#三話 恋の訪れ
「動くな」
冷徹に、そして残酷に茄子は告げた。
でも、反応はない。
誰も頭の整理が追いついていないのだ。
いや、追いつかないに決まっている。
だって、茄子は、人間の動きをしていなかったのだ。拳銃を構えてから、距離を取るまでなら、人間でもできる。
しかし、銃弾を指で受け止めて、瞬間移動のように相手の後ろに回る。人間にできる技ではない。
どうやってやったのか。なぜできたのか。この2つの疑問が頭をよぎる。
しかし、答えは出るはずもなく、全員考えるのをやめた。
「どうする?このまま警察に連行するのか、それとも、ここで人生を終わらすのか。」
「……」
(え?あれ?反応すると思うんだけど?あ、あれ?お、おかしいぞ)
いや、反応しないのは当然である。だって、子供に脅されているのだ。
「まぁ、殺すのは面倒だし、警察に行こっか。」
そう言って、茄子は犯人と思われしき人物の手を掴んだ。
そして、どことなく現れたロープで縛る。そして、その最中に、男が聞いた。
「貴方は、どこまで強くなるのですか?」
え?と全員が反応する。いや、貴方?なんで?
「いや〜、気づいてた?」
「気づかないほうがおかしいですよ」
理解不能な会話が聞こえる。頭がパンクしそうなのは私だけじゃないと信じたい。
「では、一旦ロープを外していただけますか?」
「あぁ」
そう言って、茄子はロープを外す。
「これは警察による訓練なのか?」
「……左様で御座います」
「では、結構良い訓練だったぞ」
「否、全くのごとく効かなかったので良い訓練とは言えません」
(すぐに否定してくるところ変わんねぇなぁ)
「まぁ、ちょっとお仲間さんを連れてきてもらえるか?」
えぇ。と犯人と思われし男は去っていく。
「はい。んじゃ続きをしましょう」
は、はいとみんながうなずく。初日から大変なものである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつからなのだろう。自分でもわからない。なっさんに惹かれ始めたのは。いや、初対面のときすでに惹かれてたんだ。好きだったんだ。
なんで、今まで気付かなかったのだろう。と疑問に思う。
でも、告白して、受けてもらえるわけがないのだ。初日から、あんな事があったから疲れてるだろうしね。告白なんて追い打ちになるだろう。オーバーキルはしたくないから。
でも、振り向かせたい。だけど、どうすれば良いのかわからない。距離を縮める?ソレがわからないのだ。
「う〜ん」
「どうしたの?」
と、横から声がするのでそちらを向く。そこには、
「生徒会長。」
生徒会長がいた。名前は確か、
「神崎 愛依」
ここは海の前なので、結構風で寒い。でも、だからこそ、黒髪の彼女は似合う。
「で?どんな悩み?生徒会長としては聞きたいものだけど、」
彼女は聞いてくる。デリカシーが無いなぁと思いながらも、答える。
「恋。ですね」
へぇ、といった表情をする愛依。
「初日から?」
「は、はい」
「ふ〜ん」
本当にデリカシーが無いなと思う。
「ちなみにどんな男子?」
「名前?」
「いや、雰囲気」
「雰囲気かぁ。男の娘って感じで、運動神経が良い。」
「あぁ、分かったわ。茄子さんでしょ?」
「え、えぇ?」
いや、なんで分かるの?めっちゃ疑問なんだけど、
「あの子ねぇ、上の学年から狙われてるんだよ」
「え?」
「すっごい人気あるの。貴方も一緒だけどね、心愛」
「私も?」
「ファンクラブできてるわよ?」
「うわ、いやだなぁ」
そこで、強い風が吹く。
「きゃっ!」
「大丈夫?」
「は、はい。一応は。」
「敬語外していいわよ。あまり慣れないからね」
「え?良いんですか?」
うん!といった表情をする生徒会長。
「まぁ、頑張ればいいじゃん。だって、二人の家隣なんだし」
「!?それってどういう...」
「え?知らなかったの?」
知るはずもない。え?隣の人だよね?なら、知ってる筈。でも、なっさんなんて見たことない。どうして?
「謎だねぇ」
まさに謎である。
「まぁ、今後は仲良くしてね」
「はい!神崎さん!」
「愛依でいいわよ」
「私も心愛で良いですよ!」
又新しい仲間が増えるのであった。
一気に3つ投稿しました!休日は時間あるのでもっと投稿したいですね!今日は休みなんだけどね
リクエストはtwitterとかでよろしく!
https://twitter.com/nasutorathebest ←twitter
絵は #なっさんの支援絵 でよろしく!