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31.素敵な夢を♡

 シューゼルク王国の執務室で仕事をしていたフローラは寒気がして判を押していた手をとめ顔をあげた。


「どうかしましたか?」


 怪訝な顔をしてしまったせいか、レクシスに声をかけられる。


「え、いや、なんでもありません」


 書類に印を押す手をとめていた事に気が付いてフローラはあわててまた仕事に戻る。


「そうですか。何かあったらおっしゃってください」


 レクシスの言葉にフローラはためらったあと


「レクシス様」


 と、顔をあげた。


「はい?」


「殿下は無事でしょうか」


「……何かありましたか?」


「わからないのですが、すごく何か嫌な予感がするのです」


 よくわからない胸騒ぎにどう表現したらいいのかわからなくてフローラはうつむいた。

 その姿にレクシスは微笑む。


「大丈夫ですよ」


「え?」


「あの方はいつだってそうです。不可能を可能にしてしまう方ですから。

 ですからご心配にはおよびません。あの方に関しては心配するだけ損ですから」


 そう言ってレクシスは何事もなかったかのようにペンを走らせた。


★★★


「はは、ははは、やってやったぞ!! ざまぁみろ!!」


 魔力に飲まれたフローラを指さし国王は笑う。

 あの大量の魔力が体内に戻ればいくらファルバード家の血筋といえども命はない。

 

 フローラなきあとファルバード家はキャロルにでも継がせてなんとか国を守らせればいい。

 キャロルでは魔力量が不安だがいう事をきかないフローラよりはましだろう。


 そう思った瞬間。


 黒い霧に包まれていたはずのフローラが何事もなかったかのようにその魔力を手の内に吸収した。


「……まさか制御しただと!?」


 ありえない、あの魔力量を自らに吸い込んで生きていられる人間がいるはずがない。


「貴様フローラではないな!! 何者だ!?」


「お前に話す必要はないだろう? 従属の契約は呪いの契約。 

 従属相手がいるにも関わらず約束を破った。

 そこに待つのがなにか知らないわけではないだろう?」


 そう、アレスが従属の紋で国王に絶対忠誠を誓わなければいけなかったのと同様、デデル側にも縛りがあった。

 それは従属の紋を結ぶ際契約した内容なかならず厳守しなければならない。

 フローラの魔力を呪具から解放してはいけないのだ。


「何を言っている。

 アレスは死んだ。そのような誓いはもう意味はない」


「ざんねん★ これ俺様の作った偽物の聖剣★ アレスは生きている」


 と、氷で作った聖剣を目の前でどろどろにとかして見せる。

 その様子にデデルは頬をひきつらせた。


「嘘だ。そんなありえんっ!」


「従属の契約は強制力が強い。なぜか知っているか?

 魂を食らう悪魔との契約だからさ、魂を食らい続ける悪夢の王ナイトメア」


 その言葉とともに、振り向くと……そこには黒いドラゴンが大きな口をあけていた。


「アレスにしたことをそのまま永遠に自分がされ続ける素敵な夢をみるといい」


 フローラの言葉にデデルは顔を青くする。

 最後の言葉は印象に残る。

 そしてナイトメアはそのものがもっとも恐れる事を夢と見せそのものの苦痛を食らい続ける。


 脳裏にデデルがアレスにした非道な事が浮かび、あわてて振り払おうとするが。


 がっ


 フローラに蹴られてナイトメアの口の中に放り込まれる。


「アレスにした以上の拷問され続ける素敵な夢を♡」


 そういってフローラは怪しい笑みを浮かべた。


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