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41.婚約破棄

「フローラ、お前と会った後父上の様子がおかしくなったお前が何かしたにちがいない」


 舞踏会がはじまって、数分後。

 ロイの予想通り、会場内で勝手にデナウがロイの断罪式を開始した。

 皆の注目を集める中、デナウがフローラに扮したロイを名指しで追及しだしたのだ。

 狂った国王を引き出して、狂ったのはお前のせいだと追及しはじめた。


 会場がざわつく中、視線が一斉にフローラに集まる。


 --が。


(……まさかこんなバカな追及方法でくるとは思わなかった)


 ロイはため息をつきながら


「また、濡れ衣ですか?殿下。

 お茶会での毒事件といい加減そのワンパターンはやめてくださらない?」


「何を言っている!? 父上はお前と謁見してからおかしくなったのだぞ!?」


 デナウが指さしていうけれど、ロイは鼻先で笑ってかえす。


「おかしいですね?

 ではなぜいままでその事実を隠していらっしゃったのですか?」


「何?」


「様子がおかしくなったのなら直ぐにでもエルティル様を呼び戻して診てもらうべきでした。

 何故しなかったのです?」


 ロイが声高に言うと、会場からも「確かにそうだ」「何故放置してたんだ?」とざわめきがおきる。


「しかも一か月近くも放置し、いまこの会場で発表するのでしょう?

 私が何かしたというのならその日のうちに私を捕らえるべきだった。

 だがあなたはしなかった。それが何故なのかと聞いているのです。」


「そ、それは……」


「答えは簡単。 国王陛下がおかしくなったのは私が謁見してからだいぶたってからだった違いますか?」


「なっ!?」


「だって、いつもそうじゃないですか。

 私がやってもいないことを複数人で騒ぎたてて謝らせて、私がやった事にしていらっしゃった殿下ですもの。

 また馬鹿の一つ覚えで同じことをなさったのでしょう?」


「ち、ちがっ!?」


 デナウが否定しようとするが、会場からわざわざわとどよめきが起きる。


『王子がまた……』


『いつもばれていないと思っているのかしら』


『大体国王陛下は何度もフローラ様を大事にしろと注意していらしゃったはずだ』


 とひそひそする声が聞こえてくる。


 そう、今までもフローラに無実の罪をかぶせていたせいで、皆に内心では、フローラに罪をかぶせただけでデナウがやったのだと気づかれていた。

 いままではアレスに嫌がらせをしたかった国王デデルが握りつぶしていただけで、デナウ自身にはその噂を握りつぶす力もない。


 けれどデナウにはそれがわかるわけもなく、何故周りの反応が今までと違うのだと、慌てる事しかできない。 


「本当だ!! こいつがおかしくしたんだ! なんなら執事に聞いてみろ!?」


 と、謁見の時に付き添っていた執事を指さすが、フローラはふふっと含み笑いをした。


「殿下の身内に聞いたなら、私が犯人と言うに決まっています。なんの証拠にもなりません。

 ほーんと、殿下ってわかりやすいですね♡

 また証拠のない罪で私を陥れようとした。

 これで何度目になるでしょう?こちらはもう我慢の限界をとっくに超えているというのに」


 違う、今回ばかりは本当だ。

 フローラとの謁見後おかしくなった。執事だってそう証言している。

 だから今回はうまくいく、それが真実なのだから。

 なのになぜこんな事になっている?

 そして何故会場はフローラの味方をしているんだ!?


「ええぃっ!!!うるさい!うるさい!婚約破棄だっ!!!」


 舞踏会のホールで、デナウ王子の絶叫が響いた。

 


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