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39.もうすぐ

 ふふ。もうすぐだわ。


 エミールは豪華なドレスを選びながらウキウキしながら思う。

 何人もの使用人たちがずらりと並び、エミールのドレスあわせを皆がきれいだ、すごいと褒め称え、部屋には豪華なドレスが所狭しと並んでいる。


 デナウ王子が結婚を急ぐと言い出した。

 そしてフローラを糾弾すると。


(最近生意気だったからいい気味だわ)


 七賢者と六聖人と知り合いだからと最近のフローラの行動は目に余る。

 セルクとエルティルの招かれない舞踏会で、糾弾してそのまま処刑。

 国内問題として片付けるには七賢者と六聖人不在の時に殺してしまうしかない。

 そしてキャロルにファルバード家を継がせてデナウ王子の地位を盤石のものにすると聞いている。


 七賢者と六聖人の妻という立場からするとずっと見劣りするけれど、セルクもエルティルもエミールの美貌に振り向きもしないから仕方ない。


 やっとあの高慢な女を陥れる事ができるのね。


 楽しみだわ。


 エミールはにんまり笑うのだった。


★★★


「本当に、フローラ様に言わないで事を進めるおつもりで?」


 お茶を飲みながらエルティルが尋ねる。


「ああ、どうにもまだトラウマがあるようだしな。

 フローラに今回の事に関わらせるつもりはないし、戦争になればお互い元の体に戻り、フローラには安全な場所にいてもらう。言う必要もないだろう?」


「なるほど……それにしても」


「それにしても?」


 エルティルが目を細めてロイが聞く。


「どうにも殿下の転魂の術の力が弱くなっている形跡があります」


「そんなことがあるのか?」


「ええ、まぁ気にするほどではないと思いますが……。

 念のため強くなるように魔法をかけておきますね」


「さすがエルティル愛してる♡」


「私もですよロイ様♡」


「……その気持ち悪いやり取り、やるならよそでやってくれませんか」


 ロイとエルティルのやり取りをみていたセルクが心から嫌そうな顔で突っ込んだ。


「なんだ嫉妬か!?もちろんセルクも愛しているぞ!?」


「私もあなたの事も大好きですよ♡」


 と、ニコニコ顔で近づいてくる二人にセルクの顔が本気で嫌そうに引きつる。


「二人ともキモいのでやめてください。マジ切れしますよ」



★★★


「さて、今日が勝負だな」


 馬車に乗りながら、フローラ姿のロイが豪華なドレスに身を包みにやりと笑った。

 現在馬車は王城に向かっている。


「気を付けてくださいね。今回は本気で殺す気でくるのですから」


 気の弱そうな従者に姿をかえたセルクが言う。


「わかっているさ。まぁ俺にかかればこんな城の連中一瞬で制圧できる」


 本音でいえばロイの魔法の腕とフローラの魔力があればドムテラムド城など簡単に制圧できる。

 が、この大陸には独立した機関、黒の塔と聖神殿があるため、この二つの機関が相談してつくった戦争法を守らぬ国ののっとりは、黒の塔もしくは聖神殿が介入してくる事になる。


 戦争をするには「宣戦布告」し、それから半年の猶予を設け互いに兵士をそろえた状態で黒の塔と聖王国に申請をしたのち戦争をはじめる。そしてその戦争で勝利してはじめて戦勝国になれるのだ。


 そう、ドムテラムド王国側の一方的な不実で戦争をはじめるという大義名分が必要なのである。

 デナウ王子に婚約破棄されて、フローラの体で宣戦布告し、ファルバード家が戦争をはじめ、シューゼルク王国はその援軍という形で戦争に参加する。


 そこで氷の騎士アレスに活躍してもらってドムテラムド制圧後、その戦果と領地をもってシューゼルク王国とファルバード家が同盟をむすめば、氷の騎士アレスもフローラもシューゼルク王国内においても盤石の地位を手に入れられる。


 本人の意思はまだ未定として、ロイの中で未来の嫁になるフローラが苦労しないためにシューゼルク王国内でもファルバード家の力を持たせたまま領地に編入する必要があるのだ。


 そのためのファルバード家が戦争をはじめ、戦争に勝ったという実績が必要になる。


「さて、とうとう大詰めだ。盛大にやってやろう」


 ロイはにんまり笑うのだった。



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