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23.父の思惑

「フローラ様、何かいい事でもありましたか?」


 毎日のマッサージを受けているとき、仲良くなったマッサージの魔術師に話しかけられてフローラは思わず赤くなる。


「そ、そう見えますか?」


「はい。とても嬉しそうに見えましたよ」


 と、赤毛の綺麗な魔術師が施術しながら微笑む。


 フローラは「はい、とてもいい事がありました」と照れながら答えた。


 あれから毎日、夕方になるとロイと通信するようになった。

「セルクとレクシスに口説くの禁止令が出された!?」とロイは少し不服そうだったが。

 それでも毎日仕事について語るのは楽しくて仕方なかった。


 今までは頭ごなしに全否定されていたのが、ロイはちゃんと聞いてくれて、正しい時は誉めてくれて、間違っているとちゃんと問題点を指摘してくれる。

 そしてレクシスとロイとセルクを含めて問題点について滾々と語り合う。

 議論していても他の三人はとても博識で、いままでフローラが知らなかった知識をいろいろ教えてくれた。

 何を言っても頭ごなしに駄目だ、無能だ、役立たずと罵られ、かといって正解も教えてもらなかった昔に比べると夢のようだった。

 昔から知識欲は旺盛だったとおもう。

 けれど家庭教師は質問しても授業外の事は教えてくれなくて、知りたいことは独学で学ぶしかなかった。そのため知識量がたりないし、自分の理解できなかったことは理解できぬままで終わってしまった。

 だから今の状況が楽しくてしかたない。ちゃんと理解できるまで教えてくれる人がいる。


 それに三人ともとても優しい。


 ロイはすぐ誉めてくれるし、レクシスは間違っているとさりげなく答えに誘導してくれる、

 セルクは厳しい時もあるものの、それは真面目に答えてくれるからこそで、真剣に議論し知識を教えてくれた。


 皆それぞれやり方は違うけれど、ちゃんと教えてくれる。


 ぼんやりと今のままの状態が続くといいなと、夢見てしまう。


 レクシスの話ではアレスはもう体にはどこも異常がなく、いつ目を覚ましてもいい状態なはずなのに目を覚まさないといっていた。


 あとは本人が目覚める意思をもつまで待つべきだと。


(何故父はロイ様に私の事を頼んだのー-?)


 今の状況はとても幸せで、この状況にしてくれた父には感謝している。

 でも――だからこそ、何故アレスは娘に一度も会いに来てくれなかったのか、優しい言葉の一つもかけてくれなかったのか、キャロルや侍女や従者、王子や聖女にいじめられる自分を見て見ぬふりをしていたのか。

 その疑問がどうしてもぬぐえない。


 父のアレスは死んだ母の事を心から愛していた。

 だから生まれた時、母の命を奪ったフローラを恨んでいる。

 ずっとそう思っていた。


 いまでも思い出すのは物心ついた時、父に会ったとき――アレスがフローラを見る目はまるで憎い敵にあったかのような視線で、いまでもあの目を思い出すと身震いする。

 そのアレスが自らの死を覚悟した間際にロイにフローラを託した理由がいまだにわからない。


(父は何を考えているのでしょうか――)


 体に流れる魔力の流れを感じながらロイの体のフローラは目をつぶった。



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