第2章:ピラニアは、人喰い魚か?
『人間さえも100匹以上の集団で襲いかかり、鋭い歯で肉を噛みちぎり、あっという間に骨にしてしまう凶暴な猛魚』・・・
一般的なイメージを文章にすれば、このようなものでしょう。
しかし、実際のピラニアは、極めて臆病な性質であり、アマゾン河で人が襲われて食べられてしまったという話は、ほとんど聞きません。
むしろ、南米では、水底の砂中に潜んでいる『アマゾン淡水エイ』の方が、人々にはるかにおそれられています。
エイがいるのに気づかず、うっかり踏んでしまい、その毒針に刺されてしまう事故が多いようですね。
また、肉食ナマズである『カンジェロ』の仲間も、微量のアンモニアを嗅ぎとって、人の肛門や尿道、膣などに潜り込んで激痛をもたらすため、上記の淡水エイ以上におそれられています。
ピラニアの場合、まれに川で遊んでいる人のスネをひと噛みして、少し肉を持っていく程度のようですよ。
このように、非常に臆病な性質であるピラニアという魚は、よほど条件がそろわない限り、基本的に人間を襲いことはありません。
そのため現地の子供たちは、ピラニアがウヨウヨ泳いでいる川で平気で泳いだり、水遊びをしているのです。
(ただし、それは浅瀬の「川べり」「水際」での話。本流中央の、足が着かないような深みでは、水面をバチャバチャとやってはいけません。)
また、血を流しながら縛られ、ピラニアのいる川に放り込またとしたら・・・それこそ、映画『緑の魔境』に出てくる仔牛と同じ運命をたどることとなってしまうのは確かでしょう。
以上。