるいは、落とされると、たちまち落とされたその人間は、無数のピラニアによって食べられ、骨だけにされてしまう』といったものでしょう。


 しかし、ピラニアは非常に臆病おくびょうな魚でもあるため、実際には、映画や脚本家の狙いどおりにはならないことが多いのです。


 ピラニアたちは、人が池に落ちた大きな音に驚き、警戒するからです。


 ピラニアの体で最初に目が行くのは、やはり切れ味の鋭い、ナイフのような性能を持つ、三角形の多数の歯でしょう。


 ピラニアは、この鋭い歯を使って、獲物の肉をひと噛みで切り取り、その肉を噛まずに、そのまま飲み込んで食べてしまうのです。


 そのため、無数の群れで獲物に襲いかかると、驚くほどの短時間で、その獲物を骨だけにすることができるのです。


 ピラニアがたくさんんでいるアマゾン河は、ほとんどの場所で、いつも水中にさまざまな種類の微粒子びりゅうしが漂って濁っており、視界が良い場所はほとんどありません。


 そのため、ピラニアたちが獲物を察知するのに、『視力』はまったく役に立ちません。


 そこでピラニアたちは、獲物の体から流れ出る、わずかな『血のにおい』をぎつけたり、獲物が水面をもがき苦しむときに起きる、バシャバシャという水音を聞きつけ、獲物の存在を察知するのです。


 もしかしたらピラニアは、『音の種類』というものを聞き分けられるのかもしれません。


 つまり・・・嗅覚きゅうかく聴覚ちょうかくが、異常に発達した魚、ということなのですね。


 また、ピラニアの『天敵』について、ここで触れておきましょう。


 さまざまな、ピラニアの『強さ』を聞かされておりますと、この魚には、天敵はいないのではないか・・・? と錯覚してしまいますが、実はそうではありません。


 実際はピラニアには、彼ら自身を好んで食べる、『アマゾンカワイルカ』や『アマゾンカワウソ』、さらに『メガネカイマン』などのワニ、各種の鳥、『ジャウー』などの大型ナマズ、そして、極めつけは、われわれ人間(= 猟師など。)という、天敵がいます。


 このように、ピラニアはけっして、『アマゾンの水中の王者』ではないのです。 


 それでも、ピラニアが人に大ケガをさせる危険な魚であることは事実です。


 ある水族館の飼育スタッフは、ピラニアの展示水槽のうしろで他のスタッフと談笑していたとき、そばにある水槽のふちに手をかけ、なにげなく指をその中に浸したのだそうです。


 次の瞬間、手に「ガツン!」と強い衝撃と痛みが走り、驚いて手を引き上げたら、一本の指が半分、噛み千切られていたそうです。


 水槽にいた、多数の大きなピラニアの中の、おびえていない一匹が、水面から下ろされた指を「えさ」だと思い、捕食を試みたのでしょう。


 結局、魚の数が多すぎて『犯人』は分からず、指は回収できなかったそうです・・・。

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