解読、その3
つえ ▽ とけいとう ○ ちようしん。
♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。
つえ が ⑪しけれ▽゛ とけいとう ② ○⑪゛れ。
♡し⑫ とけい が ⑬⑯゛⑮ じ⑩⑭ ⑥ となえよ。
⑰⑱れ▽゛ つえ ○ ふういん ▽ とかれ。
つえ ▽ つえ ○ ふういん ⑥ といた ⑳○ ○
⑳○ と な⑲。
そして、ここに来て尚使っていない文字が。
あ、お、き、く、こ、さ、す、せ、そ、た、ち、て、に、ぬ、ね、の、は、ひ、へ、ほ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、ら、り、ろ、る。
「凄い、本当にもう少しですよ」
彼女が期待に胸を膨らませた様子で僕が持つ手帳を覗き込む。
でも、残念なことにこれは仮説に仮説を重ねてできた仮説の産物だ。だから合ってるとは言えないんだよな。
それに暗号解読の方法としては愚作も愚作なんだよな。
まあ、今回はそうするしかないんだ、やるしかない。
そして、前回から謎の〈▽〉についてなんだけど。この〈▽〉に入るのは〈は〉〈の〉〈や〉〈を〉〈に〉のどれかだと考えなれるが〈■〉が〈濁点〉であると決定してしまったので先程の文字で〈濁点〉をつけられる文字は〈は〉しかない。つまり〈▽〉の中には〈は〉をいれざる入れざるおえなくなる。
なので〈▽〉は〈は〉だとすると、暗号は次のようになる。
万年筆を走らせて、新たな文章を手帳に記す。
つえ は とけいとう ○ ちようしん。
♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。
つえ が ⑪しけれは゛ とけいとう ② ○⑪゛れ。
♡し⑫ とけい が ⑬⑯゛⑮ じ⑩⑭ ⑥ となえよ。
⑰⑱れは゛ つえ ○ ふういん は とかれ。
つえ は つえ ○ ふういん ⑥ といた ⑳○ ○
⑳○ と な⑲。
〈は〉が入ったから〈◯〉〈⑥〉〈②〉の中に〈の〉〈や〉〈を〉〈に〉のいづれかになると考えられる。
一番、可能性が高くて妥当なのは〈の〉。
そうなると〈◯⑪゛れ〉と〈⑳◯ ◯ ⑳◯〉の並びが問題になる。仮にこの〈◯〉に〈の〉を入れるとすると。〈の⑪゛れ〉と〈⑳の の ⑳の〉となるはずだ。これらの文章をごとに合わせて考えると。
〈つえ が ⑪しければ とけいとう ② の⑪゛れ〉
〈つえ は つえ の ふういん ⑥ といた ⑳の の ⑳の と な⑲〉
となる。
そして、残った文字が……
あ、お、き、く、こ、さ、す、せ、そ、た、ち、て、に、ぬ、ね、ひ、へ、ほ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、ら、り、ろ、る。
なので、一文字ずつ試してみてしっくりくる文字が〈⑪〉に入るが、それは恐らく〈ほ〉である。つまり最初の分は〈つえ が ほしければ とけいとう ② のぼれ〉とまではわかる。
そして、もう一つの文章である〈つえ は つえ の ふういん ⑥ といた ⑳の の ⑳の と な⑲〉だが、これも入るの文字を一文字ずつ試すと〈も〉が一番妥当であると想像できる。
つまり〈つえ は つえ の ふういん ⑥ といた もの の もの と な⑲〉と言う文章であることがわかり。
暗号は以下の通りになる。
手帳に新たな文章を書き記す。
そんな僕の様子を鼻息混じりに彼女が見つめる。
つえ は とけいとう の ちようしん。
♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。
つえ が ほしければ とけいとう ② のぼれ。
♡し⑫ とけい が ⑬⑯゛⑮ じ⑩⑭ ⑥ となえよ。
⑰⑱れば つえ の ふういん は とかれ。
つえ は つえ の ふういん ⑥ といた もの の
もの と な⑲。
そして、残った文字が……
あ、お、き、く、こ、さ、す、せ、そ、た、ち、て、に、ぬ、ね、ひ、へ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、ら、り、ろ、る。
となる。
そして、次の二つの文章〈♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。〉と〈♡し⑫ とけい が ⑬⑯゛⑮ じ⑩⑭ ⑥〉に入っている〈♡〉と〈⑩〉をここで決め打ちする必要が出てくる。
〈じ⑩⑮〉は前後の文章から想像して時計塔に関連する単語が入るのは予想できる。〈じかん〉〈じこく〉〈じほう〉とかが浮かぶ。だけど〈じかん〉では〈か〉と〈ん〉が既に使用されており。〈じほう〉でも〈ほ〉と〈う〉が既に使用されている。しかし〈じこく〉をならば未使用の文字から選択することが出来るの。
よって〈じ⑩⑮〉は〈じこく〉だと考えられる。
そうなると最初の文章は〈♡こ② つえ ⑥ ふういん した。〉とせざるおえない。
そして、この文章を見ると場所を示す文であることは想像出来る。残った文字との噛み合いを考えると〈そこへ〉あるいは〈そこに〉と考えるのが妥当だと思え〈♡〉が〈そ〉であるとわかる。
となると暗号は……
つえ は とけいとう の ちようしん。
そこ② つえ ⑥ ふういん した。
つえ が ほしければ とけいとう ② のぼれ。
そし⑫ とけい が ⑬⑯゛⑮ じこく ⑥ となえよ。
⑰⑱れば つえ の ふういん は とかれ。
つえ は つえ の ふういん ⑥ といた もの の
もの と な⑲。
そして、残りの文字が……
あ、お、き、く、さ、す、せ、た、ち、て、に、ぬ、ね、ひ、へ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、ら、り、ろ、る。
でも、ここの〈②〉が〈に〉でも〈へ〉でも意味は大して変わらない為、後回しにせざるおえない。下手に文字を代入して解読の道筋を狭めてしまうのは避けたい。
でも、やっと杖がどこにあるのかはわかった。
「この文章が合っていればですが。杖は時計塔にあります」
そう言って彼女に視線を移すと、彼女は目を爛々と輝かせてこちらを見つめていた。
「はい!! さっそく時計塔に登りましょう!」