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20.最終兵器

「それでいつまでフローラ様の身体でいるつもりなのですか」


 通信で仕事に目を通しながらレクシスがロイに問う。

 ロイに入ったフローラはというと、今日も強制的に魔力の調整でマッサージを受けていた。

 魔力コントロールの優秀なロイはともかく、他人の魔力のコントロールに慣れていないフローラは魔術師たちの施術を毎日うけなければ体内の魔力で命を落とす危険がある。


 今現在フローラの屋敷にいるロイとレクシスは通信中だ。


「とりあえず正式にこの国の馬鹿王子とフローラの婚約解消が成立し、フローラの体が領地に戻りフローラの安全が確保されたところで転魂する。

 あともうちょっとこっちの内情をしっておきたい。

 アレスがなぜこんなバカな王族連中にいいなりだったのか気になる」


「それなのですが……」


 リンゴをかじりながらロイが言うと、レクシスは書類には知らせていたペンをとめた。


「どうした?」


「もう体の毒は浄化されているはずなのにアレス様は目を覚ましません。

 治療にあたった神官の話ではまるでアレス様本人が起きるのを拒否しているようだと」


「……なんでだ?

 娘が心配なら無理にでも起きるべきなのに本人が拒否しているのか?」


「アレス様が王族のいいなりになるしかなかった何かと関連しているのかもしれません」


「わかった引き続きしらべてくれ。こちらも調べる」


 そう言って、ロイはレクシスとの通信を切った。

 もしレクシスの言っている事が本当で、アレスが娘を愛しているという前提が正解なら――起きるのを拒否するのはアレスが目覚めた状態では娘が不幸になるとアレスが思い込んでいることにある。


(――もしかして、王族に束縛系の魔法でもかけられているのか)


 王族の命令に逆らえない束縛。

 束縛系の魔法にかかっているなら、いままでの理不尽な状況もある程度説明がつく。

 アレスの立場なら王族の無理な要求を断れるはずなのに、アレスはドムテラムド王国の剣となり、どんな命令にも従った。

 娘が不遇の扱いを受けているのも見て見ぬふりをしなければならなかった理由になる。

 だがアレスほどの魔力の持ち主にそのような高度な魔法をかけられる存在がドムテラムド王国にいるとも思えないのだが―――。


 ロイが悩んでいると


「そう言えば10日後の王宮主催の舞踏会の招待状が届いていますけどどうなさいます」


 と、セルクが尋ねた。

 セルクの手には王宮の印が押された封書がある。


「ふむ。あのバカ王子と聖女がまだ俺に嫌がらせしてくるつもりか?」


「おそらくそうでしょう。わざわざ黒の塔で七賢者の会議があり私が不在の日を狙って指定してきています」


 セルクがロイに封筒を渡しながら、席に着く。


「よし、セルク。お前は黒の塔の会議に行け」


「よろしいのですか?」


「お前がいたのではあちらも手出しできないだろう? 内情を探るならもう少し懐に飛び込まないと」


 ロイは椅子に座ったまま意地の悪い笑みを浮かべた。


「……ですが何をするかわかりません。

 あそこまで非常識の馬鹿はそうそういません。

 予想をはるかに超える非常識な馬鹿ゆえ何をするか予測がつきません、危険では?」


「そこもちゃんとこっちも最終兵器を用意するから大丈夫」


 と、ロイはにぃっと意地の悪い笑みを浮かべるのだった。


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