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29.謁見

「国王から呼び出し?」


 ファルバード家の館の自室でセルクから手紙を受け取りながらロイが答えた。

 セルクが国王自ら署名した招待状をもってきたのだ。


「どうしますか殿下」


「息子の不実を謝るつもりか」


 手紙の内容を確認しつつロイが言う。


「面倒ですね」


 あのまま王子の不実を理由に婚約を裁判で無効にし黒の塔の制裁を待って領地に戻るつもりだったのに王族側から下出にでられて、聖王国の裁判所が仲裁に入ってしまうとかえって面倒だ。

 聖王国は基本もめ事を嫌うため、最悪面倒ごとを嫌った聖王国の裁判官に痴話喧嘩扱いでもみ消されてしまう可能性がある。

 そうなる前にファルバード領に帰り、フローラと体を入れ替えロイに戻り聖王国に圧力をかけるべきか?

 だが……アレスの件がある。

 いまだに目覚めぬアレスが何故王に忠誠を誓っていたのか。

 王に会えばなにかわかるかもしれない。


 ロイが試案を重ねていると


「またよろしくない事を考えているでしょう?」


 薄目でセルクに突っ込まれた。


「よくわかったな。もちろん会いに行く」


「では私もついていきます」


「俺一人の方が油断するだろ」


「駄目です。

 放った密偵の話では 王城には黒の塔の魔術師が入れないほどの強固な結界がはられた場所があります。

 かなり高度な魔法が使える魔術師もしくは魔道具が存在しているともいます」


「はぁ!? そんなの初めて聞くぞ!?」


 セルクに顔を近づけるロイに、セルクはためいきをつく。


「あたりまでしょう。教えれば乗り込んだのでは?」


「もちろんっ!!全力で忍び込む!!!」


「悪びれもなく肯定しないでくださいっ!!」



★★★



「ようこそおいでくださいました。

 ファルバード家当主フローラ様」


 王宮につくとフローラとセルクは大仰に出迎えられた。

 両脇にはずらりと衛兵たちが行儀よく並び敬礼をしている。

 今まで仕事という名のいびりで何度か王城には訪れているがこのような歓迎があった事は一度もない。


「ずいぶんと丁寧な扱いだな」


 フローラ姿のロイが言うとセルクがため息をついた。


「いままでが無礼すぎたのです」


「まぁ確かに」


(馬鹿王子デナウのせいでさすがに王族も焦り始めたということか)


 ファルバード家はドムテラムド国の剣であり盾だ。

 ファルバード家とアレスがいるからこそ他国は攻めてこれない。

 シャルダーク王国含めだれもがファルバード家当主の氷の魔力を恐れている。


 魔獣という共通の敵がいたため他国と争う事がなくなって平和ボケしたこの国の連中がその重要さを忘れただけだ。

 

(まぁ、今更そんな事をいっても遅いけどな。

 ファルバード家はフローラもアレスも俺がもらい受ける)


 玉座の置かれた王の間にたどり着くと、執事らしき人物が前に進み出た。


「フローラ様、王はぜひ二人で話したいと」


「私が同行しては何か問題でも?」


 執事を睨みつけるセルク。


「い、いえそういうわけでは」


 言った途端。


 ぞくり。


 ロイとセルクは魔力の流れを感じて身構えた。

 目を凝らし魔力を周りに廻らせた瞬間――ぐにゃり。

 景色が歪みセルクの隣にいたフローラの姿がかすんだ。



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