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25.愛

「明日、エミール主催の茶会に行くことになった」


 夕方のいつもの通信で、ロイはフローラに報告した。

 セルクは黒の塔の会議で不在、レクシスも仕事で席を外している。

 フローラもだいぶロイとの会話になれて、二人だけでも会話ができるようになっていた。


「大丈夫ですか?嫌がらせをうけるのでは?」


 ロイの身体で心配そうに身をのりだすフローラ。


「何、俺が大陸を制覇し平定したあと、平和になればどうしても貴族の腐敗はある。

 そういったのを経験するのにいい機会だ。ああ、あとフローラ君のおかげで豊穣の聖女の不正がわかった」


「え?」


「あれは聖女じゃない。

 呪術で龍脈の魔力を吸い取って豊穣を装っていただけだ。

 証拠もあがった。近いうちに聖王国が動く。

 これもみなフローラが作成した資料のおかげだ。

 フローラの資料で龍脈の通っている地域ばかり聖女が豊穣にしていたのが気になって、セルクが調べてみたら大当たりだったんだ」


 と、ロイがにんまり笑う。


「いえ、凄いのはロイ様とセルク様です!

 私は呪術なんて思いつきもしませんでした。

 私は見当違いな分析をしていたようで申し訳ありません」


 フローラが困ったように頭を下げる。

 なぜか褒められて嬉しいというより嫌な事を指摘されたかのように自信をなくすフローラの姿にロイはぽりぽりと頭をかいた。


「あー、もうフローラ、君はもっと自分を誇れ!

 フローラのデータがあったからわかったんだ。

 分析力と解析力そして先見力、どれをとっても素晴らしいものがある。だから君を心から欲しいわけで!

 というわけで俺のものに……でっ!!」


 言いかけたその途中で後頭部を紙でぶたれて言葉が止まる。


「ロイ様、女性をやみに口説くものじゃないって言ったでしょう!?

 王子の口説きは聞いている方が恥ずかしくなって精神的ダメージがきついんですから!?」


 頭を叩いたのは魔の塔の会議が終わって戻ってきたセルクだった。


「なんでだ!?

 ほとばしる愛を伝えるのに何の遠慮がある!!

 言わなきゃ伝わらないだろう!?

 つーか明日も会議じゃないのかよ!?」


「言いすぎも逆に毒なんですよ!?

 言葉に重みがなくなるでしょう!?

 王子が心配で夜だけ戻ってきたんです!?」


「言葉に重みがなくなるというのなら、軽くなった分倍以上言えばいいじゃないか!?

 積み重ねれば重くなる!!」


「そういう問題じゃありませんっ!!」


 ロイとセルクが漫才をしはじめて、フローラはその姿がおかしくてくすりと笑う。

 

 ロイと体が入れ替わってから、毎日が楽しくて、体がいれかわったことでどこか非現実的な気がして前より積極的に行動ができている気がする。


 これもみな体を入れ替えてまでフローラを助けてくれたロイのおかげだ。

(どうか、私もロイ様の元で働けますようにー-)


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