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24.大神官エルティル

「流石、ロイ様。

氷の騎士を手に入れるためだけに、転魂の術を使われてしまうのが貴方らしい」


 舞踏会が終わり、颯爽と二人で仲睦まじくパーティー会場をあとにして、屋敷に戻るとエルティルがフローラの部屋で優雅にお茶を飲みながら微笑んだ。

 フローラの体にはいってしまったロイを面白そうにまじまじと見つめる。


「ふふ。任せろ。

 人材のためならどんな苦労も厭わない!」


 そういってドーンっと胸を張るロイにエルティルは嬉しそうに眼を細める。


 エルティルもまたロイに気に入られ、ロイに口説かれ真っ最中なのだが、大神官だけあってなかなかロイの口説きに応じることはない。

けれどロイ個人は気に入っているらしく、こうやってお互いの利益になることなら助けてくれる間柄でもあった。


「まぁ、それはともかく、聖女が龍脈の魔力を不正利用しているデータだ。

 氷の騎士の娘であるフローラ嬢が調べ上げたデータをもとに不可解な点を探ったら、これがでてきた」


 そう言って、ロイは壊れた石のようなものをエルティルに渡す。


「なるほど。これは禁じられた秘術で間違いないようですね。

 ……制裁の対象ですね。

 しかしまさか農作物の実りから聖王国が秘密にしていた龍脈の一つを探し出すとは。

 そのご令嬢はかなり優秀なようです。殿下がほしがりそうな人材ですね」


 エルティルがニコニコ顔で言う。


「決まっているだろ、口説き落とす!」


「楽しみにしていますよ。

 私も一度お話させていただきたいですから」


 ガッツポーズをとりながら言うロイにエルティルは微笑んだ。

 そんな時、ノックとともに従者の声が聞こえた。


「フローラ様」


「あら、どうしました?」


「豊穣の聖女様からの明日の王宮にある神殿で行われる茶会の招待状が」


 そう言って従者はロイに聖女の親書を手渡すと部屋から一礼して出ていった。


「おや、明日私の行く宮殿と同じ場所ですね」


 ロイの手紙を見て、エルティルが言うとロイはうんざりした顔になる。


「……嫌がらせか。馬鹿らしい」


「どうなさいます」


「もちろん行く!!!」


「ほう?嫌がらせが確定しているのにですか」


「女のお茶会は恐ろしいと聞いたからな。どういう嫌がらせか身をもって知るにはいい機会だ。

 何事も経験あるのみ!! 

 転魂は秘伝中の秘伝でそう何回も使えるものじゃない、こんな貴重な体験はできんぞ!?」


「さすがです。ロイ様のそういうところ好きですよ」


「じゃあぜひうちの王国に!」


「それはお断わりさせていただきます♡」


「わかった。じゃあシューゼルク王国が聖王国をしのぐ国になったら改めて口説き落とすから覚悟しろよ!」


「その日を心からお待ちしておりますよ」


 そう言ってエルティルは優雅にお辞儀をするのだった。


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